第51話 フェアリルと2人の旅
12死星は真耶に対して暴言を吐くなどして批判した。
「ふざけるなよ!」
「あんたなんかに出来るわけないでしょ!」
「僕達がどれだけ頑張っていると思ってるんだ!」
12死星はそんなことを言う。しかし、サンドドラゴンだけは何も言わない。なんせ、その強さを知っているからだ。
しかし、知らない人達はこういって暴言を吐きまくる。
「待て待て!こいつの強さは我が知っている!我に免じて信じて……」
「まぁ待て。そうだよな。俺の力を信じないよな。分かってたよ」
真耶はそう言って奇妙な笑い声をあげる。すると、その恐怖心にその場の全員が言葉を失った。真耶はそんな状況になるとさらにニヤリと笑って言う。
「じゃあこうしよう。俺が神を殺せると実力を発揮出来たら良いんだろ?今から殺しに行ってやるよ」
真耶はそう言って席を立つ。そして、フェアリルを抱っこしたまま扉の前まで歩き出した。そして、扉の前に立って振り返ると、ニヤリと笑って扉を開け出ていく。
サタン達はそのなんともしれない恐怖に体を硬直させられながらも真耶を見送った。
「アイツ……絶対に怒らせちゃダメだよな」
サンドドラゴンはそう呟いて汗を拭った。すると、他の全員も冷や汗をダラダラと流しながら同じことを言う。
「「「そうだな」」」
皆そう言った。
真耶は部屋を出るとすぐにゲートを作り出す。そして、魔界とペンドラゴンを繋げた。
さすがに真耶位の実力になれば、初めて来た世界を繋げることも容易い。基本的にゲートを繋げる時はその世界の座標を設定するのだが、かなり難しい。普通の人は座標なんか分からないのでカンでやっているのだが、真耶は神眼で分かるので簡単に出来るのだ。
「……」
その時、フェアリルが無言で真耶の服を掴んで引っ張ってきた。なにか伝えたいようだ。だが、真耶程の実力ともなればすぐに分かる。
「大丈夫、心配するな。お前は俺が守るからついてきていいよ」
真耶は優しく微笑みそう言った。すると、フェアリルは少し安心したのか優しく笑う。真耶はその時、久しぶりにフェアリルの笑った顔を見た。
「……」
真耶はそれが嬉しくなりフェアリルの頬をぷにぷに揉む。そして、こんなに心を壊されてもまだフェアリルという存在は消えてないのだと分かり安心した。
真耶はそんなことを頭に思い浮かべながらゲートをくぐる。そして、再びペンドラゴンの地へと足を下ろした。
「さて、神を殺すか。ゴッドキルだな」
「?」
「いや、何でもない。とりあえず行こうぜ。場所の目安はついている」
真耶はそう言って歩き出す。そして、新しい街であるグレイの街へと向かった。
ちなみに、グレイの街というのは花が有名らしい。真耶はひまわりとかそう言う話か知らないが、皆花に詳しいし、グレイローズと呼ばれる薔薇が世界で1番有名だとか。
あと、この知識は1年前に真耶が本を読んで調べた知識だ。今どうなっているかは分からない。だが、一つ言えることはここにアフロディーテがいる可能性がとにかく高いということだ。
なぜそう言えるかって?それはな、簡単なことなのだよ。
「……はぁ、絶対アフロディーテが好きだよなぁ。だってあいつ、美の女神だもん。可愛いとか美しいとかそう言うのがあるところに絶対いるんだよな」
真耶は少しだけ呆れながらそう小さく呟いた。そして、グレイの街に向かって歩き始める。フェアリルは、少し歩きたそうにしていたが、何故か真耶にしがみついて離れないからそのまま抱っこしたまま向かった。
それから真耶は30分ほど歩いた。すると、グレイの街の門が見えてくる。真耶は門を見て少しスピードを上げた。そして、門の前に立つ。
「かなり早くついたな。2時間ほどかかると聞いていたのだがな。まぁいい、すぐに入れてもらおう」
真耶はそう言って門の近くにある検問所のようなところまで向かった。そこには女性が立っており、武装している。
「すまない、街に入りたいのだが構わないか?」
「用事は何ですか?」
「買い物だ」
「分かりました。これに手をかざしてください」
そう言って謎の機械を取りだして真耶の前に出す。その時真耶は気がついたのだが、何故かその女性は大事な部分以外何も来ていない。だから、武装しているのは胸とお尻、股だけ。あとは槍を持っているくらいだ。
「変な服だな。なんでそんなの着てんだ?」
「……あなたに関係ないですわ」
「……悪かったな」
真耶は女性の暗い表情を見て、何かを察してそう言った。そして、機械に手をかざす。すると、機械は少し光を放って消えた。
「……ちゃんと女性ですね。入っていいですよ」
そう言って門を開ける。
「ん?お……私だけでいいのか?」
「えぇ、その子は見たところ子供だし、女の子意外に見えないわ」
女性はそう言った。フェアリルは女の子であることは間違いないのだが、別に子供では無い。多分だけどな。
結局のところ、真耶も分からない。なんせ、年齢なんて聞いたら最後。真耶の死は決定する。それほどまでに女性に歳を聞くというのは禁忌なのだ。
「……」
真耶は少し疑問に思いながらも街へ入った。そして、すぐにその街の光景を目の当たりにして言葉を失う。
なんと、街の中にいた住民は皆女性だけなのだ。そして、その全員が露出度の高い服を着ている。
「っ!?全員痴女かよ……」
真耶は驚きながらそう呟いて周りを見渡した。よく見ると、街の住民は服を着ている真耶を羨ましそうに、そして異端者を見るかのような目で見る。
「すみません、この街では服を着ることは禁止しています。服を着るのであれば、アフロディーテ様がご指定なさった服を着る以外ありません。1度アフロディーテ様とご対面してください。あと、それまで服を着ることは禁止します。聞き入れられない場合は犯罪者としてあなたを捕らえます」
突如、女性がそんなことを言ってきた。その言葉を聞いた真耶は頭がおかしいのではないかと思って呆れる。しかし、ここで逃げてしまえば本当に犯罪者だ。さすがに犯罪者はまずい。
「……その前に、アフロディーテがどこにいるかを教えてくれ」
「アフロディーテ様は正面にある塔のてっぺんにおられます」
「分かった」
真耶はそう言って服を全て脱いだ。当然だが下着だ。そして、服を全てバッグの中に詰め込む。
「これでいいか?」
「はい。問題ありません。それではごゆっくり街を堪能してください」
女性はそう言ってどこかへ行ってしまった。真耶はそれを見て、もう一度周りを見る。よく見ると、服を着ている人と同じくらい服を着ていない人もいる。そういう人は下着すら来ておらず、大事な部分が丸見えだ。
「……ま、普通なら恥ずかしいんだろうけどさ、全然恥ずかしくねぇんだよな」
真耶は誰にも聞こえないように小さく呟く。そして、そう言えばフェアリルが何も言われてないことに気がつく。真耶はそれに気が付きフェアリルを見ると、既にフェアリルは裸になっていた。
「行動が早いな」
そう言ってアフロディーテがいると言われた塔をめざして歩き始める。
『ねぇ、なんで恥ずかしくないの?』
クロエが突如そんなことを聞いてきた。それに対して真耶は答える。
『何でって、女性の体は誰かに見せるためにあるものだろ。男の生殖器とか見てもなんも興奮もしないし気持ち悪いだけだけど、女性のものは18歳未満の人が見れない本になるほど人気だろ。だから見られたところで何も思わないんだよ。それに、俺の本当の体じゃねぇしな』
真耶は平然とした顔でそんなことを言う。クロエはそんな真耶に呆れて何も言えなくなった。
しかし、一つだけ言えることがある。それは、とてつもなく恥ずかしいと言うことだ。なんせ、この胸はクロエの胸と全く同じ大きさ。だから、恐らくクロエの特徴が出てるのだろうと思われるからだ。
それはクロエが見られてるのと一緒。だから恥ずかしいのだ。
『恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
クロエは真耶の体の中でそう大きく叫んだ。
読んでいただきありがとうございます。