第17話 神域の不思議な森 おかえりなさい。 ただいま、お母さん。
神域の不思議な森
おかえりなさい。
ただいま、お母さん。
「子供はとても残酷なんですよ。だって本当のことしか言いませんから。それがとてもひどい真実だったとしても、子供はそれを本当のことだと信じることができます。それが真実だって、本当に信じてしまうんですよ。それが信じたくないとても残酷な現実だっとしても。それが心のないひどい嘘であったとしてもね。それはやがて呪いになります。でも、言葉をお守りにすることもできます。光り輝いている言葉は、本当に子供の心を守ってくれているんです。ちゃんと。いつも、どこでも、私たちがそばにいないときでもね。子供たちの心の中できらきらと光り輝いているんです。頑張ったね。とか、偉いねって、褒めてあげるんです。すると、子供は成長しますよ。だって、愛しているよって、言ってあげているのと同じですからね。愛があれば、子供は成長するんです。自分が愛されているとわかっているとなんでもできるようになるんです。本当に。すごく嬉しそうな。幸せな顔をしてね」
神域の不思議な森の中に咲いている見たこともない美しい花を見て、ミカは言った。
神域の森の中に生えている木や草や花はどれも見たことのないものばかりだった。
ここは神域。
神様の世界。
本当なら人間が踏み入れてはいけない場所。土地。そして、領域。
神域に行くということは、人間の枠の外側の世界にいく、ということなのかもしれない。
人間ではなくなるということ。
大きな罪を背負うこと。
お母さんも初めて神域にやってきたとき、こんな気持ちだったのかな?
私の小さな死体を持ち運びながら、お母さんはどんなことを考えていたんだろう?
そんなことを歩きながらレアは思った。
神域の不思議な森の中を歩くときに、レアたちはセラ、ミカ、レアの順番で並んで歩いていた。
セラはみんなの安全を守るために一番前を歩いていて、レアはミカがなにかいたずらをしないように見張るために、ミカを真ん中に置いて一番後ろを歩いている。