第4話 いつまでも。果てることなく。夢を見る。(それが生きるってことなのかな?)
いつまでも。果てることなく。夢を見る。(それが生きるってことなのかな?)
大学エデンのある北のほうにある大陸の海辺の土地から神域(南の大陸)までは気球に乗って空を飛んで、だいたい一週間くらいはかかる。
そんな辺境の大陸にある神域は本来、絶対に立ち入ってはならない禁忌の土地だった。(国際法によって立ち入りが禁止されたいるのだ)
「レア。サンドイッチ食べますか?」
「うん。食べる」
そう言ってレアはお行儀の良い姿勢で椅子に座ると、テーブルの上に置いてあったサンドイッチを手に取ってもぐもぐととっても美味しそうに食べた。
焼きたての細長いパンにハムとチーズとレタスをはさんだ大学エデンの食堂で売られているサンドイッチ。(すぐに売り切れになってしまう。あんまり買えない人気のサンドイッチだった)すごく美味しかった。
「うん。すごく美味しい」
もぐもぐと口元にパンくずをつけながら、サンドイッチを食べているレアは言った。
「ふふ。あ、それから、コーヒーもありますよ。飲みますか?」
元気にサンドイッチを食べるレアを見て嬉しそうな顔をしながらセラが言った。
「飲む」
とレアはいう。
それからレアはセラの淹れてくれた美味しいコーヒーを飲んだ。
トッピングに、とっても甘い生クリームと小枝みたいなチョコレートの乗っている贅沢なコーヒーだった。
レアはほっとする。(興奮していた気持ちもおさまってきた)
さて、美味しいサンドイッチを食べて、お腹もいっぱいになったし、じゃあ早速準備に取り掛からないといけないな。
そう思って、レアは神域に行くための準備をばたばたとしながら始めた。
「あらあら」
ふふっと笑いながら、セラはそんなレアのことをまるでお母さんみたいにして、(甘いコーヒーを飲みながら、チョコレートのクッキーを食べたりして)楽しそうな顔をしながら見ていた。
レアは大きな旅行鞄を持っている。
その鞄の中にたくさんの神域の資料と必要になると思われる専門書などの本。それから、今まで集めたいろんな地図や冒険の道具など、それらをレアは笑顔で、まとめて旅行鞄の中に(無理やり押し込むようにして)めいっぱい詰め込んでいく。
その様子はなんだか遠足に行く前の子供みたいだった。
(実際にレアの思考はもうすでに、遠い空を飛んで、街を越えて、海を越えて、まるで風のように、あるいは鳥のように、遥か彼方にある未開の大陸。神域にまで飛んでいた)
そんなばたばたとしているレアを見て、くすくすと小さく幸せそうな顔でセラは笑った。
待っててね。お母さん。
私。必ずお母さんの夢を叶えてみせるからね。
旅行鞄を閉めながら(なんとか全部入った)そんなことをレアは思った。