第八話 エリシスの魔法教室
「知らない天井だ」
俺の中で人生で言ってみたいセリフベスト1の言葉を言ってみる。
ああ、そうか。異世界転移したんだったな。
とりあえず起きるか。
「さて、次は飯だな」
起きて顔を洗った俺は、朝飯を食べるために下へ向かう。
「「あ、流雨おはよう」」
廊下に出た途端、二人の声が聞こえた。
「雫、冬華、おはよう。さて、下行くか」
「ええそうね」
「うん、行こうか」
三人揃って廊下を歩く。結構ゆっくりとした速度だが、朝はこれでちょうどいい。
階段を見つけおりはじめる。
「そいや飯って食堂で食べるんだよな」
「〜♪」
「多分そうだと思う」
なんか朝から雫がめっさ機嫌が良い。
まぁ、悪いよりかは全然マシだけれども、此処まで機嫌が良いのは久々だな。
一階へ降り、食堂に着くとカウンターに向かい料理を頼む。
「朝食セットを頼む」
「私も同じので」
「私もお願いします」
「あいよ!」
全体的にふくよかな陽気な雰囲気を纏った女性が答える。
まさに異世界の宿主って風貌だ。
「あいよ!朝食セット3つ」
「早いな!?」
「早さとうまさが取り柄だからね!」
なるほど。客を待たせず尚且つ美味しい飯をだす、か。最高だな。
「私も同じのを」
「もうできてるよ!」
「ありがとう」
冬華の隣にエリシスが腰を下ろす。その手には俺たちと同じ朝食セットを持っていた。
「さて、魔法のことだけど、今日からやるわよ」
「ああ、頼む」
朝食を食べながら計画を立てる。
「まずは基礎魔法からね」
「基礎魔法?それは無属性ってことか?」
魔力さえあれば誰にでも使える魔法。つまりは基礎魔法として使用されるってことか
「そうね。他の属性もこの応用で十分通用するからね」
「場所は」
俺の問いに少しの逡巡の後、答える。
「そうね。広くて開けた場所がいいから、ウィーゴード広場でどうかしら」
「すまん。わからん」
「あらら。まあとりあえずウィーゴード広場でいいと思うわよ。っとその前に装備や武器を買わないとね」
「世話になるな。金はあとで返す」
「了解」
「「「ご馳走様」」」
三人立ち上がり、トレーごとカウンターに置く。エリシスが先導し、武具やへと向かう。
途中にアイテムを売っている場所があったため、即時回復薬×9と解毒薬×9を買って道具袋へしまった。
「此処がグレゴリー武具店。私がいつも贔屓しているお店よ」
エリシスは木製の扉を開ける。ギィッと耳触りな音を立てるが、中は意外と綺麗だった。
「いらっしゃい。おお、エリシスか。久しぶり」
「久しぶりグレゴリーさん。元気でやってた?」
「元気さ元気。ところで後ろの三人は誰だ?」
「ルーとシズクとフユカよ。今日は三人の装備を買いにきたの」
「そうか!まぁ、見てってくれ」
そう言ってグレゴリーは奥へと引っ込む。俺は入った瞬間から気になっていた装備へと進む。
黒のフード付きの黒の膝丈の外套着、黒のボトムスいう防御力よりも動きやすさを重視した装備だ。しかし、頑丈なランドルトの毛皮に魔法石ロウンズ・ロックの粉末を練りこんだ装備になっているため、プレートメイル(重戦士が好んで使う防御力が非常に高い装備)と同等の防御力をもっている。
「おっ、にいちゃん。勘が鋭いねぇ。よし、英雄エリシスの知り合いが来てくれたんだ。武器、防具、魔道具をタダでやるよ。防具なら一セットだ」
「マジか!グレゴリーさん太っ腹だな。そんなことして大丈夫か?」
「大丈夫さ!こう見えても儲かってんだからな。その代わり、修理や新しい武器や防具を買う時はここを利用してくれよ?」
「おう」
「それじゃあな」
満足したのかまた、奥へと引っ込んで行った。
「うん、これだな」
雫は軽戦士がよく着る鎧にしたらしい。
「うん、私はこれ」
ちなみに冬華は白いローブと言った魔術師装備だ。
「さて、次は武器だな。お?」
壁に立てかけてあったのは俺をひときわ魅了する黒色の鎌だった。禍々しい雰囲気を醸し出しているが、呪われてはいない。
「これに決定だな」
「私はこれ」
雫が手にとったのは短剣だ。綺麗な波紋が浮かんでいる。
「これだね」
冬華は白い杖と言った魔法重視の武器だ。まぁ、あれでもいざとなったら打撃武器になるが。
「お願いします」
選択したものをカウンターに置く。グレゴリーが出てきて勘定をする。
「またきな!」
グレゴリーに見送られグレゴリー武具店の外へ出る。買ったものは装備済みだ。
「流雨、なんかそれ死神見たいね」
全身真っ黒で禍々しい鎌を背負っているため他人からはそう見えるらしい。
「おう。結構気にってるんだよなこれ」
「それじゃ、ウィーゴード広場に向かうわよ」
エリシスが先導し、ウィーゴード広場へと向かう。美少女が三人いるからか、男の視線を必然的に集める。
視線を浴びながら歩くこと約6分、ウィーゴード広場に着いた。
「食堂でも言ったように無属性からはじめましょ。魔法のコツはイメージよ。自分がやりたい魔法のイメージをもって使うこと。まずはライトから。見ててね」
《ライト》
エリシスがそう唱えると、5cmほどの光球が生まれた。
「このライトは無属性の中でも一番簡単な魔法よ。でも、一番重宝するわね。魔法は術者が消したいと思うと消えるわ」
なるほど。洞窟内や暗いところを照らすための魔法か。なるほど。
「《ライト》」
エリシスを真似て俺も唱えて見る。すると、
「「「「眩しい!」」」」
明らかに魔力供給が多すぎ一mほどの光球が生まれ、あたりをものすごい光量で照らす。
「消えろ」
ライトが消え、元に戻る。
やべえ、加減むずい。
「ルー、やりすぎ。今の十分の一でいいわ」
十分の一か、少ないな。十分の一、と
「《ライト》」
今度はエリシスと同じくらいのライトが生まれた。よし、成功だな。
横を見ると二人ともできていた。
それを見たエリシスは、炎球、水球、風球、氷球、雷球、土球を作ることを指示し、俺たちはやり遂げる。
「はぁ、へこむわね。私が結構苦労した物をいとも簡単にやり遂げるなんて」
エリシスが呆れる。普通は此処まで来るのに三日かかるらしい。エリシスは二日で出来たらしいが。
「まぁ、私から教えられるのはこんなとこ。
あとは自分でやるしかないわ。まぁ、ユニーク魔法でもやって見ましょうか。これはお手本はないわ。手探りでやるしかないわね」
エリシスの魔法教室は一応終わった。
ユニークか、ちょいとやって見たいことがあるんだよな。
俺の頭の中にはオルストが言った召喚魔術は自分でやるしかない、だった。
「やって見るか」
俺は深呼吸をし、魔力の流れを意識する。
『我、求めし物は絶対零度の力なり。大地を極寒の地に変え、ありとあらゆる物を凍らせたまえ。顕現せよ。氷結龍ブリューナク』
頭の中にずっと残っていた言葉を唱える。
すると、あたりの気温がぐっと下がり、ウィーゴード広場に霜が降りる。
『主よ。我を呼んだか』
俺の目の前にいたのは、召喚魔術で召喚した、召喚獣だった。
誤字脱字ありましたら教えてください。




