プロローグ
銃声、砲弾の弾着、怯えつつも訓練通り前進する隊員、対戦車火器により沈黙した戦車から火の手が上がり搭乗員が叫び飛び出してくる。無情にも敵の弾丸は人を選ばずその隊員達に死を降らせる。
これが戦争…
今思えば、この国は非常に苦労を重ねた国だと思う。
かつて1世紀も前の事、アジアの小国がロシアの大艦隊を打ち砕き、半世紀前には大国に向け矢を放ちその力を世界に示した。
万人が優秀かつ人望に熱い人達ではなかったかもしれないが、今の日本より、よほどこの国を思い行動してきた方々が多かったかもしれない。
だが今の日本はどうだろうか?
アジアの日出る国は今や大国の顔色伺い、未だ年寄りが王座につき若者を踏み付け、政治家達は国民の金で裏金づくりに励んでいる。
終戦から半世紀以上経った今も、経済的な成長を見せずに国民への負担を増やし続けている。
我々自衛隊にもその余波は届き、生きるためには自腹で装備を整えなければならない。
思えば戦争になるのも時間の問題だったのかもしれない。
私はこの国が好きだった。
平和で子供の頃から近所の方は優しく、災害が起これば皆手を取り合い復興へ向け前進していくこの国は、決して他の国なんかに負けない素晴らしい国だと思っていた。
今更こんな考えを話しても敵は止まらない。
私は私にできることをする。
今はそれだけだ。