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クロニクル・エヴァーガーデン  作者: ロクト
第二部 新大陸編前編
19/20

19

「シャーナとメアリーのお父さんは、大魔王の権能によって、悪魔となった。恐らく、もう元に戻すことはできない」


────もう、戻せない。


その言葉を聞いた私は、咄嗟にメアリーの顔を見たくなる。何故だかは、分からない。それでも、見たくなった。


……ああ、そうか。


彼女が悲しみ、苦しんでないかを…私は確認したかったのだ。


だって、メアリーはまだ幼く、私の可愛い妹なのだから。


…しかし、私の妹は大人であった。


「シャーナお姉ちゃん」


刹那、メアリーが私の肩をポンポンと、叩く。彼女のその小さな手は、微かに震えていた。


それでも、彼女の瞳は覚悟で満ちていた。まるで、私がどのような選択をするべきか知っているかのように。真っすぐな瞳だった。


そんなルビーの宝石のような色の瞳で、彼女は私の耳元でこう囁く。


「今度こそは、大切な人を一緒に守ろうね。"アンナ"……ね?」


アンナ・ロード。


それが、私の前世の名前。


思えば、マーガレットもメアリーと同じように泣き虫だった。でも、マーガレットは大切な人の死によって変わった。


それと同じように、メアリーも変わったのだろう。恐らく私の断片的な記憶しか覚えてないであろう彼女が。


そして、私の前世の名を知る彼女の声は………どこか私のかつての親友マーガレットを思い出させてくれた。


────まさか、本当に彼女がマーガレットだったなんて。


そして、それがたとえ偶然だったとしても。


私は、その偶然を作ってくださった神様に感謝する。


だって、私は………もう一度、マーガレットを。


メアリーを。


守ることが出来る。


そして、お父さんだって、守りたい。


私は欲張りだから、全部守りたいんだ。


だから、私はグルーシャさんに対して、一歩前に出て言う。


私がこの世界で守りたいもの、その全てを守る…そんな決意の言葉を。


「それでも構いません。今は見つけられなくても、これから見つけてみせます。グルーシャさん、私は私の大切な人を全て救いたい。だから、私達を新大陸に連れて行ってください」


「………覚悟は、あるんだな? 口先だけではないんだな?」


「はい。もちろんです」


────分かっている。分かっているとは言ったけど、今の時点で、これは完全に私のエゴ。


あくまで今の時点では、みんなを守りたい願いも、お父さんを救いたいという願望も、全て私の口先だけのエゴに過ぎない。


でも、それで良い。


今だけは偽善者でも良い。


最初は偽善者でも、その偽善が純粋な善行へと変貌し、最後には世界を救うことだってある。


だから、今の私は、少なくとも偽善者ではありたい。


みんなを守るために、その口約束をして、それを絶対に死ぬつもりで守る。


私はただの偽善者にはなりたくない。


みんなを救う。その口だけの善を、いずれ本当の善行として実行したいから。


だから、この物語は、私が口だけの偽善者から、みんなのヒーローになるまでの物語。

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