第6話
大学の寮の窓から抜け出した怪しい影が大学エデンの中をこそこそと移動している。レアはそんな怪しい影のあとを、こそこそとつけて回っていた。
誰だろう? 泥棒かな?
そんなことをレアは思った。
明るい夜だったので、すぐにその影の正体はわかった。
月が照らし出したその小さな影の正体は意外な人物だった。
大学エデンの中だけではなくて、世界中で、とっても有名な人。
天才の中の天才。
大学エデンはじまっていらいの天才。
白い兎と呼ばれている種族の少女。
ミカだった。
頭に兎の耳が生えている白い髪と肌をしたとても美しいお人形みたいな少女だった。
年齢は十四歳。
飛び級で大学エデンに首席で入学している。
ミカは本当に天才で、すでにたくさんの偉業を成し遂げているのだけど、ミカを世界中で有名にした、もっとも偉大なことはどんな病気や怪我にでも効果がある神の薬を研究によって生み出したことだった。
そんな天才が夜中になにをしているのだろう? (ちょっとだけレアはわくわくした。だから、すぐには声をかけないで、ちょっとだけあと追いかけてみることにしたのだ)
ミカはどうやら大学エデンの大図書館に向かっているようだった。
実際にミカは大学エデンの大図書館の閉まっている正門の前までやってきた。
「あの、なにをしているんですか? ミカ」
とレアはミカに声をかけた。
「わ!! 見つかってしまいましたか!?」
すると、とっても驚いた顔をして、後ろを振り返ってミカは言った。(まるでかくれんぼをして遊んでいる小さな女の子が鬼に見つかったときみたいだった)