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モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
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第56話 ルクセリアルムチェイン

「っ⁉︎」


 アテナは真耶に剣を掴まれて少し慌てる。なんせ、真耶は怪我することも承知の上ででその刃を握りしめているからだ。


「捕まえた」


 真耶はそう言ってニヤリと笑う。そして、剣を握っている手とは逆の手で黒く光るエネルギーを溜め込んだ。アテナはその手を見て危険を感じた。そして、必死に逃げようとする。しかし、なぜか離れられない。まず、剣から手が離せない。


 真耶はそんな慌てるアテナを見て不敵な笑みを浮かべると、その体に黒い光を叩き込んだ。その瞬間、アテナの体に何か嫌な感じの何かが流れ込んでくる。詳しく説明はできないが、ただ嫌な感じがするものだった。


 そして、その嫌な何かはアテナの体の中をものすごいスピードで駆け巡っていく。それだけで体全身が気持ち悪くなるような気分になった。さらに、なぜかお腹が痛くなってくる。どう言うわけかは分からないが、お腹が痛くなってきている。


「っ⁉︎何で⁉︎い、痛い……!」


 アテナは腹を押さえてうずくまってしまった。すると真耶はそんなアテナを蹴り飛ばす。そして、魔法で紐を作り出し距離を詰めた。


「”呪怨玉じゅおんだま”だよ。呪いとかと怨念とかそんな感じの負のエネルギーを極限まで詰め込み圧縮させた。1度圧縮した負のエネルギーは次に爆発した時周りの人全員に衰弱の効果を与えるんだがな、人の体の中ではじけさせることでその人だけに効果を与えることが出来る。苦痛に悶えろ」


 真耶はそう言って不敵な笑みをうかべた。そして、振り返ってアフロディーテを見つめる。


 アテナはとてつもないほど苦しそうな顔をして真耶を見る。そして、かすれきった声で問いかけた。


「なん……で、剣が……」


「なんで剣が離れなかったのかってか?簡単な話だよ。理を変えただけさ」


 真耶はそう言って魔法で針のようなものを作ると、アテナの心臓付近に突き刺す。すると、アテナは一瞬ビクッと痙攣を起こして意識を失った。


「っ!?殺したの!?」


「殺してはいない。気絶させただけだ。夫婦喧嘩に他人を巻き込む訳にはいかないからな」


 真耶はそう言ってモルドレッドと見つめ合う。すると、ヘファイストスとアーサーがモルドレッドの前に出た。どうやら2人も真耶と戦うつもりらしい。


「……ヘファイストス、お前の力は強い。だが、それは使い方によって変わってくる。俺みたいに使い方が上手いやつは強いが、お前みたいなやつは弱い」


 真耶はそう言って自分の体に巡る魔力を手のひらに集める。そして、左目に魔力を溜めて言った。


「お前らには教えておいてやるよ。この技の名前を。”呪怨負縛陰陽連鎖ルクセリアルムチェイン”だ」


 真耶はそう言って右手に作り出した剣を戦力で握る。そして、全力で殺気を飛ばした。すると、アーサーとヘファイストスはその殺気を受けて体を硬直させるが、何とか意識を繋ぎとめ真耶の前に立つ。


「さすがだな。だが、今自分の死んだ姿が見えただろ?それは現実だ。お前らは俺に勝てない」


「そうかもしれないが、そうじゃないかもしれない」


「未来は分からないってことか?」


「そうだな」


「確かに、未来は分からない。だが、現実は分かる。俺は全員から忘れられ、モブとなって全員から見られなくなった。存在してるのに、知られようと、見られようと頑張っているのに全てはねのけられて知られも見られもしない。そんな現実だけ分かる。だからさ、俺はそんな現実を受け止めようと頑張っているんだ。それの延長線上が未来だ。現実を受け止めようと未来を見すえた。それが未来だ。だから、俺は未来が見えている。さぁ、抗えよ。俺は友として、最も親しい者として全力で相手をしてやる」


 真耶はそう言って左目だけじゃない。両目に神眼を浮かべた。そして、リーゾニアスと作り出した剣を両手に構える。


「本気で行くよ。”融合ヒュージョン”」


 その時、真耶の持っていた剣が融合した。そして、リーゾニアスの刃が赤く変色する。


「……初めて使ったな。何十万年前かくらいに手に入れたのに、未だにこんな使い方したこと無かったな。でも、初めてにしては上手くいったな」


 真耶はそう言って笑う。


「剣を融合させただけだろ。なぜ初めてなんだ?」


 アーサーはそう聞いてきた。真耶はそれに対してニヤリと笑って答える。


「地脈と繋げたからだよ。”理滅王剣りめつおうけんリーゾニアス・炎天獄フレイムフレアライド”。これが新しいこの剣の名前だよ」


 真耶はそう言って剣を振り払う。すると、剣にまとわりついていた炎が弾き飛ばされ周りの建物を燃やし始める。


 アーサーはそんな真耶の剣を見て言葉を失った。しかし、それでも戦おうとする意志を曲げない。


 真耶はそんなアーサーとの距離を一瞬で詰めた。そして、直ぐに剣でアーサーの腹の当たりを切ろうとする。しかしアーサーはその攻撃を難なく防いだ。そして、流れるような動きで反撃をしてくる。


 しかし、真耶はその反撃を難なく避けるとアーサーの攻撃の途中で迫ってきた刃を人差し指と中指で挟んでとめた。


「っ!?」


「捕まえた。”真紅しんく紅蓮血斬ぐれんちぎり”」


 真耶はそう言ってほぼ0距離で攻撃を放つ。すると、アーサーは何とか離れようと剣に力を込めた。しかし、何故か剣が離れない。さらに、剣に触れている手すらも離れない。


 アーサーは慌てて逃げようとしたがどうやら難しそうだ。しかし、逃げることが難しくても防ぐことは出来る。


 アーサーは頭の中でそう考えて真耶の剣を蹴り飛ばした。そのせいで真耶は剣の軌道を変えられる。


「さすがだな」


「隙ありよ!”グランドファイア”」


 ヘファイストスが巨大なハンマーを振り上げながら真耶に襲いかかってきた。真耶はそれを見て剣から指を離して振り返ると、バク転のようにジャンプしアーサーを飛び越えてからもう一度攻撃をする。


 しかし、何故かアーサーもヘファイストスも逃げたり防ごうとしたりしない。それどころか、不敵な笑みを浮かべてこっちを見ている。


 そして、その時真耶は理解した。ヘファイストスの攻撃の目的が真耶ではなく地面だったことに。


 なんと、ヘファイストスの攻撃で地面が溶岩のようになってしまった。そのせいで地盤が緩み真耶がたっている場所が少しぐらつく。アーサーは直ぐにその場から離れて溶岩の影響を受けないくなる。


「やってくれたな」


 真耶はそう呟いて剣を地面に突き刺すと、手をパンっと合わせる。そして、一気に魔力を右手と左手に集めた。すると、右手に黒い魔力の玉、左手に白い魔力の玉が現れる。真耶はその玉を作り出すと、ゆっくりとその玉を合わせていく。


「”陰陽結合おんみょうけつごう”」


 その瞬間、2つの玉が混ざりあってとてつもない爆発が発生した。

読んでいただきありがとうございます。

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