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俺はぼっちで神殺し  作者: 山ドラ
ぼっちが送る神殺しの旅の序章
13/14

騒がしくなった日常

また遅くなりました。すいませんm(_ _)m


あと何話か投稿して第1章を終えます。

バトル少なめだったので第2章からは増やします。


「……おい、どういうことだ」

「どういうことでしょうかね……。明らかにもう小鳥遊叶華ルートですよ」

「だから俺はあいつにしろと言ったんだよ」

「……諦めるな。まだ決まった訳ではない」

「そうですね、榊龍紀も気にしていない訳でも無いでしょう」

「何故お前らはそこまで春野春奈に固執するんだよ」

「……もう一押し程必要だな。また頼んだぞ第2の神よ」

「分かりました。次は夢を見させる程度では済ませません」

「何? お前達春野春奈が好きなの? 小鳥遊叶華が嫌いなの?」

「……早速いい感じに小鳥遊叶華と別れたぞ。このチャンスを逃すな」

「はい」

「……なぁ無視するなよ。そろそろ泣くぞ?」

「……うるさいぞ第3の神よ。黙れ」

「さっきから鬱陶しいですよ」

「うー……。前から思ってたんだけど、お前達、私嫌い?」(12話の小鳥遊の真似)

「……気持ち悪い、死ね」

「気色悪いですね……、どこか行っててください」

「ちくしょぉぉぉぉぉ!!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 俺はゆったりと街を歩きながら小鳥遊の走り去って行った方向に向かっていった。

 この街は広く、賑やかだ。まぁ店といえば武器やら未知の道具など物騒な物ばかりだけど。人ごみとはいかないが結構の人がこの街を徘徊している。制服を着ていないから多分全部がNPCだと思う。人間にしか見えないな。

 俺はボーッと歩きながら、小鳥遊のことを考えてた。

 よくよく考えればおかしな点はいくつかあった。どれもさっきみたいにピンッとこなかたっだけだった。

 俺はぼっちだ。孤高を貫き、一人で人生を歩む一匹狼。勿論、リア充共はぼっち=底辺、友達大勢=頂点、というおかしな方程式を組み立てているのでぼっちでいる俺を蔑み、哀れみ、笑い、見下してきた。

 そんな俺だから人間とは一線を画するように生きてきたが、女にはさらに距離をとるようにしてきた。

 女は怖い。あの笑顔の裏でどんな腹黒いことを考えているのか、と思うと鳥肌が立つ。


 いつだったか、中学生時代に俺にも優しくしてくれた女がいた。俺はその時も既にぼっちで、警戒はした。その女はリア充グループの一人。リア充の中では一番大人しめな女だった。

 その頃はそこまで女に対して警戒していなかった俺は、また何回か優しくされて、俺は警戒を緩めた。この女は他の糞リア充共とは違う。と思い始めた。

 そして俺はまだその頃未熟なぼっちであり、すぐに勘違いをした。「何でコイツはぼっちの俺に優しくしてくれるんだ? こいつもしかして俺を……」そして恋に落ちた。

 俺は告白を試みた。女は俺を振った。いや、ここまでは良かった。別に振られること自体は予想していたことだ。

 振られた日の夜に十分に枕を濡らした次の日、俺があいつに告白したことが学校中に知れ渡っていた。

 その日から妙に男子共が俺に突っかかってきたり、女子からは敵意剥き出しで睨まれたりと、過ごしにくい環境に陥った。

 どうも俺に優しくしてきた女が怪しいと思ってコッソリと後をつけたりして調査したら、女が俺のことを笑いながら他の女に話をしていた現場を見つけた。

 まあその頃の俺にとったら死にたいくらいショックだった。また調べたらあの女は自分の地位を上げるために俺に接触し、優しくしてきたらしい。そして調べすぎた俺は、見つかってしまい、ストーカーと言われさらにリア充共の俺を見る目がキツくなった。

 優しくて大人しい美少女。勿論人気は上がった。俺を振って3日後くらいには彼氏ができてた。

 女は自分の地位を上げるためだけに俺を使って、いらなくなったらすぐ捨てる。女にとったら俺なんて駒の一つなんだと、知らされた。あの学校では既に俺は人間でも無かった。


 これだけの過去がまだ無数に存在する俺は、女には不要に近づかないようにしている。

 春野はまだいい。あいつ自体は怖いし好きではないが、嘘はつかない。陰口も言わない。だってあいつもぼっちだし。

 だから変に警戒した所で奴とは何の関係も発展しないだろうし、春野は警戒していない。実に楽に会話をしていると思う。あんまり会話しないけど。

 比奈田のことはまだ疑ってかかっている。奴の微笑みも嘘じゃないか探っている。

 人間観察をしまくった俺だから、まあハッキリとはいかないが顔色だけで相手が何を考えているか分かるようになった。だが、どうにも比奈田の微笑みには嘘が見当たらない。だがそれでも警戒はしている。


 なら小鳥遊は?

 そうだ。本当に突然俺の前に現れた。勿論警戒はした、が、初めてあった日からすんなりと会話はできていた。

 この時点からおかしいが、もっとおかしなことがある。

 それは……、いつからか、無意識のうちに警戒をしていない俺がいたことだ。

 おかしい。女には警戒を怠らない俺があいつを無意識のうちに許していただと……。

 他にも謎多き点はいくつかあるが、一番大きな謎はこれだ。

 そしてある仮定が生まれた。

 何故か俺を知っている小鳥遊。でも俺は知らない。イコール俺が忘れているかあいつがおかしいだけか。

 だが、あいつの告白は本気―――な気がする。数多の人間を見てきたし、表情で分かる。

 つまり俺が忘れている。忘れるということは記憶が古い、もしくわどうでもよかったということだろう。

 そして警戒をしていない。イコール俺があいつを警戒しないでいいと本能がそう伝えているだろう。

 だが俺の覚えている記憶ではこいつとはそこまで関わったことがない。だが、許している。


 俺とあいつは―――昔あったことがあるのか?



 長く心理タイムに入っていて、気がついたら俺は……。

「ここ、ドコデスカ?」

 迷子になっていた。俺は春野かっ!?

 この街は広く、数多の人間の喧騒で賑やかだ。今も一応ちらほらと人がいる。

 だがこんな所、見たことがなく、完全に迷子だった。

 地図を広げてもサッパリだ……。俺は春野かっ!?

「さっきから何か失礼なことを言ってないかしら」

 振り向くとそこにいたのは……。

 春野だった。おかしい、何故今こいつがここにいる? まだ学校なはずだが……。

「貴方を探しに行けって先生から言われたのよ。全く、なんで私なのかしら?」

 俺が困惑した表情をしているので何を考えているのか読み取ったのか俺の疑問に言葉にしていないのに答える春野。

 ほお、それはまた余計な任務を任されたな。まあ春野も嫌々仕方なくって感じだな、すごい不機嫌そうな顔をしている。そのせいで怖い顔が余計怖くなってしまっている。つり目が半端じゃないくらい怖い。

 だが、まあいいか。迷子よりマシか、コイツに学校まで案内された後、逃げればいいか。

「ああ……、はいはい学校行けばいいんだな?」

「あら? やけに素直ね。気味が悪いわ」

「俺は元々素直だよ。ちょっと変な性格しているだけだ」

「自覚はあるのね……」

 春野が呆れたようにため息をつく。ま、ちょっとは変な性格だと自覚している。ちょっとな。

「もう何でもいいからさっさと学校まで案内してくれ。迷ったんだよ」

「へぇ……迷子? それは可愛そうね。でも貴方、地図は持ってなかったのかしら?」

 くすっと微笑みながらいや、俺を馬鹿にしながら春野は言う。春野に言われると非常に腹が立つ。

「地図を見てもここがどこかわかんねぇんだよ……」

 恥ずかしかったのでそっぽを向きながら簡潔に伝えた。

「迷子になった時に使うのが地図のはずなのに、それを見ても分からないなんて……方向音痴ね」

 この筋金入りの方向音痴に言われると傷つく。もしかしたら俺も方向音痴なのかもしれない。

「もう何でもいいので助けてください」

 その言葉に春野は天使のような可愛らしい微笑みを見せる。いつも無愛想で鬼のような形相で睨みつけてくる春野とのギャップにより、少しだけドキッときてしまった。くっ、不覚……。

「なら、仕方ないわね。こっちよ」

 春野は体を翻し、多分学校に行く道だろう所を優雅に歩き去る。体を翻した時、ふわりと風に靡いた綺麗な黒髪から女子特有の甘い匂いがした。

 俺は春野の一歩後ろをついていった。



「―――なぁ、聞いていいか? どこだよここ?」

「……も、勿論学校に行く時の道よ」

「こんな所来た時ねぇよ。 お前また迷っただろ?」

「……、こっちであってるのよっ! いいから付いて来なさい!」

 顔を赤く染めている春野はそれを紛らわせるようにして言い放つ。そしてあっているのかどうか分からない道をまた歩き始めた。不安しかない……。

 やはり春野の方向音痴な所は変わっていなかった


 さらに3分後。

「なぁ……、どこなんだここ? 俺達の前に緑が広がっている気がするんだが? あれってフィール―――」

「す、少し間違えただけだわっ! こっちよ!」

 焦ったように次の道を指示し、歩いていく春野。もうついて行くしかなかった。


 そしてさらに6分後。

「聞いていいか? どうして俺達魔物と戦っているんだ?」

「それは……、フィールドに出たからでしょうね」

 俺は春野から借りていた剣をスライムの目と目の間から抜き取った。凄まじい鮮血が吹き出した。

「今から学校に俺は連行されるんじゃないのか?」

「魔物を狩りたい気分だったのよ……。さて、そろそろ行きましょうか」

 先ほどとは裏腹に酷く冷静になっていて、声も目線も冷ややかなものだった。そして春野から冷や汗もたらたらと流れている気がした。


 さらに……(略

「もう学校ってあったのかさえも分からなくなってきた……」

「……あら、奇遇ね。私もそう思ってた所よ」

「俺達以外に気が合うんじゃないのか……?」

「とうとう頭がやられたの榊くん? あ、元々だったわね。ごめんなさい」

「謝るなよ……」

 もう疲労しきっていた俺達はどこか分からない所で立ち往生していた。

「そろそろ白状しろ。お前、道分からねぇんだろ……」

「……この地図、やっぱり使えないわね……」

 嘘をつかない。と、思っていたが案外嘘まみれだったかもしれない。

「あと何故こんなにこの街は広いのかしら……。宿屋と武器屋がありすぎなのよ。もう10軒以上見たわ……」

「俺は道具屋と雑貨屋も10軒以上見たぞ……」

 そもそも雑貨屋はいるのだろうか?

「それが原因ね……。あと学校も学校よ。目立た無さ過ぎるのよ」

「ああ……。そういえばあの学校、宿屋より小さかったな……」


 それからは沈黙が続いた。街のざわめきはさっきより大きくなったように感じた。

 そして俺は、街で歩いている人々に聞けばよかったなと後悔し、どちらからでもなくまた正しくないかもしれない道を歩き始めた。

 そして春野の足取りが覚束無くなっていることに気がついた。とりあえず隣に駆け寄った。

「おい、大丈夫か?」

「ええ、心配する程でもないわ」

 そして俺は不用意に近づきすぎたことに気づき、少し離れる。

 危ねぇ、女子に近づきすぎた……。が、ふと思ったが、小鳥遊とはさっき春野に近づいたくらいの距離でも何事も無いかのように話していた自分を思い出す。やはり何かあいつにはあるのか?

 ふと、春野の顔を覗き見ると、顔が朱に染まっていた。何が恥ずかしいのだろうかと疑問に思った矢先―――。

 

 俺は小学生の時から陰口やらを小声でされていたのを聞いていたりしていたからか、耳がいい。よく盗み聞きをしたりする。

 その鍛えられた聴力により、この街のうるさい喧騒の中から、今だ! という小さな呟きを聞き逃さなかった。

「うおぉっ!?」

「きゃっぁ!」

 突然、俺に何かがぶつかってり、その衝撃によって横に吹っ飛ばされてしまった。さっき俺が横にきたせいで春野は吹っ飛ばされた俺の巻き添えをくらってしまった。


「「あ……」」

 ……倒れた衝撃でかは分からん。俺はぶつかったのだ、何かに。だから春野が俺の下敷きになっているならまだ分かる。

 なのに何故、俺が春野を押し倒したみたいな感じになっているんだ。

 俺は両手、両膝が地面についた形になり、手と手の間、膝と膝の間に春野が入っている感じ。そして春野の整った顔立ちが至近距離にあり、俺の目に春野の顔がドアップで映し出された。

 なんだこの状況は? 喜べばいいのか? それとも……恐ればいいのか?

 さっきから無言だった春野が口を開いた。

「……どいて、くれないかしら?」

 そのたった一言に、かなりの重圧を感じた。俺はその言葉と、いつもは怒った時は睨んでくるのに、やたら冷やかな目で見られていることに余計に恐怖が倍増し脊髄反射で離れた。

 やばい、喜ぶ以前の問題だ。何あいつの言葉の重み。普通じゃないの? お前は王土か? あと絶対あいつは覇気を纏っている。あれはもう覇王色だ、絶対。俺がそんじょそこらのぼっちとは違うぼっちじゃなかったら今頃泡吹いて倒れてたから。

 俺が離れたことにより、ゆらりと立ち上がった春野。春野の背面にゴゴゴゴゴゴと、いう字が見えた気がした。やべぇ、あのアニメ見てるみたいだ。

 殺される……。みんな、殺される……! 逃げるんだぁ! と、俺は脳に信号を送っているんだが、死に直面し、その恐怖からか動くことができず、直立不動のままだ。


 ……? なんだ、何もされないだと? てっきり氷にされるのかと思ってたのに。

 よく見ると、顔を伏せている。表情は読み取れないが、ほんのり耳が赤い。なにこれ、予想外すぎて反応に困る。まあ殺されないことはいいんだけど、春野の様子がおかしい。進化でもするんだろうか? はるりんからはるマックスにでもなるんだろうか? ださっ。

「……」

「……」

 初めて味わった沈黙。沈黙には馴れているはずなのに、今は居心地がすごい悪い。

「で、さっきのは何だったのかしら……?」

 やっと顔をあげてくれた春野は無表情だった。何故か春野が無表情だったことに安堵した俺。

「いや、人か何かにぶつかって吹っ飛ばされたんだよ。さっきのは不可抗力だ」

 とりあえず事情を説明。信じてくれなくても疑ってくれてもいい。どうやら警察に通報される訳では無いらしいしな。ん、この世界には警察ってあんのか?

「そ、そう……」

 その時の春野の表情はよく分からないものだった。

 相手の表情で何を考えているか大体分かるスキルを持つ俺だったが、春野の今の表情は……、何だか怒ってる訳でも無く、冷ややかなものでも無い。……落ち込んでる? いや、よく分からない。


「んなーー!?」

 少し遠くから頭の悪い叫び声が聞こえた。

 そして声の主は俺達にダッシュで近づいてくる。

「んーん! 思わぬ伏兵だよー!」

 そして有無を言わせず俺に抱きついてくる小鳥遊。……っておい。

「何くっついてんだ! 離れろ!」

 引き剥がそうとしても離れない小鳥遊。ちょ、やめろっ、お前、そんなくっついたら色々なものがあたってんだよっ! ちょっとお得だけどもっ! あと女子特有の甘い匂いとかやばいって!

「……」

 ほらっ! あれ見てあれ! 春野さん睨んでるよ! 超睨んでる! 誰か助けて!

「あー、いたいたっ! はるりーん! さかきーん!」

 俺の助けを受信したのは見た目ビッチ女子高生の比奈田。なんでコイツなんだよ。ここは七種だろ。

「さからはるりん言わないで」

「だからさかきんいうな……、ってお前早く離れろ!」

「んなー」

 俺の体にくっつきながら無表情だがちょっと嬉しそうな顔をしている小鳥遊。顔の変化は微妙だが、やっぱりなんだかんだで感情豊かだ。

「んー? なんだか楽しそうなことしているねー」

 ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている比奈田。どの辺が楽しそうに見える。まぁちょっとお得だが……、自重しよう、春野がかなり怖い。

「ふんっ!」

 おもいっきり小鳥遊をひっぺがした。よかった、春野が無表情に戻った。殺されるとこだっとぜ……。

「んー」

 俺に引き剥がされ少しご機嫌斜めだ。いや、これ以上はな、春野が怖いから。

「おっ、隙アリーー!」

「お前もかっ!?」

 今度は比奈田が抱きついてくる。ほのかに香る女子特有のあの甘い匂い。だがやっぱり小鳥遊とは違った匂いだな。あとこいつ、実は高校生にしては実に膨らんだ胸をしていて……、やばい、今リア充な気分。まあ小鳥遊はともかく比奈田は俺のことをからかっているだけだと思うが。

 そういえば比奈田ってよく抱きつくよな。春野に。リア充は誰にでも見境なく抱きつく性質でもあるのだろうか? ビッチめ……。てか離れてください。

「!? んー、離れろー!」

 またひっついてくる小鳥遊。お前達やめろっ! お得なのは確かだが、それより春野がやばい。すっごい覇気纏ってる!

 つーかここ、街中なんですけど……。まあ周りはNPCだし、いいのかな? いやよくねぇ!

 つか女子二人に抱きつかれるって俺的に駄目じゃね? でももう無理矢理剥がせねぇ!

「おっ、龍紀達いたわっ」

「なっ!? 榊! 貴様ぁ、いつの間にハーレムを築いているのだ! お前はラブコメの主人公かっ! モブキャラ気質の童貞がでしゃばるなぁ!」

「あはは、龍紀モテモテだね」

 建物の角から現れた幸村、鍵谷と……、七種ぁ!? やばい見られた! 誤解される! それだけは阻止をしなくては! あと鍵谷黙れ。

「んー!」

「あははっ!」

 つーか比奈田と小鳥遊そろそろ離れろっ! 七種にあらぬ誤解をされる! あとあんまり強く抱きつくな、お前達もっと自分が女だっていう自覚を持て。

「……」

 あと春野さんが怖い……。そういえばこいつ、何でこんな怒ってんの?

「あれ? 春野は龍紀に抱きつかねーの?」

 幸村が素で疑問を抱いている。いやなんでやねん。

「っ! 何故抱きつく必要があるのよ……」

 頬を染めてそっぽを向く春野。やっぱり反応がいつもと違う気が……。

「おい、榊! すぐに我と代れ! 我にも女の温もりを! 女を!」

 またこいつは堂々とこんなことを言う……。マジで代わってくれよ。

 七種は俺達の光景を遠目からクスクス笑いながら見ている。楽しそうでなによりだが、絶対誤解してる。誤解を解くのは得意じゃないんだよ……。

「龍紀の隣は私の指定席ー!」

「えー、誰だって使ってもいいでしょー?」

「だめだめだめー! だめなのー!」

「榊……、貴様ぁ! 何がぼっちだ! 何が一匹狼だ! 死ねリア充! 爆発しろぉ!」

「あー、帰り本屋寄ってくかー」

「あ、僕も一緒にいいかな?」

「おういいぜ。そういえば金あるか? 俺もうほとんどねぇよ」

「少しだけなら貸してあげようか?」

「サンキュー。いやー、また金集めしなくちゃなー」


 あー……。全く俺の周りの環境も随分と変わったもんだな……。

 はぁ……、まったく―――。

「「騒がしい……」」

 今誰かとハモったか……? 声のした方を見てみると春野が腕込をしながらこっちを見ていた。さっきのように怒っている訳では無く、無表情だった。

 俺はふっ、と笑うと春野も少しだが笑った気がした。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「結局、小鳥遊叶華によってうやむやにされましたね」

「……いや、十分効果はでたはずだ。後は待つだけだ」

「いや、そうか? 全然駄目だった気が……」

「……おい、仕事をサボるな。地球の運営でもしてろ、雑魚」

「頼みましたよ、雑用さん」

「ちくしょー! あのイケメンに八つ当たりじゃー! 雷をくらぇ!」

今回の話では主人公があまりぼっちっぽくなかったので次はぼっちにしてやろうと思います。

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