第221話 シナリオ
━━真耶達が激しい戦闘を繰り広げている中、また別の場所では激しい攻防が繰り広げられていた。
それは、アイティールとモルドレッドの2人の戦いだった。2人は珍しく怒り、睨み合い、激しい戦いを繰り広げている。
「このクソ猫!突然現れたくせに、なんでヒロイン枠取ってんのよ!」
「うっさいにゃ!メタい話するにゃ!」
2人はそんなことを言っている。その様子は正直なところ、クソどうでもいい感じがした。しかし、こんな人気のないところで2人は戦っている。当然クソどうでもいい対決なわけがない。
モルドレッドは何度も光線を放ちながらアイティールに言った。
「あなたは今の真耶を見てどう思ったの?いいと思った?それとも、昔を知らないから何も言えないとか言うつもり?」
「にゃんでそんにゃ事聞くにゃ?」
「まだ分からないの?私はあなたの中の魂のことをもう知っている。なんでかわかるかしら?」
「っ!?……半殺しにして聞き出すにゃ。”深紅・火炎息”」
アイティールの妖艶な唇から激しい炎が吐き出される。少し色気を交えるように唇を尖らせその炎の威力をあげた。さらに、ピンク色の唇が火傷しないようにその術の練度をあげている。
モルドレッドはその技を見て鼻で笑った。そして、大きい光線を1発だけ放つ。すると、大きい光線が向かってくる炎をほとんどかき消してしまった。さらに、光線はアイティールに向かって行く。
アイティールはそれを見てサッと躱した。そして、さらに何か手で印を結んで術を唱える。
「”水禍・水波楼”」
今度はアイティールの口から水が勢いよく吹き出してきた。そして、その水が波のようにうなり、桜のように咲き誇る。
それだけの量の水が腹の中に入ってたら、ボテっとした腹になってるだろって思うほどの水がアイティールの口から出てきた。その様子は先程とはまた違った妖艶さを感じる。
「だから無駄だって!分からないの!?」
アイティールの技は再びモルドレッドの光線に消されてしまった。アイティールは口元に残った水を手で拭って、その手のひらに着いた水を剣の形に変形させる。
「”水禍・激流閃・連撃”」
アイティールは光線を躱しながらモルドレッドとの距離を詰めた。これまでの攻撃のお陰で足場もできていたし、モルドレッドには近づけていた。既に射程内だ。アイティールは容赦なく剣を振り下ろす。
しかし、モルドレッドには届かない。モルドレッドは細かい光線を全身の周りに張り巡らせ剣をバラバラにしてしまった。だから、攻撃はほとんど通じていない。
「厄介にゃ」
「そう?なら、もう諦めたら?」
「にゃんでそうにゃるにゃ?」
アイティールは少し呆れた様子でそう聞いた。すると、モルドレッドは可笑しそうに笑いながら言った。
「なんだ、諦めたからそんなこと言ってた訳じゃないのね」
「にゃあはちょっとやそっとじゃ諦めにゃいにゃよ」
「へぇ、そう……。なら、私が勝ったらあなたは私の奴隷にでもしようかしら。毎日あなたのお顔がとろっとろにとろけるまでぐちゃぐちゃに犯してあげるわ」
「怖いこと言うにゃにゃ。おみゃーまだ子供にゃのにませてるにゃ」
アイティールは身体を震わせながらそういう。すると、モルドレッドは小さく笑って言った。
「あなた、本当に犯し甲斐がありそうだもの。さるぐつわとかつけて、痛めつけて、泣かせたら楽しそうだわ」
モルドレッドはそう言って笑みを浮かべる。アイティールはそれを見てさらに怖気付いてしまった。しかし、すぐに平常心に戻って言った。
「無理するにゃにゃ。怖くにゃいにゃ。それに、にゃあをぐちゃぐちゃに犯していいのは真耶だけにゃ。おみゃーとにゃあでは真耶への愛の重さが違うにゃ」
アイティールは頬を赤らめそういう。
「愛の重さね……愛があるから……憎しみが生まれるのよ」
モルドレッドはそう言って光線を大量にアイティールに向けて放った。アイティールはそれを全て躱して少し距離をとる。
正直この時アイティールには何故モルドレッドがここまで真耶を憎むのか理解できなかった。しかし、これほどまで憎むということはモルドレッドにとって何か人生を揺るがすことが起きたのだと理解する。
そして、何となく真耶の両親のことが思い浮かんだ。それは、まだアイティールが転生する前のイザナミだった時のこと。イザナミはいつものように真耶の家へと遊びに来ていた。そして、その日は珍しく家にあげて貰えた。いてに入ると清潔で落ち着いた感じの部屋が沢山現れる中、不思議な部屋を見かけた。
そこはなにか別物だとすぐに理解できた。魔法陣が描かれその真ん中には淡く光る炎のようなものが浮かんでいる。そして、その周りを球状にして囲むように結界が張ってある。そういうものだった。
イザナミは真耶と遊ぶことがそっちのけになるほどそれに見入ってしまった。真耶による静止を力ずくで振り切りその部屋の中に入る。すると、すぐに真耶の両親が現れた。その様子に真耶も驚いていた。
「あ……ごめんなさい……」
イザナミは謝罪をする。しかし、真耶の両親は許してくれなさそうだ。お尻を出しなさいと言ってきている。その命令に背く訳にも行かず恥ずかしながらズボンと下着を脱ぎお尻を突き出した。そして罰を受けた。
その瞬間ですらイザナミはその部屋に見入ってしまっていた。何度叩かれても痛みすら感じずその部屋に見入ってしまっていた。
それから少ししてイザナミは自我を取り戻した。そして、急激にお尻に痛みが襲ってくる。気がつくと真耶の両親はめちゃくちゃ硬く分厚い板で叩いていた。
「いぎぃぃぃぃ!!!ゆるじでぐらじゃぁい!!!」
思わずそう声が漏れる。すると、真耶の両親は小さな声で言った。
「良かった。まだその時じゃないんだよ」
「あなたの役目は真耶の恋人になること。まだその時じゃないのよ」
2人の言葉を聞いた瞬間、何か悪寒がした。しかし、その時はその意味が理解できずにただ痛みに泣くしか無かった。しかし今は違う。モルドレッドが何故こんなふうになってしまったのか、その答えは真耶の両親が握っている。
だとしたら、今のアイティールにできることはモルドレッドを止めることくらいだ。きっと、よからぬ事を考えている真耶の両親の策略に乗らないため、モルドレッドを止めなければならない。
「……おみゃー今愛があるから憎しみが生まれるって言ったにゃ。にゃら、おみゃーが真耶を憎んでるにゃらおみゃーは真耶を愛してるってことにゃ?」
アイティールは少しおちょくるような顔で聞く。すると、モルドレッドは言った。
「そうじゃなかったらあなたを殺そうとしたりしないわ。はっきりさせましょ。真耶の正妻はあなたじゃないのよ」
モルドレッドはそんなことを言ってくる。その時アイティールは理解した。今こうして2人が戦う理由は、どちらが真耶にふさわしいかを決めるためであると。そして、ここでモルドレッドが勝ってしまえば、きっとそれは真耶の両親のシナリオどうりに進むことになりモルドレッドは死ぬのだと。
「……」
アイティールはゴクリ吐息を飲んだ。そして、汗を手で拭った。
「やるにゃ」
その言葉がアイティールの心に火をつけた。
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