表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/22

第12話 夢の繭

 夢の繭


「人が成長しようとするときには、夢を見ます。その曖昧な意識の中で、まるで繭の中で成長する蝶のように、人は夢の中で成長するのです。その形を『本当に違うもの』に変えるんですよ」

「夢の中で、形を変える?」

「はい。そうです。人は生きている中で、本当に夢を見るようにして、その心の形を変えていきます。自分の心の形が変わった実感。その体験自体を共有。あるいは追体験してもらうこと。それが私にとっての教育です。だからレアも、私と出会って、少しでも自分の形が変わったと思ってくれたらうれしいと思います」

 そう言ってから、ムーン大学長はゆっくりとずっと、その小さな顔につけていたへんてこなお魚さんの仮面をとって、美しい素顔になった。

(月には海がないから、お魚さんはいないなって、そんなことをレアは思った)

 お人形のように、あるいは、まるで本物の天使のように美しい顔がある。

 その大きな瞳は青色で、それはどこか空のようにも、あるいは深い海のようにも思えた。

「レア。大学長である私からあなたに伝えることがあります。あなたがずっと求めていた神域への冒険の許可のことです。今まではずっと却下していましたが、大学エデンから正式に神域への冒険を許可します。神獣を見つけて、その本当の姿を私たちに教えてください。それはきっとあなたにしかできないことです。『神獣と心を通わせることができる』あなたにしかできないことなのです。レア。あなたはそのために生まれてきた『運命の子』なのかもしれません。私たちのこれからの未来を決めるのは、レア。あなたなのです。お姫さま」

 ムーン大学長はそう言って、とても悲しそうな顔で、小さく笑った。

 レアは突然のことで、なんだかぼーとしてしまったのだけど、レアとムーン大学長から言われて、まるで夢から覚めるようにはっとすると(少し前にも同じようにぼーとしてしまったし、なんだか今夜は本当に夢を見ているような、そんなとってもいろんなことがたくさん起こる不思議な夜だと思った)大きな声で「ありがとうございます!! ムーン大学長!」とお辞儀をしながらそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ