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第3話 今日ももふもふスローライフ配信始めます!! 2

“ん? 見た事ない野菜だな? 野菜?”

“俺も見たことないけど、あんな野菜あったっけ?”


「この2つの野菜、今日のクッキーに入れる予定なのですが。実はこの野菜、ラビが地球産の野菜とダンジョン産の野菜を、交配して作った物なんです。な、ラビ」


 俺が野菜を持ってラビに話しかけると、俺の言っていることが伝わっただろうラビが、えっへんと腰しに手を当て胸を張って立った。


“魔獣が交配!?”

“確かに今までも、かなりの新種の物が作られてきたけど”

“まさか魔獣がそれをやるなんて”

“あれって協会の専門の人達がやるんだろ?”

“別に一般の人がやったって良いんだよ。ただ申請をしろって話し“

“そうなのか”

“それにしたって、魔獣が交配するなんてな”

“ラビたん凄~い!!”

“さすがラビたん!!”


「野菜については別の日の配信でやるつもりですが、気になる方は俺の名前で協会に登録してあるので、検索してみてください』


“後で検索しよ”

“ラビたんの野菜、できるなら食べてみたい!”

“ラビちゃん大好きな私は絶対に食べないと!!”


 まずは途中までの工程は2つとも同じなので、新しい視聴者さんにもわかりやすいよう1つずつ説明をし、クッキーの生地は無事に出来上がった。そうして基本のクッキーはそのまま型抜きをして完成。


 基本のクッキー作りが終われば、次はラビが作った新種の野菜を使ったクッキーを作っていく。と、ここで事件は起きた。


まぁ、原因は俺なんだけど。


「それじゃあ野菜を切っていきますね。2つありますが、野菜を作ってくれたラビが好きな方から……」


 野菜の1つは青色が強く、もう1つの方は少しだけ青色が暗く、ラビは青が暗い方の野菜が好きだったため、俺はそっちの野菜の手を伸ばしたのだが……。

 間違った。ニコニコしていたラビが、俺が野菜を掴んだ瞬間、俺の顔にドロップキックをかましてきた。そのドロップキックにより、その場に倒れ込む俺。


“あ、くらった”

“今のは完璧に入ったんじゃないか?”

“これは間違えたなw”

“ラビたんが好きな野菜は、色が少し暗い方の野菜の方……と” 

“色がなぁ。あれじゃあ見慣れるまで間違うかもな”

“あーあ、ちゃんと確かめないから”

“おーい、生きてるかぁ?”

“大丈夫だろ、その辺この子達はちゃんと分かってるから”

“お、足が動いた、生きてる生きてるw”


「イタタタタ、俺間違えたか?」


 俺が頬を摩りながら起き上がるとラビに聞いた。するとラビは片足をパシパシ鳴らしながら、もう1つの方も野菜を見て。その後は、2つの野菜を俺の所に持ってきて。きゅうきゅうと鳴きながら、野菜が違うだろう、と俺に説教をしてきた。


「悪かったよ、次は気をつける」


『きゅ!!』


 しっかりしてくれよって感じで、野菜をもとの位置に戻し、自分の位置に戻るラビ。


“怒られる保護者w”

“これじゃあどっちがどっちだかw”

“ラビたん、さすが!!”

“ラビた~ん!!”


 はぁ、これでまた俺への反応が……。


 その後俺は、間違えないように、そしてドロップキックをされないように。細心の注意を払いながら、何とか綺麗にクッキーを焼き上げることができた。


 良い匂いが部屋中に漂う。そしてオーブンからクッキーを取りだし、テーブルに運ぼうと後ろを向くと。

 さっき視聴者さん達が言っていた通り、いつの間に起きたのか。ブーちゃんがベランダから俺の後ろに移動して、クッキーを食べるスタンバイをしていた。


“やっぱりw”

“くそっ、気にしてたのに、今日も移動するところを見逃した!”

“私も”

“俺もだ。誰か移動したところ見たか?”

“いや、俺は見てないぞ”


 コメント欄が、ブーちゃんが移動しているところを見ていない、ってコメントで溢れる。そう、ブーちゃんの動いている姿を見るのは、かなり難しんだ。たぶん今回も、誰も見てないんじゃないかな。


“今回も全滅か~?”

“くそ、次回こそ絶対に見てやる!!”

“ブーちゃん専用カメラがあればなぁ”


「みなさん、次回は頑張って、ブーちゃんが動くところを見てくださいね。では、最後試食に移ります」


 クッキーをお皿に分け、飲み物を用意し、カメラマンの晴翔も席に着いたら、みんなで今日のクッキーを食べる。ラビもププちゃんもブーちゃん、みんなニコニコしていたから、今回のクッキーはやはり成功だろう。

 今回、俺が野菜を間違えて、ラビにドロップキックをおみまいされた以外は、問題なく配信を終える事ができそうだ。


「それでは今日の配信はここまでになります。次回の配信予定は3日後を予定しています。詳しくは【もふっとチャンネル】サイトをご覧ください。そしてもし俺達の配信を気に入っていただけたなら、良いねとチャンネル登録お願いします。それでは次回!! ほらみんな挨拶して」


『きゅう!!』


『ぷぷぷ~!!』


『みょおぉぉぉ!』


“今日も楽しかった!!”

“お疲れ様でした!!”

“では皆さんまた次回”

“ラビちゃ~ん、またねぇ!!”

“ププちゃん、今日も可愛かったよ!!”

“ブーちゃん、次回こそは!!”


「それではまたよろしくお願いいます! じゃあ!!」


 全ての機材のスイッチを切り、配信が完璧に止まっている事を確認する。ふう、これで話しても大丈夫だな。


「タク、お疲れ!」


「晴翔もお疲れ! みんなもお疲れ様!!」


『きゅう!!』


『ぷぷぷ~!!』


『みょおぉぉぉ! み……むふぁぁぁぁ』


「はは、クッキー食べたらまた昼寝か」


「まぁ、ブーちゃんだからな。さぁ、俺達は片付けをしよう」


「ああ」


  ふぅ、今日の配信も無事に終わらせる事がでいて良かった。……ドロップキックさえなければ。

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