第3話
レアはとんとんと軽快な足取りで、古い豪奢な木の階段を上って、(とても歴史ある建物らしい)寄宿舎の自分の部屋まで戻ってきた。
ようやく、神域への旅行の許可が大学長から貰えたのだった。(三年も待ったのだ。本当に時間がかかってしまった)
レアはとっても嬉しくて、ずっと、ずっと笑顔だった。(とっても、にやにやしていた)
「ただいま」
そう言って、レアは自分の部屋のドアを開ける。
レアの部屋には一人の美しい少女がいた。とても優雅な仕草で、椅子に座ってコーヒーを飲んでいる美しい白色の癖っ毛の髪の少女。
その自分のルームメイトの少女を見て、「許可がとれたよ。セラ。よろしくね」とレアは言った。
そんなレアの言葉を聞いて、セラは珍しく本当に驚いた顔をした。
セラは世界にほんの数人しかいない本当のお金持ちの家族たちの一人で、お金持ちの中のお金持ちだった。(本物の大富豪のお嬢様だった)
大学にもとってもたくさんのお金を寄付している。
お金持ちだからお仕事をする必要もない。(羨ましい)
なのに冒険者をしている。
本当なら冒険者のような危険なことはする必要はないのだけど、冒険が大好きで冒険者をしているという、(子供のころからの夢だったらしい)そんな風にセラはちょっとだけ変わったお嬢様だった。
(だから変わった人ばかりいる大学にいるのかもしれない)
セラもレアと同じ大学の生徒で、レアとは違い神獣学ではなくて、考古学の教室に通っている優秀な成績の生徒だった。
「おめでとうございます。レア。でも、よく『あの変わった大学長』の許可がとれましたね。何年かけても、絶対に無理だと思ってましたわ」
と小さく上品な仕草で微笑んでセラは言った。
「まあいろいろと頑張ったからね。あとちょっとだけずるもしたし」
へへっと舌を出して子供みたいな顔で笑ってレアは言った。