第52話 絶世の美女と奇妙な街
それから真耶は少し歩いて塔の前に来た。これまでの道中、突然女性が全員服を来ていないゾーンがあったが、みんな平然としている様子を見て疑問に思いながらきたのだ。
「この街ってホント痴女だらけだよな」
『そういうあなたも同じ格好なのよ。しかも、何も思ってないなんて……』
「考え方の違いだ。俺はこれを恥ずかしいとは思わない。それだけだ」
真耶はそう言って塔に入ろうとする。すると、突如扉が開き中が見える。すると、そこには女性がたっていた。その女性は神々しいオーラを放ち露出度が高い服を来ている。
しかし、かなりオシャレをしているようで、全然変に思えない。さらに、顔は絶世の美女と言っても過言ではないだろう。この世界にいるかいないか分からない位の美女だ。
「フッ」
真耶はその女性を見てニヤリと笑う。そして、直ぐに目の前の女性が誰かを理解した。
「あなたが新しくこの街に来た人ね。ふーん……いい胸をしてるわね。それで、私のところに何しに来たの?」
「いえ、服を着たく思いまして……」
「あなたが服を着るの?ダメよ。あなたみたいなスタイルのいい人はそのからだを見せつけなければならないの。だから、あなたには服を着たら死ぬ呪いをかけるわ」
アフロディーテはそう言って真耶に服を着ると死ぬ呪いをかけた。
「っ!?」
「じゃあね」
アフロディーテはそれだけすると塔の中へと入っていった。そして、塔の扉はピッシャリと閉められる。真耶は開けようとしたが、謎の力に阻まれて扉に触れることさえもできない。
真耶はアフロディーテが入って行った塔を睨みつけると、すぐにその場から離れた。
「全く……何なんだよ。服を着たら死ぬ呪いって。まぁ、逆に納得が行くけどな」
真耶はそう呟いて自分のステータスプレートを見た。そこにはちゃんと呪いがかけられているのが書いてある。
真耶はどこからかバッグを取りだしものを探す。
ちなみに、このバッグは収納魔法的なもので隠している。正確に言えば、4次元的に見た時意外ではちょうど存在しない部分に隠している。だから、3次元のこの世界では触ることは愚か見ることさえもできない。
真耶はそんなところからバッグを取りだし中から服を取りだした。そして、平然と服を着始める。
「……」
フェアリルはそんな真耶を不思議そうに見つめる。真耶はそれに気がついて答える。
「ん?呪いは大丈夫なのかって?当たり前だろ。俺には通用しない。そもそも、アフロディーテは呪いが下手くそだよな。単に馬鹿なのかそこまで上手くないのかは分からんがな」
「……?」
フェアリルはさらに不思議そうな顔をした。
「なぜって?考えてみろよ。俺みたいな呪無効のやつはこの世界にもいる。かなり希少だがな。だから、基本的に耐性や無効を貫通するような呪いをかけなくてはならない。だが、アフロディーテが使った呪いは貫通効果が何もついてない。だから、体制があるやつは耐えるし無効のやつは効かないってことだ。で、俺は無効だから効かない」
真耶はそう言って上から下まできちんと服を着る。しかし、ここで新たに疑問が生まれた。それは、真耶には先程呪いが付与されたと言うことだ。無効で効かないなら付与されることは無い。だが、ステータスプレートにはきちんと書いてあった。
「……???」
「フッ、なんで書いてあったのかは簡単な事だ。呪いの効果を受けたのが俺ではなくクロエだからだよ。だから、ステータスプレートには書いてあった。今俺とクロエは重なり合ってる状態だからな。だが、既に解呪はしてあるから問題は無い」
真耶はそう言って不敵な笑みを浮かべる。そして、周りを見渡して少し目に魔力を溜める。そして、目の力を発動させる。その目に映ったのは次元眼だった。
真耶はその目を浮かべるとすぐに魔法を発動する。
「”次元変え”」
その瞬間、真耶とフェアリルの体が消える。そして、どこからも見えなくなった。
「……!?」
「フッ面白い技だろ。俺達は一切場所を動いてないのに姿が消える。逆に、俺達から見えなくなる人も存在する。これが4次元だよ。角度を変えることによって3次元では存在しない場所に入り込むことができる。さ、このままアフロディーテを殺しに行こう」
真耶はそう言って塔に向かって歩き始めた。ちなみに、今まで真耶達がいた場所はそこまで離れていなかったから2分程度で塔の前に到着した。
「因みにだがな、この壁や扉も存在しない場所がある。だから、次元の角度をそこに合わせて変えれば……ほら、こうして無くすことが出来る」
真耶はそう言って塔の扉を消してしまった。どうやらこれが4次元の世界の凄さらしい。専門用語みたいなのが色々出てきてややこしいが、とてつもなく凄いということだけはしみじみと感じた。
真耶は扉を消すとそのまま中に入る。そして、アフロディーテがいると言われている塔の1番上まで向かい始める。
塔の中はかなり広い。階段は螺旋階段なため途中で目が回りそうだ。それに、何故か人がいない。いや、普通に見えない場所にいるだけだろう。
真耶達は何事もなく最上階まで来ることが出来た。そして、最上階の扉の前に立つ。さすがにここで不用心に扉を開ければ、何かしらの反撃があるはずだ。だから、今回も同様扉を消す。
そして、真耶は扉を消した。扉が無くなると部屋の中へと入っていく。しかし、そこには何も無い。しかも、誰もいない。
と思っていたら普通に何も見えない角度だった。真耶は少しだけ角度を変えてアフロディーテを探す。すると、アフロディーテはお風呂に入っていることに気がついた。なんせ、風呂場の着替えをする場所に着替えが置いてあるからだ。
真耶はそれを見ていくつか思う。まず、こんなところに風呂があったら塔の下はびしょびしょだよなと。なんせ、この水は流されて下に落とされるのだから。
そしてもう1つ。こんなところに服があったら服を隠して困っている姿を見たい。真耶はそう思って服に手を触れ3次元からでは絶対に見えない空間に置いた。
そして、自分も見えないようにしてアフロディーテが風呂から上がってくるのを待つ。すると、アフロディーテは直ぐに上がってきた。そして、誰もいない空間……いや、真耶がいる空間に向かって言う。
「出てきなさい。もうわかってるわよ」
「っ!?」
真耶はその言葉を聞いて少し驚くが、動かない。もしかすると鎌をかけているのかもしれないからな。
だが、次にアフロディーテがした行動を見て真耶は直ぐに次元の角度を変えた。そして、アフロディーテの前に立つ。
「あら、えらい子ね。次元ごと潰してしまおうと思ったのに」
「さすがにそこまでされると俺もやばいからね。咄嗟に次元を変えてよかったよ」
「賢い子ね。それに、俺っ子ね……。あなたは私って言った方が良いわよ」
アフロディーテはそんなことを言ってくる。どうやらまだ目の前の女性が真耶だと気づいてないらしい。
「……そうね。じゃあ私にしようかしら。まぁ、どっちでも良いけどね」
真耶はそう言って早速剣を抜きアフロディーテに襲いかかる。しかし、アフロディーテは全く動こうとしない。
真耶の白刃が煌めく瞬間には既にアフロディーテの間合いに入り込んでいた。そして、刃が首を狙って進んでいく。
しかし、途中でその刃は弾かれた。
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