第20話 白い月の兎の踊り
白い月の兎の踊り
白い兎に伝わる伝統的な踊りを(白い月は白い兎たちの信仰する聖地でもあった)白い月明かりのしたで、ミカが踊ってくれる。それはとっても、とっても、幻想的な雰囲気のある美しい踊りだった。
レアとセラはじっとミカの踊りを見る。
白い月の光に照らされて白く光る真っ白なミカの姿はとても綺麗だった。
神域と不思議な満天の砂の星の輝く夜と大きな白い月と踊る白い兎。
まるで御伽話の中にでもいるみたいだと思った。(あるいは、夢を見ているみたいだった)
踊りを踊り終わると、ミカはにっこりと笑ってから、レアとセラにゆっくりと小さな青色の帽子をとってお辞儀をした。
ぱちぱちぱち、と小さくレアとセラは拍手をした。
ミカは照れてほんのりとその白い頬を赤色に染めた。
「この踊りには幸運を呼び込む力があると言われいるんですよ。レアとセラに、それからもちろん私にも幸運がきっと幸運が訪れます」
と言って、くすくすとミカは楽しそうな顔で笑った。
それから、小さな炎を消して、三人は小さなテントの中に入って眠りについた。
神獣の歌は、ミカが踊りを踊る前に、聞こえなくなった。
レアは眠る前に、神獣の歌声を思い出していた。
……、まるで、とっても昔の小さな女の子のときに、神域で(夢の中で)お母さんと一緒に聞いた歌を思い出すようにして。
回る回る。世界はまわる。
いろんなものを食べる好奇心旺盛な子供の兎
神域の不思議な形の果物をくんくんと匂いを嗅いで、図鑑(世界の不思議な果物図鑑 大学エデン)で調べてから、ミカは、あーんと口を大きく開けて食べようとした。
「あ、こら! ミカ! 危ないから食べちゃだめですよ!」
とセラがお母さんみたいにミカに注意をする。
「大丈夫ですよ。ちゃんと調べてますから。これは食べられますよ。たぶんですけどね」と戯けた様子でミカは言う。
でもその手に持っている変な色の不思議な模様のある果物は、どうみてもあんまり食べても大丈夫そうには全然見えなかった。