5 再来訪
「どうしてっ…・!どうして私の願いは叶っていないの…!どうして…!!!!!!」
そう言う彼女の目からは涙が溢れていた。
そう。これは数分前のこと。
不意に彼女がお店に現れた。
それも随分と酷く疲れた…そしてお怒りモードでこのお店のドアをバン!!と力強く開け
とても普通ではない様子でやってきたのだった。
目は腫れぼったく、長い時間泣いていたのだろうかと連想させるようなものだった。
「おぉ愛理さんではないですか。お元気でしたか?」
そんな愛理さんの様子なんて気にもせず、いつものペースで声をかけたタサン。
シュン、紘…さんと俺も含め3人は、彼女の尋常じゃない様子を見て後ずされりしてしまい
少し距離を置いた。
「願いが…願いが叶ってないの…!!!なんで…!!!夢の実を食べたのに!!!」
彼女は力強く、大きな声で言い放った。
「ほほ~う。ふふふ、そしてまたこの街に迷い込んでしまったんですね。」
「そ、そうよ…!家に帰って眠ってしまったら、目覚めたらまたここにいたの!」
俺はなるほど。と少し思った。
こういう失敗のケースもあるのか、そして叶わなかったという記憶は残っているんだな。
少し彼女と距離を置いているからか、冷静な態度でこの状況に望めた。
「愛理さん。私たちは愛理さんの願いを叶えましたよ。」
「…!?か、かなってないわよ…!!!」
「愛理さんの願いはライブ配信で1位になること。よく思い出してみてください、叶っていたじゃないですか。」
何でもおみとおしだ___そんな雰囲気でタサンは言った。
「…た、たしかにそう願ったけど…叶ったけど…。
だ、だれも…だれも私のこと認めてくれなかった!!
認めてもらわなきゃ意味がない!!!!」
認めてもらいたい____彼女はそう言っていた。
彼女の必死に訴える姿に、俺の心臓はドクンと鳴った。
「ん~ん、困りますねぇ。愛理さん、あなたの本当の夢は何ですか?
本当はもっと、違う願いがあったのではないですか。そういうことなのでしょうか?」
「…っっっ。」
タサンがそう言うと、図星といったふうに顔をしかめた。
「本当は…、」
彼女は下を向いて、涙を流していた。
「ただ…ただ、クラスのみんなに認めてもらいたかっただけなの…っ。
友達になりたいって思ってほしかった…。」