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ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!  作者: ありぽん


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第26話 ププちゃんのボールの行方と驚きの出会い

(現在)


「は?」


「え?」


『きゅい?』


『ぷぷ~?』


『ブー、ブー、ブー?』


 おい、ブーちゃん! いびきの疑問系って何だよ! いやいや、じゃなくて、こんな時に何寝てんだよ! お前仮にも魔獣だろう。しかももしかしたら俺たちの中で1番強いかもしれないだろうに。今俺達の前に、このダンジョンに居ないはずの魔獣が居るんだぞ!


『きゅい? きゅい!? きゅいい!!』


『ぷぷ!? ぷぷ~!! ぷぷ~!!』


「あっ!! 待てププちゃん!! 行くんじゃない!!」


 俺は急いでププちゃんを追う。ダメだププちゃん、いくら小さいといえそいつは!!


『ぷぷぷ~!!』


 すぐに追いつき、ププちゃんを抱える俺。そしてこれまたすぐに、奴から離れようとしたけど。俺がどれだけ慌てているか知っているはずなのに、ププちゃんは突然現れたここに居ないはずの奴に、ボールの話しをし始めたんだ。


『ピュイ?』


『ぷぷぷ~、ぷぷ?』


『ピュイ!! ピュイピュイ!!』


『ぷぷぷ~!!』


「え? ……あ」


「タクッ!! 早く離れろ!!」


「あ、ああ!!」


『ピュイ!? ピュイピュイ!!』


『ぷぷ? ぷぷぷ~!!』


 戻ろうとした俺は、ププちゃんの言葉に止まってしまう。


「……お、おい、ププちゃん、ちょっと待て。勝手に話しを進めるな!?」


『ピュイ、ピュイ!!』


『ぷぷ? ぷぷぷ~!!』


「はあぁぁぁぁぁぁ!!」


 洞窟内に俺の声が響き渡った。


      === === === === === === === === === === === === ===


(30分前)


「で、お前はゆっくりしに来たはずなのに、何をしてるんだよ」


「見れば分かるだろう。ボール投げだ。しかもちょっと激しめの」


「はぁ、何でそんな事になったんだ。これじゃあ俺まで一緒にやらされ……」


『きゅう!!』


『ぷぷ~!! ぷぷ! ぷぷぷ!!』


 今のはラビが、晴翔が来た!! って言って。ププちゃんが、やった~!! 遊ぼう!! ボール投げしよう!! って言ったんだ。

 そして結局俺と、ダンジョンに来たばかりに晴翔は、ププちゃん達のちょっと激しめのボール投げに付き合わされる事に。


 何故こんな事になったのか。それは俺が天井をぼけっと眺めながら、ゴロゴロしているところに、ププちゃんがボールを投げてきたところから始まった。


 ラビ達が遊んでいた方角から突然ボールが飛んできて、お俺の顔にクリーンヒット。ちょっとイラッとしながらボールを投げ返せば、さらに強めのボールが飛んできた。

 何するんだって怒れば、もうゴロゴロしてゆっくりできただろうから遊ぼうって。というかゴロゴロし過ぎだと言われ。まだ1時間だぞ。


 俺は意地でも動くものかと、それからのラビ達にボール攻撃に耐えていたが。結局根負けして、ププちゃん達の相手をする事になってしまったんだ。しかもちょっと激しめのボール投げのな。2匹は、自分で使える技を使いながらボールを投げてくるから、結構威力があるんだよ。


 そしてゆっくりとは程遠い、激しめのボール投げをしているところに、晴翔が合流したんだ。


 それからどれだけ、ボール投げに付き合わされた事か。そんなに時間はたっていなかったかもしれないけど、激しめのボール投げだったから、こっちが疲れてきて。休憩しようと、色々お菓子やご飯でププちゃん達を釣って、何とか説得に成功したんだ。したんだが。


 最後にププちゃんが投げたボールが、ププちゃんが力を入れすぎたせいで、ビュッ!! と遥か彼方まで。というか、洞窟の奥の方へ飛んでいって、見えなくなっちゃったんだよ。

 なにしろププちゃんの大切なボールだからさ、すぐにボールを探しに行く事に。起きないブーちゃんをおんぶして、俺達は洞窟の奥へと向かった。


 この洞窟の奥には、大きめの岩がたくさん集まっていて、すぐ側には大きめの湖がある。誰かがいて、ボールがぶつかっていなければ良いけどとか、ここまでは1本道だからボールはあるはずだけど、もしも見つからなかったら、ププちゃんが凄く悲しむだろうな、とか。

 

 色々考えながら進んだ俺。湖に着くと、幸いな事にそこには誰もおらず、ププちゃんのボールの被害者は出なくてすんだ。だが最悪な事に、ボールがどこにも見当たらなかったんだ。


 ブーちゃんをその辺に置いて、急いで湖の周りを探す俺達。だがボールはどうしても見つからず。これはいよいよ諦めるかないと、ガックリと肩を落としているように見え、とっても悲しそうにしているププちゃんに、諦めるように話した俺。


「ププちゃん、これだけ探してないなら、もしかしたらボールは本当は浮くはずなんだけど、ボロボロ過ぎて湖に沈んじゃったのかもしれないぞ。明日新しいボールを買いに行ってあげるから、ボールは諦めて帰ろう。な」


『ぷぷぷ……』


「湖に潜って探すって? この広い湖のどこに沈んでるか分からないんだぞ。な、お前の色の新しいボールを買ってやるから。他にも好きな物を買ってやる。だから帰ろう?」


『ぷぷぷ……』


 ああ、ププちゃんが泣き始めてしまった。そうしてどうしてもそこから動かないププちゃん。仕方ないと俺はププちゃんを抱き上げようとする。と、その時だった。


『ピュイ?』


 湖には俺達以外居なかったはずなのに、ラビ達以外の魔獣の声が、俺達の真後ろから聞こえて。俺と晴翔はすぐに戦闘態勢をとった。そして鳴き声の正体を確認する。

 そして確認した瞬間、俺は思わず動きを止めてしまい。俺達の後ろに居たのは、まさかの生き物だったんだよ。固まる俺。そしてそれは晴翔も同じだったようで。


 だがそいつがまた鳴いた事により、今度は思わず俺もラビ達も晴翔も、声を出してしまった。


「は?」


「え?」


『きゅい?』


『ぷぷ~?』


『ブー、ブー、ブー?』


 ってな。これが現在の俺達の状況につながるまでの出来事だった。そして俺達家族と、新しい家族との出会いだったんだ。

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