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モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
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第137話 絶望の一撃

初めて前書き書きました!

鬱展開増えるかもですけど、クリックしていただけて嬉しいです。

「”暗黒閃あんこくせんらん”」


 アーサーは剣を勢いよく振り上げ、それより強い力で振り下ろした。すると、剣から赤黒い斬撃が3つほど飛ばされる。しかもそれらは、この世の物理法則を無視したかのような動きをしながら真耶に襲いかかってきた。


 真耶はそれを見て一瞬固まる。そして、思考をフル回転させどうするか考え出す。そうして真耶は避けることを選び、前に走り出した。


「っ!?」


 真耶は迫ってくる斬撃の小さい隙間をスルッと抜けていく。そして、受身まで完璧に取り着地をすると、その勢いを殺さないようにアーサーに向かって走り出す。


「それを避けるか……!」


「”疾風しっぷう瞬旋風しゅんせんぷう”」


 その時、真耶の姿が消えた。アーサーはそれを見て急に走り出す。凄まじい勢いで走り出したアーサーはそのまま勢いを殺すことなく飛び上がり空中を駆け出した。


 その速さは尋常ではなく一瞬にしてかなり離れた草原まで到着する。しかし、そこに来てもアーサーは止まらない。アーサーは何故か止まることなく草原を駆け巡る。


 そんな時、突如としてアーサーの目の前に真耶が現れた。真耶は風のような速さで、音を立てることも無く、かつ目で認識出来ないくらい透明になり追ってきていたのだ。その姿は本当に風のようだった。


 アーサーは真耶が現れた瞬間に合わせて攻撃を繰り出す。しかし、全く視認することが出来ない速さで繰り出される真耶の攻撃のせいで剣が弾かれてしまった。


 剣が空にはねあがる。真耶は連続で回転しながら空を舞う剣を見ながらアーサーを蹴りとばす。


「こういう時も技を使うんだよ!”銀河の隕石(ギャラクシーメテオ)”」


 真耶はそう叫びながらアーサーの顔面を蹴り飛ばそうとした。そして、真耶の足がアーサーの顔面に当たる直前に、謎の壁のようなものがあり拒まれることに気がつく。


「やっぱりか……!」


 その壁のようなものは真耶の蹴りと同じ威力の衝撃波を放った。そのせいで真耶の足が弾かれる。真耶はそのせいで体制を崩してしまった。


「チッ……!」


 真耶は左目を大きく見開き光らせると、その場から突如消える。そして、別の場所に現れた。どうやら転移眼テレポートアイを使ったらしい。


「逃げるのは速いな」


「当たり前だろ」


「弱虫の王者が……我に楯突くな」


「それは無理だな。全てを知るまでは終われないからね。そう、全てを……ね。俺の記憶はどうやら全て嘘らしいから、早く取り戻したいよ」


「……それが危険だとしてもか?」


「危険かどうかを決めるのは俺だ。お前じゃない」


 真耶は恐怖に満ちた笑みを浮かべながらそんなことを言う。それを聞いたアーサーは少しだけ怒ったような表情を見せ言った。


「お前が日本からペンドラゴンに召喚された時、あの時お前は聖教会に召喚されたよな?」


「……それがどうした?」


神代しんだいの頃から我々アヴァロンの民には王家の血が流れてきた。その血が特に濃いものが王となる。お前がなれなかったのはそういうことだ」


「……何が言いたい?」


「王家には敵がいる。それは神だ。神はどんな状態であろうと必ず殺す。もしくは無力化する。仲間にできるのなら仲間にする。それが我々王家が神代の頃から受け継いできた決まりだ」


「過去に囚われし王家か……見苦しい家族だ。過去の栄光に囚われ続けている。だがそれも一興だ」


 真耶は静かにそんなことを言う。すると、アーサーは言った。


「過去の栄光にしがみつくことの何が悪い?しがみつく過去すら無いお前になにか言われる筋合いは無いな。それに、お前に一つだけ言えることとしたら、お前には未来すらもない。今ここで俺が殺すからな」


 アーサーはそんなことを言ってニヤリと笑った。


「……強くなるにはそれなりの代償が必要だ。俺は右目と左腕を代償にした。一体お前は何を代償にするつもりなんだ?」


「……フッ、簡単な話さ。お前との繋がりだよ」


 アーサーはそう言って剣を構える。真耶はそれを見て少しだけため息を着くと、剣を構えた。


「それではおまえは強くはなれない。代償と言うのは、失って初めて必要だったと気づくのだ。お前とのつながりはもういらない」


 真耶はそう言った。すると、アーサーは静かに言い返す。


「そうか……なら、お前はその代償とやらを払って何を得た?どんな力を手に入れた?そもそも何かを得られたのか?いいや、そうじゃない。お前はそのふたつを失ったことで弱体化し、オリジナルのものは得られなかった」


「……お前……やっぱり……」


「フッ、やはり気づいていたか。お前は、理を操る能力をいつから自分のものだと過信していた?」


 アーサーはそう言うと、エンペラドールを鞘に収めエクスカリバーを抜いた。


「アヴァロンにおいて、最も強い剣はアヴァロンナイトだと思われていた。だが、実際は違う。本当に強いのはエクスカリバーだ。分かるだろ?お前の死はもう目の前まで来ているんだよ」


 アーサーはそう言ってエクスカリバーを振り上げる。すると、エクスカリバーに大量の魔力が集まり巨大な剣となった。


「これが本当の理滅の力だ。”理滅りめつ歪曲わいきょく”」


 アーサーはそう言って剣を振り下ろす。真耶はそれを見て咄嗟にリーゾニアスを抜いた。そして、それで受け止めようとする。しかし、全くと言っていいほど無意味だった。


 真耶の右腕は切り裂かれた。切り落とされはしなかったものの、右腕は今にもちぎれそうになる。さらに、切られた部分を中心として体を曲げようとする力を感じた。その力は容赦なく真耶の体を曲げていく。


 真耶の右腕がバキバキ音を立てて折れていく。それは、変な方向に曲がっているため治せそうにない。さらに、真耶は体さえも曲げられていく。右脇腹付近まで効果の範囲内だったようで、そこもバキバキと折られていく。


「クッ……ソッ……!」


 真耶はその力を受け右腕を使えなくさせられてしまった。しかも、リーゾニアスもぐにゃぐにゃに曲げられ壊されている。


「まだ終わりはしない」


 アーサーはそう言って真耶を蹴り飛ばした。すると、凄まじい勢いでアイティール達がいる場所まで飛ばされる。


 そして、真耶は地面に何度かバウンドし壁にぶつかり轟音を立てながら止まった。


 パラパラと瓦礫が落ちてくる。真耶は何とか体を起こし立ち上がると、降ってくる瓦礫の雨に打たれながら周りが見えるところまで移動した。


 しかし、真耶は見晴らしのいいところに行く前に衝撃的な光景を目にする。なんと、真耶の目の前にモルドレッドとアイティールがいたのだ。しかも、アイティールは両手足の指の骨を全て折られ、両腕はちぎれかけている。足の裏には針が突き刺さっており貫通している。さらに、体の至る所に穴が空いており、剣も突き刺さっている。そして、口には閉じれなくするように穴が空いた物を咥えさせられており、ヨダレがずっと垂れている。さらに、その痛みが激しかったからなのか失禁している。


 要するに、アイティールは壊されてしまったのだ。……いや、生物に対して壊されたという表現は不適切だ。だが、それが分かっていたとしても、そう表現するのが1番合っていると思わざるを得ないほどボロボロの体にされていた。


「あら?あなたもボロボロね。壊してあげようかしら」


 モルドレッドは真耶の顔を見るなりそんなことを言う。真耶はその言葉を聞いた瞬間、これまで感じたこともないようなドロドロの黒い何かを胸の奥に感じた。

読んでいただきありがとうございます。

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