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俺はぼっちで神殺し  作者: 山ドラ
ぼっちが送る神殺しの旅の序章
10/14

集結

 いいサブタイトルが思いつかない……。


 更新に時間がかかってしまいました。

 活動報告でも言いましたが、リアルの方が忙しくなってきてしまい、中々執筆する時間がありません。

 そのせいで、更新するのがこれからも遅れますのでご了承ください。


 やけにリアルな夢から覚めた。

 夢というのは時間が経つうちに忘れていくはずなのだが、俺は今でも鮮明に夢での出来事を覚えている。

 クリスマスで賑わう群衆や、神殿の中、さらにはあいつとしたキスのこともバッチリ記憶している。

 夢なんて見てもすぐに忘れる。生きている時よくクラスで自分が今日見た夢の話とかしている奴らがいるが十中八九そいつの話は誇張されていると思う。

 覚えていたとしてもかなり断片的にだと思う。だから夢の話を友達がしてきたら8割は誇張されているな、と思いながら聞くといい。聞いててかなり面白くなくなると思う。

 だが俺は断片的にとかそんなんじゃない。もう全てが鮮明に、それも本当にそうしたかのようにハッキリ覚えている。不思議でしょうがない。

 夢のことをハッキリ覚えすぎてて……、


 何か春野を意識してしまーう!!

 俺が勝手に見た夢だし所詮は夢なはずだが、妙に意識をする。それも夢をリアルに覚えているせいだろう。

 俺とこいつにはなんの関係も生まれない、期待もしない。と、自分に言い聞かせる。

 ……よし、もう気にしない。夢になど惑わされるな。俺、ぼっちだ。

 

 そして今、俺と春野と幸村と七種で天上学園に向かっている。

 宿屋から学校までの道はもう覚えた。確かこの辺に……、おっ、あったあった。武器屋が。

 武器屋には遠目から見ても色々な武器が数多くあることが分かる。まあ一つくらい武器を持ってても邪魔にはならないだろうから、近いうちに何か武器を買いに行こう。

 武器屋から目を離し、幸村と七種に目を向ける。

 幸村と七種は二人でお話中。七種が微笑みながら幸村と話をしている所を見ると、無性にイライラする。

 いや、分かってはいる。七種の天使のような笑顔は分け隔てなく皆に見せるもの。俺にだけ見せているのでは無い。

 分かっているはずなのだが……、イライラする!

 そして会話の内容が気になる!

 思春期男子諸君なら分かってくれるはずだ。自分の気になる異性が他の男子と仲良さそうに談笑している所を見ると、こう、イライラしたり、会話の内容が気になったりしないか?

 あ~、いたたまれない気持ちになる。

 もう見たくないから、現実から目を背けたいから全力で離れつつ、全力で会話を聞かないようにする。


 そして春野に近づいてしまう。

 ……、気にしない。気にしない気にしないキニシナイ。

 春野は俺が近づいてきたのに気がつくと一瞥し、興味が無いらしくすぐに元々見ていた所に目を向ける。

 今のでようやく気持ちが落ち着いた。そうだよね。俺のことなんか興味もないよな。

 やっぱりこいつとは何の関係にも発展しないな。そう確信すると、こいつのことを意識することはなくなった。


「ビックリした……。いきなり近づいてくるなんて……」

 春野が何か独り言を呟いている。微かに頬が赤くなっている気がする。

「何か言ったか?」

「何でもないわ」

 いつものように素っ気なく、無表情な春野。ああ、やっぱり、こいつとは何の関係も生まれないだろうな。何ちょっとリア充な夢を見たからって調子乗ってたんだ俺……。

 ハァ、と小さくため息をつき、それからは一切会話をせずに学園に向かった。

「何をあんな夢に惑わされているのかしら私……」

 春野が独り言をブツブツつぶやいていたが、気にしない。ぼっちが独り言を呟くなんて普通。むしろ誰かと会話している確率の方が少ない。


 学校についた。

 今日から2日目の学校生活が始まる……。



 ―――学校も無事に終わり、放課後になった。いやー充実してたなー。

 と、上手くいくはずもない。小説じゃないんだから、いきなり学校生活の描写がカットされるなんてことはない。あと学校生活が充実とか、有り得ないし。

 俺はやけに足取りが重くなってることを感じながら、昨日座っていた自分の席に向かっていく。

 幸村は早速クラスに友達を作ったのか、遠くの集団から名前を呼ばれている。幸村が駆け足でその集団の所に行き、着くやいなや笑いながら談笑している。

 流石、コミュ力が高くてイケメンリア充。誰もが嫉妬したくなるような有能さ。まあバカだけどな。

 春野も勿論注目の的。誰も話しかけわしないが、男子の大半は奴を見ていた。

 春野も見られているのは分かっていると思うが、馴れているのか春野は無表情で何事もないかのように平然と自分の席に向かい、席に座る。

 顔は一級品だし、あのクールビューティーな所に皆、惚れているのだろうと思う。つーか仕草がいちいち格好良いんだけど。こりゃ誰でも惚れるわ。精々クラスで何とも思ってない男子は俺と幸村だけだろう。

 え? 七種は惚れてるのかって? いや、ただ七種を俺は男子としてカテゴライズしていないだけだ。

 いやいや、現実的に考えてあんな可愛い男子いないから。七種は女子、七種は女子七種は女子七種は女子七種は女子七種は女子七種は女子七種は女子……。

 俺がどれだけ念じようと、七種の性別は変わらない。認めたくないこの現実。

 その七種はというと、数名の女子と会話中。

 七種は一部の女子に人気が高い。……俺の七種とるんじゃねぇよ、糞ビッチ共が。

 七種から女子を追い払ってもいいんだけどな。俺が近づくだけで女子は離れていくのだ。……おい、俺まだここ来て2日目だぞ。嫌われんの早すぎだろ。入学して一日で女子が離れていくって一体何?

 顔はそこまで悪くはないはずなのにな……。体から滲み出るぼっち臭がいけないのだろうか?

 気分が悪くなったので、変なことはせず自分の席に大人しく向かった。



 あっという間に昼休憩に入った。

 え? 授業の描写はどうした、だと?

 何をバカなことを言っている。さっき終わっただろ。つーか描写って何?

 昼食は学食のパンを適当に買ってくるか。

 俺は立ち上がり、教室を出ようとする。が、後ろから何者かが肩に手を置いてきて、俺の進行を阻止された。

 こいつは……、幸村だ!


「龍紀ー、一緒に学食行こうぜー」

 ほらね。俺の肩に手を置くなんてこいつしかいない。俺友達いないし。

「僕も一緒に行きたいな。龍紀、い、いいよね?」

「お、おう」

 むしろ俺はお前がいなきゃ断っていただろう。つーか何故俺に聞いたのだろう。そして気のせいだろうか、恥ずかしそうにしていたのは何故だろう。そして何で七種はこんなにも可愛いのだろう。

 はぅー、お持ち帰りぃー! したい衝動を何とか堪える。ここは我慢だ。今はまだギャルゲーで言ったら共通ルートだ。焦らなくてもいつかは七種ルートにいけるはずだ……。

「春奈、お前は?」

 幸村が春野を誘う。春野は未だに自分の席に座って外の景色を眺めている。春野がやると非常に絵になる。ついつい数秒見とれていた。

「春奈ー?」

 幸村が再度声を呼ぶと、春野がハッと気づき立ち上がると少し早歩きでこちらに向かってくる。

「ごめんなさい、考え事をしていたわ。それで、何かしら?」

 春野が申し訳なさそうに幸村に訪ねてくる。すげぇ、こんな表情見たことない。春野が俺に申し訳なさそうにしたことないからか……。俺の階級が最底辺すぎる。

「俺達と一緒に飯食いに行こうぜ! どうせ一人でいるんだろ!?」

 こいつ、さらりと酷いこと言ってないか? まあどうせ春野は一人でいたと思うけどな。

 春野も流石に幸村の言い方にムッときたのか、顔を強ばらせるが、幸村が悪意を込めて言ったのではなく何も考えずに言ったんだと分かると、いつもの無表情に戻った。

「ハァ……、まあ貴方の言うとうり一人でいるつもりだったし、断る理由も無いから付き合うわ」

「おっしゃぁ! じゃあ行こうぜ~」

 俺は今日の昼休憩の時間はぼっちでこの学校をさすらう予定だったんだが、七種もいるし今日くらいは付き合うか……。

 幸村も七種もクラスの奴らに人気が高いし、どうせ明日からは一緒に食えないと思うしな。

 俺は幸村の背中を追うようにして、学食に向かった。



「そういえばさ、昨日俺達以外に他のクラスに来てた奴がいるらしいんだよ。しかも同学年!」

 唐突に、幸村が言い出した。

「ふーん」

 俺はあからさまに興味が無いといったようにして答える。マジで興味無いし。これから関わっていく訳でもないし、俺はぼっちだから出来るだけ知人を増やすのは避けたい。一人でいる時間が減るし。

 まあ、友達になんてさ、なれないしなーー! 一人最高ー!

 あ、―人最高―、と読み間違えんなよ。ーと一似てるしな。

「もしかしたら、あいつらかもなー」

 幸村は手を頭の後ろで組み、天井を見上げる。天上世界で天上学園の天井を見上げる。

 あいつら。幸村の言うあいつらとは多分共に死んだ奴らのことを言っているのだろう。

 実はまだいる。俺、春野、幸村、七種、そしてあと3人。

「流石に有り得ないだろ。あいつらも神を憎んでるなんて」

 あの3人も神を憎んでたなら神憎まれすぎだろ。まあでも神を憎む気持は分かる。俺なんて完全に狙ってるだろってくらい理不尽な生活を虐げられてきたんだから。小学生の時から。

 だから俺は、小学3年生から初詣とかには一切行っていない。お守りも買ったことは無い。神に祈ることはしない。

 あ、でも受験前には無理矢理親に行かされたんだった。お守りを買わないならせめておみくじ引いたり絵馬書いたりはしてけって。

 おみくじは確か末小吉だった。それが良いのか悪いのか全く分からなかったけどとりあえず親には「大吉だった」と伝えた気がする。

 絵馬のことはハッキリと覚えている。合格祈願と絵馬に書いて絵馬を結んでたら、絵馬が何故か落ちた。カンッと良い音をたてて地面に落ちた。

 俺は慌てて絵馬を拾って確認すると、合格祈願と書いた字は黒ずんで見えなくなっていた……。

 あの時は不吉すぎて超焦ったね。試験中とか意識しないよう心がけてたけど、分からない問題があった時、あの時の絵馬を落とした瞬間がいちいち脳裏に浮かび上がってきて集中できなかった。

 ……何の話をしてたんだっけ?

「もしかしたら俺達7人が揃うかもじゃねぇか!」

 おい、俺達7人を仲間みたいに呼ぶな。あいつはうざいだけだし、七種とはもっと深い関係になりたいです。

 この話以降は、特に何か話すこともなく、静かに学食へ向かった。



「おーおー、人がいっぱい」

 俺は学食を見て、そう呟いた。

 学食で賑わう新米神殺しの諸君達。よし、明日からは教室で食べよう、そう思った。いや今すぐダッシュで教室に戻りたい。

「色々なものがあるねー」

 七種が周りを見渡しながらそう言った。

 俺も周りを見ることに。……うん、まあ普通だな。普通の特に他の高校と変わりはしない学食。

 普通だからこそ異常だ。

 だって、これ全部気持ち悪い魔物からできてるのに、生前に見たことあるような物ばかりあるのだから。

「あれは……、焼きそばパン、かしら?」

 春野がそう呟いた。俺も春野と同じ所を見てみる。……確かにあれは焼きそばパンだな。見た目は。

 だが目の前にある焼きそばパンっぽいのは、正式にはこう言うらしい。

「ヤキソバーぱん……」

 一つも変わってねぇ……。どうやらヤキソバーという魔物から作るらしい。何この適当な世界。

「俺はこれにするぜ! メロソパン!」

 メロソパン? メロンパンじゃなくて?

「うーん、そんなにお腹も減ってないし僕もパン系で……、あ! このチョコクロワォサンにしよう!」

 ワォサン? ワッサンじゃなくて?

「じゃあ私は……、この辺のサンドワッツにしようかしら」

 ワッツ? イッチじゃなくて? WHAT?

 つかこいつら何でこんな当たり前のようにしてんの? 順応性高すぎだろ。何、俺がおかしいのか?

 偉い人は言いました「順応性を高めなさい。そして有るがままを受け止めなさい」と。

 俺はその言葉を胸に刻み、パン類が置いてある所を眺める。

 どれもこれも原材料が異常。多分魔物の名前なのだろう、不可思議な名前が並べられている。

 何が美味いかも分からん。生前に聞いたことがあるようなパンと似ている名前のパンは同じ味をするのだろうか? 何を選ぼうか……、迷うぜ。

 ―――そして俺の目の前にはあるパンが映し出された。

「……俺は、ヤキソバーぱんで」



 どうせ全員パンなら教室で食おうぜ、という俺の案によって俺達は教室に向かうことにした。

 幸村と七種は朝の登校中のように談笑中。会話には混じれないぼっちのさががあるので俺は必然的にいつものようにぼっち。春野も同じだ。

 ぼっちだと集団とは違って風通しがよくて爽やかだ。

 リア充共はどうしてあんなに皆と居たがるのだろうか。夏に集団でいられるとこっちが暑苦しくなってくる。

 俺は意味もなく、ただなんとなく外の景色が見たかったので横を見た。

 たまたま俺から何メートルか右に離れている春野と目が合う。

 一瞬で目を逸らされた。……、何故目線が合ったのだろう。俺と目線があったということはこいつ、俺を見ていたのだろうか、あるいはたまたまか。

 その答えを知る者は、春野だけ。何故かその答えを気になっている俺がいた。

 多分後者だ。もう俺は勘違いすることはない。男子とは不思議な生き物で、ちょっとした異性の行動だけで、「こいつ俺のこと好きなんじゃね?」と勘違いしてしまう生き物だ。

 だが俺は特別な訓練を受けたぼっち。勘違いしないし、俺が異性に好感を持たれるなんてことは、無い。

 朝は意識していただけで、勘違いじゃないです。はい。


 ある教室の前を通過した所で、幸村があることを言い出す。

「あー、ここがさっき俺が言ってた俺達と一緒に神殺しになった奴らのいるクラスだけど、見てくか?」

「だから興味無いって。さっさと行こうぜ、教室」

「もしかしたらあいつらかもしれねーじゃん! 鍵谷とか比奈田とか!」

「だからそんなことがある訳―――」

 唐突に教室の扉が開く音がした。


「ふむむ、我を呼ぶ声が廊下から聞こえてきた気がする……」

「あんたを呼ぶ奴なんている訳無いじゃんー」

「我はぼっちだ。我がリア充共の方でバカにされている時などすぐに分かった。ぼっちは自分の名前を呼ばれることに敏感だ。そしてぼっちはヘル・イヤーなのだ、覚えておけ」

「え? へるいやーって何? って、あ」

「むっ? やはり、我のヘル・イヤーは確かだったようだな……フハハハハ!」

 ……また俺の周りが騒がしくなってくる予感がしてきた。

 そして鍵谷よ、普通に地獄耳と言え……。




 

 読んでいただき、ありがとうございます。

 心から感謝を……!

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