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モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
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第170話 2人の魔法

 ━━化身が現れる少し前……


 クロエとルリータは急ぎめで陣を組んでいた。その大きさはかなりの大きさとなっており、個人としてはそろそろ完成なようだ。


「そろそろ合わせましょう」


 ルリータのその声にクロエは頷く。そして、2つの魔法陣を合わせ始めた。2つの魔法陣が呼応し、激しく風が吹き荒れる。さらに、その魔法陣同士は共鳴し合って雷まで落ちる。


「結構……負荷が大きい……!」


「耐えてください……!今は弱音を履いてる暇はないはずです……!」


 ルリータはそう言って魔法陣から溢れてくる魔力を抑え込む。クロエはそんなルリータを見ながら魔法陣に新しく式を書き足して安定させようとする。


 そんな時だった。アイティール達がいるところで爆音がする。そして、大量の砂塵が舞っていた。


「「「っ!?」」」


 どうやらアイティールの強力な一撃が炸裂したらしい。見ると、砂塵の中央で煌めく何かが見えた。恐らくアポロンだろう。


 そして、砂塵の中からアイティールが抜け出してくる。かなり焦っているようにも見えた。


「「「っ!?」」」


 その直後、アイティールの真後ろにアポロンが現れることに気がつく。2人はそれを見て少し焦った。しかし、アポロンの攻撃を剣で防いだアイティールを見て安堵する。


「”流星破壊メテオブレイク”」


 そんな声が聞こえる。すると、空から隕石が降ってきた。それも沢山。流星群だ。そして、その流星はアポロンの真上に落ちる。その衝撃で地面が揺れる。


「やりすぎでしょ……!」


 クロエがそうつぶやくと、今度はアイティールが何かを投げる。それは、かなりの速さでアポロンに飛んでいき、一気に膨張する。


 凄まじいエネルギーだった。触れればたまったものではない。そう思えて仕方がない。それに、いつものとは違って今回のものは刃があった。その為なのか、辺にあるものが切断されている。


「凄まじいですね」


「そうね」


「意外と私たちいらないんじゃないですか?」


 ルリータは少しだけ笑いながらそう言った。すると、今度はそのエネルギーに向かってヘファイストスが炎の刃を下ろす。


「すごい……!」


 ルリータがそう呟く。そして、向かってくる衝撃波に備えようとした。しかし、途中であることに気がつく。アポロンが魔力を溜めていたのだ。そして、気づくと同時にアポロンの魔法が発動する。


 すると、青白い光線が放たれた。幸いにもクロエ達を襲うことはなかったが、それでもかなりの威力だ。防ぐとか不可能なほど危険な感じがする。


 そんなことを思っていると、アイティール達がスラリと躱した。その様子を流石だなと思い、光線が行き着く先を見る。すると、その光線は壁にあたり、壁をとかしてしまった。


「……」


「普通にやばいですよ」


 そんなことを言う。そして、気を取り直して前を向いた。すると、アイティールが飛ばした剣が2本突き刺さっている。


「よし!そのまま畳み掛けて!」


 クロエはそう言った。喜びながらそう言ってニヤリと笑う。


 そして、その笑みが一瞬にして消されることになる。なんと、突然アポロンの背後からてが現れた。その手は獄炎を纏っており、危険な匂いがプンプンする。


 そして、その全体が顕になった時、クロエとルリータは絶望した。その体はとてつもなくでかかったのだ。そこら辺にある山よりもでかい。流石に勝てる気など起きない。


「炎の……化身……」


 クロエは目を丸くさせながらそう呟いた。そして、両手をふるわす。


「クロエさん!急いで完成させますよ!」


 ルリータは怯えるクロエに向かってそう言って魔法陣を完成させる速さをあげた。クロエもそんなルリータを見て速さをあげる。


「っ!?」


 轟音と共に炎が上がっているのが見えた。よく見ると、炎の化身の攻撃がアイティールに当たっているのがわかる。アイティールはそのせいでうずくまり、動けなくなっていた。それだけで胸が痛くなり、少し怖くなる。


 そんなことを考えていると、今度はヘファイストスが岩の化身を作り出した。岩の化身は現れるなり炎の化身に襲いかかる。


「っ!?」


「ははは……まるで怪獣大戦争ですよ」


 2人はそう言って2つの化身を見る。規模がデカすぎて言葉を失ってしまう。逃げてもいいって言われたら一瞬で逃げたくなるような戦いだ。


 前を向くと、アイティールが攻撃を仕掛けていた。先程までの炎が少し弱まっている。今がチャンスなのかもしれない。2人はそう思った。


「あと少しで完成するわ」


「そうですね!」


 2人はそんな会話をする。見ると、魔法陣はほとんど完成していた。あと少し工夫をするだけで完成する。


「……あの、この作戦って……本当に大丈夫なんですかね?」


「どうしたの?急に」


「いえ、私が提案したんですけど、この作戦で倒せなかったらどうしようと思いまして……」


「……そうね。どうなるか……分からないわ。もしかしたら失敗するかもしれない。でも、成功するかもしれない。そこら辺はやってみないと分からないわ」


 クロエはそう言ってにっこりと笑う。そして、空を見上げた。


「それにさ、真耶が助けてくれるって思ってるから」


「……人任せですね」


「もぅ、信頼してるって言ってよ!」


 2人はそんな会話をする。そして、スラスラと魔法陣を描いていき、遂に完成した。


「出来ました!」


「出来たよ!」


 ルリータとクロエは同時にそう叫んだ。すると、ヘファイストスとアイティールが反応する。


「……!」


 その刹那、アイティールの黒い闇のオーラが増えた。その量は膨大で、アポロンの炎さえも埋めつくしてしまう。


「2人共!今から隙を作る!それに合わせて当てて!」


 ヘファイストスはそう言って真剣な表情を浮かべた。そして、岩の化身に大量の魔力を送り込む。すると、岩の化身の動きが変わった。先程よりも速くなり、炎の化身を翻弄する。


 そして、炎の化身に一撃を与えた。すると、炎の化身は少しだけよろめいた。岩の化身はそんな炎の化身に抱きつく。


「アイティール!耐えて!”ばく”」


 ヘファイストスがそう叫んで両手を組ませ握りしめた時、岩の化身が大爆発をした。そして、炎の化身を消し飛ばす。辺りには爆風が吹き荒れ岩の雨が降った。


 そんな中アイティールはアポロンをめざして走っていた。落ちてくる岩石をすり抜けるかのように華麗に躱し、アポロンの目の前まで来る。


「……!」


 そして、アポロンの顔を1度殴り、黒い玉を20個ほど投げつける。それらの黒い玉は少しずつタイミングをずらして膨張した。


「っ!?」


 アポロンは化身がやられたことや、これまでのダメージの蓄積のせいで体があまりよく動かせない。そして、そのせいでアイティールの攻撃で手を止め、さらに隙を作る。


 だが、アイティールは慎重派だ。さらに7つの剣をアポロンの体にグサグサと突き刺し地面に固定させた。そして、アイティールとヘファイストスはそのままどこかに向けて走り逃げていく。


「やる!」


「ん!」


「「「”合魔ごうま超神聖ちょうしんせい終焉の世界ワールド・オブ・ジ・エンド”」」」


 眩い光とともに2人の魔法が放たれた。

読んでいただきありがとうございます。

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