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モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
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第95話 蘇る男

 真耶はアポロンの姿を周りの位置関係から把握すると、アポロン目掛けて駆け出した。その速さはさっきよりも速い。アポロンはその速さに一瞬動揺するが直ぐに適応し迎え撃つ。


 そして、2人がどちらも攻撃出来る範囲まで来ると、両者ともに攻撃をする。真耶は残った右腕でプラネットエトワールを振る。アポロンはその両腕で殴りかかる。


 アポロンが攻撃すると真耶はプラネットエトワールで防ぎ攻撃をする。しかし、その攻撃をアポロンは防ぎ反撃をする。だが、真耶はそれすらも防ぐ。2人はそれを無限に繰り返す。どちらも攻撃を当てられない攻防が繰り返される。


 ルリータは霞む目でその戦いを見ていた。しかし、その剣は全く見えない。拳も全く見えない。両者共に人が成し得る速さでは無い速さで攻撃を繰り出している。


 しかし、そんな時あることに気がついた。なんと、真耶はいくつか攻撃を受けている。頬や腕にかすり、傷ができている。しかし、その傷は全て再生しているのだ。どういう理屈かは分からないが、傷は全て治っていく。


「っ!?」


 ルリータはその不思議な状況に言葉を失った。


 そして真耶は、楽しそうに笑いながら戦っていた。


「ハハハ!女はどうした!?お前の中に力を感じないぞ!」


 アポロンは大声でそう叫びながら攻撃をする。


「教える道理は無いな。そんなことよりお前の額に汗が垂れてるぞ。暑いなら冷えピタ貼ってやろうか?」


 真耶はアポロンの言葉など気にせず冗談めいたことを言って攻撃をする。両者ともに話が噛み合わないまま戦い続ける。そして、話が噛み合ってないのに話し続ける。


「フンッ!女は死んだか!軟弱なやつは戦いに参加することさえ許さんからな!」


「勝手に決めつけるな。お前のその理論で行けば、神はほとんど戦いに参加出来んぞ」


「そういう事だ!だから、俺が貴様を殺せば参加出来るということだ!」


「頭が悪いやつの計算みたいになってるぞ。意味がわからん。逆に言えば、お前が死ねば参加できるということになるぞ」


「口の減らない男だ!」


「それはお前だろ」


 真耶はそう言って剣を振る。さらにその勢いを保ったまま側宙をする。その途中で足を伸ばしアポロンを蹴る。


 アポロンはそれを避けるとその拳を真耶に向けて振りかぶった。しかし、真耶は特殊なステップを踏み避ける。


「ちょこまかと……小賢しい!一気に潰してやるよ!」


 アポロンはそう言うと全身の魔力を爆発的に強め、拳に灼熱の炎を灯らせる。そして、その拳を連続で奮った。


 その刹那、真耶はとてつもなく嫌な予感が全身を襲う。そのため、咄嗟にその場から離れた。すると、アポロンから炎の拳の弾丸が飛ばされた。


「っ!?」


 真耶はそれを見て驚くが、体を硬直させるなんてことはなく即座に対応し避ける。避けきれないものは剣を当て無理やり軌道を変え躱した。


「まぁ、この程度だったらまだ余裕だな。片腕でもどうにかなる」


 真耶は笑いながらそう言う。すると、アポロンも笑いながら言ってきた。


「フッ、ならこれはどうだ?”サンシャインラッシュ”」


 アポロンはそう言って連続で空気を殴りまくる。すると、アポロンの手に宿る灼熱の炎がさっきと同じように弾丸となって真耶を襲ってきた。


 しかし、違うことが1つある。それは、その弾丸の範囲が異常に広いこと。そして、その弾丸が異常に大きいこと。そして、自分の背後にルリータがいた事だ。


「……距離はこれくらいか……。あと2分程度でルリータに当たる。そして、あの攻撃は避けられそうにないな。範囲が広すぎる」


 真耶はそう言って横を見た。大体真耶がいる位置から200メートル程先までが範囲だ。真耶はそれを見て腹を括る。


「片腕では防げない。さっき分かった。だったら、受けは無い!」


 真耶はそう言って走り出す。その目には凄まじいほどの殺気が宿っていた。


 大体あと数十秒でルリータのいる場所まで攻撃が及ぶだろう。そうなればルリータの顔はそれこそぐちゃぐちゃに変形させられてしまう。それでは、ルリータの可愛く美しい顔が台無しだ。絶対にそうはさせない。そんな気持ちで真耶は駆け出す。


 と言っても、この弾丸に攻撃しても意味が無い。恐らく今の真耶の力では防ぐことも出来ないだろう。唯一出来たとして、起動をそらすくらいだ。


 しかし、まだ出来ることはある。攻撃した時にそれしか出来ないだけであって、避けてしまえばそれをする必要は無い。だから、攻撃を躱してアポロンを叩けばそれで終わりだ。


 だが、それには技術が必要だ。寸分の狂いも許されない。だが、それが出来なければ終わる。終わらないためにもやるしかない。


「……!日本で沢山見たはずだ!あのクモの男の動きを……!」


 真耶はそう言って右手首に着いているシューターから悲しみの糸を放つ。そして、それを力いっぱい引っ張った。すると、糸は凄まじい力で収縮し始める。真耶はその力も使って加速する。


 そして、ジャンプし空中で体制を変え弾丸と平行になるようにした。さらに、弾丸の隙間に狙いを定める。真耶はその隙間に近づいていき、そのままその隙間をすり抜けた。


「っ!?」


 真耶はすり抜けると直ぐにアポロンの顔を蹴る。真耶の足の裏が吸い込まれるかのようにアポロンの顔のど真ん中に直撃する。そして、アポロンは力なく倒れる。真耶はその勢いを殺しきれずに地面に落ち、少し遠くに地面を擦りながら止まった。


 アポロンは倒れて直ぐに起き上がる。鼻血を大量に吹き出しながら真耶がいた方向を向く。しかし、そこには既に真耶の姿はなかった。


「っ!?」


 アポロンは真耶の姿がどこか分からず一瞬焦る。しかし、直ぐに背後に向かって振り返りながら裏拳を繰り出した。すると、その拳はなんと、背後にいた真耶にぶつかる。


 どうやらアポロンは分かっていたらしい。真耶が後ろにいると。しかし、アポロンは分かっていなかった。後ろにいる真耶が偽物だということを。


 裏拳を当てたアポロンは直ぐにその事実を知り動きを止める。なんと、真耶の体が煙のようになって消えたのだ。アポロンはその真耶の姿を見て直ぐに、自分が幻を見せられていると思った。そのため直ぐに術を解こうと体をつねる。だが、何故か痛みを感じる。そこで初めてこれが現実だと知った。そして、初めてそれが罠だと気づいた。


 気がつけば、何者かによって両足の足首を掴まれている。それに気がついた時には既に地面に吸い込まれていた。そして、頭を残して体の全てが地面に埋まる。アポロンはそんな異常な状況に頭が追いつかなかった。


 しかし、あることだけはわかる。それは、真耶によって嵌められたのだと言うこと。そして、既に真耶は攻撃態勢に入っていると言うことだ。


 アポロンがそう思っていると、既に真耶は剣を振り上げていた。そして、勢いよく振り下ろす。そうすることで殺すつもりだ。しかし、そう簡単にやられるアポロンでは無い。


 なんと、アポロンは無理やり両腕を地面から出し真剣白刃取りで真耶の剣を受け止める。それを見た真耶は一瞬だけ体が硬直するが、直ぐに状況を判断し動き出す。そして、止められた剣で攻撃するのをやめ、別の放浪で攻撃することにした。


「死ね」


 真耶はそう言いながらアポロンの顔を全力で蹴った。すると、アポロンの体が地面から出てくる。さらに、蹴られた勢いで少し離れたところまで飛ばされた。


 アポロンは飛ばされると直ぐに起き上がり真耶を見る。しかし、真耶は既に目の前まで来ていた。そして、その手にはプラネットエトワールが握りしめられている。


 このままいけば首を切り落とせるだろう。しかし、アポロンはその腕を途中で蹴ることで剣を上に弾きその攻撃を防いだ。そのせいで真耶の腕は上に弾かれプラネットエトワールは宙を舞う。


 その時、その場にいたアポロンとルリータは思っただろう。これでもう終わりだと。なんせ、今の真耶には左腕がない。だから、右腕を封じられれば攻撃ができないのだ。


 しかし、真耶は無くなった左腕アポロンに向けていた。しかし、向けていたところで攻撃はできないはず。なんせ、左腕は無いから。


 しかし、その時アポロンは自分の目を疑うことが起きる。なんと、真耶の左腕があった場所に深緑色のオーブのようなものが集まっていたのだ。そして、何故か深緑色の淡い光を放つ腕が形成されている。


「っ!?」


 咄嗟にアポロンは逃げようとした。しかし、魔法が上手く発動せず逃げられない。そんなアポロンの顔を真耶は鷲掴みした。そして、弾かれた右腕を無理やり動かしプラネットエトワールを上手くキャッチすると、そのままアポロンの首まで持っていく。


「これで……俺の勝ちだ!」


 真耶はそう叫んでアポロンの首を切りさこうとした。その刃はアポロンの首へと向かっていく。


 そして、当たる直前で甲高い音が鳴った。


「っ!?」


 真耶はその光景を見て言葉を失う。なんとそこには、ゼウス、アレス、アテナの3人がいた。

読んで頂きありがとうございます。

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