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第十六話 ナテア王国の危機

「何だって!?飛竜の群れがこちらに向かってきてるだど!?」


バンッ!!と声を荒げながら机を叩き、一人の男が立ち上がる。立ち上がった男は、レラードが位置するフェルト王国に隣接する国、ナテア王国の国王リデア・エール・ナテアである。


「はい、国境に置いた兵が確認し、今先ほど連絡が入りました。見た数ですと、50以上の黒い影が、空を覆っていたとのことです」


国王の前に跪いた側近が報告する。リデア国王の顔から血の気が引き、力無く椅子に座る。ナテア王国に接近している魔物は、飛竜ワイバーン。龍では無いものの、空を飛び、龍に次ぐ空の覇者であり、Aランクモンスターだ。空から炎のブレスを吐き、地を歩く冒険者達を蹂躙する悪魔と言われ、冒険者達から忌み嫌われている。一体でも、Aランクの冒険者が5人がかりでやっと倒せる程の強さを持っているというのに、それが50。ナテア王国は危機に見舞われていた。


「ガレット達はどうした?どこにいる?」


「はっ!ガレット達は今、帰省中であります」


リデアが呆然と呟く。側近は跪いたまま、呟かれた声に答える。ガレット、ミルガ、ファミアの三人はナテア王国三強と呼ばれ、ナテア王国で一番強い三人である。この三人は今、三人の故郷に帰省していて、ナテア王国にはいない。


「どうすれば、いいんだ。どうすれば!!」


声を荒げる国王の問いに、誰も答えるものはいないー否ー答えられないのだ。ガレット達三人がいない以上、ワイバーン一体さえ倒せる人はナテア王国にはいない。

数分、数十分と鈍色の沈黙がおりる。


「国王様っ!大変です!至急お知らせしたいことがっ!」


バンッ!と音を立てて会議室に一人の兵が入ってきた。


「何事だ」


しわがれた声で入ってきた兵に問いかける。


「あのランドルトを!たった一人で討伐できる冒険者が隣の国、フェルト王国のレラードという街に!冒険者として入ったとの情報が!しかもその傍に《金の殺戮姫》がいるとのこと!」


「本当かっ!」


「はい!しかもランドルトを倒し、まだ余力がある程と!そして、その者と同等の実力を持った冒険者が、あと二人いると!」


会議室に座る人々からおおっ!と歓声が上がる。


「至急!至急!レラードの冒険者ギルドに通達を!その四人を呼び出してくれ!!」


「はい!今すぐに!!」


分厚い雲がかかり、暗く閉ざされていたナテア王国に、一筋のひかりが差し込めた。









フェルト王国レラードで、会議を終えたギルドマスターが、頭をひねっていた。


「さて、どうするか。会議ではああ言ったものの、私が直々にあの三人に出せる程の依頼など…………ん?」


コンコンとドアがノックされる。入れ、とドアにむかっていう。すると、失礼しますと男が入ってくる。


「ギルドマスター。ナテア王国国王から救援がありました。ワイバーン50匹がこちらに向かってきているため、ランドルトを討伐した三人と、《金の殺戮姫》を救援によこしてほしいと」


ウォンデントが顎をさすりながら、「ほぉ」と呟く。

これは、使えるな。よりにもよって国王からとはな。しかも指名と来た。これで問題が一気に解決した。周りからも言われることも無いだろう。


「よし、すぐさま四人をこの部屋に連れて来い!今すぐにだ!」


「了解しました!」


「はは!私も運がいい」


兵が出て行き、一人になったこの部屋にウォンデントの声が響くのであったーー。









「ギルドマスター直々の依頼?俺達だけに?何故」


流雨達は今、受付嬢から説明を受けていた。


「はい、詳しくはギルドマスターから説明を受けると思いますが、何でも、隣の国のナテア王国国王からの流雨さんたち四人の指名だと」


「四人ってことは私も?」


エリシスの問いに受付嬢がこくりと頷く。


「詳しい話はこちらへ」


受付嬢がカウンターを離れ、流雨達を一つの部屋へと案内する。


「四人をお連れしました」


とノックをし、室内に呼びかける。すぐ、「入れ」


と声がかえってくる。受付嬢が扉を開け、流雨達を中へといれる。


「ようこそ、私の部屋へ」


流雨達が目にしたのは、机に手を置き、椅子に座った、髭を生やした男だったーー。







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