第124話 勇敢な男の子
━━……それから数分後、ある街で……
「……こ、怖いよぉ」
「お、おい、泣くなよ。俺が付いてるだろ?」
そこには男の子と女の子がいた。2人は草むらで誰にもバレないように隠れて周りを見ている。
そして、男の子は泣いている女の子を慰めながら何かを探している様子だった。
「ま、またあの気持ち悪いのが来たら殺されちゃうよ……」
「大丈夫だよ。あんな化け物、俺が簡単に倒してやる」
「で、でもぉ……お父さんもお母さんも連れていかれちゃったし……友達もみんな捕まっちゃって……」
「泣くなよ。な?俺はいっつも強いだろ?」
男の子はそう言って女の子に強い姿を見せる。しかし、女の子は泣き止んではくれない。地面にボロボロと涙をこぼす。
そして、その時だった。謎の生き物が男の子達が隠れている草むらの近くに来た。男の子はすぐに気が付き女の子の口を塞ぐ。そして、何とか音を立てないようにした。
「……!」
「……!」
2人は一言も声を出さないように息を殺す。その緊張感からか、自分の心音が大きく聞こえる。女の子はその静寂に押しつぶされそうで、涙を流す。
そして、その時だった。ついに女の子が声を漏らす。
「うぅ……!怖いよぉ……!」
その小さなか弱い声は、その静まり返った空間では大きく聞こえた。そして、その声に謎の生物は反応する。さらに、男の子と女の子が隠れていることにも気がついた。
「っ!?ばか!お前のせいで気づかれちゃったじゃないか!」
「だってぇ!怖かったんだもん!」
男の子は女の子に怒るが、今はそんなことをしている暇は無い。一刻も早く逃げなければならない。しかし、その生物が近づいてくる恐怖に負けて、足が全く動かなくなってしまった。
「やだぁ……!死にたくないよぉ!」
「だ、だから、俺が着いてるって言ってるだろ!?く、クソッ!来るなら来い!俺が倒してやる!」
男の子は持っていたタガーを握りしめその生物と戦う意志を見せた。しかし、その手足は弱々しく震えている。
「そ、それ、お父さんの……」
「そうだよ!父さんから貰ったんだ!お前をなんとしても守れって!だから、負けるもんか!」
男の子はそう言ってそのタガーを強く握りしめる。そして、遂に男の子の目の前に謎の生物が来た。その生物は見た感じ2m以上の身長を持っており、顔の真ん中に巨大な目が着いている。そして、触手のような手が4本あり、二本足で立っている。全身は白い毛で覆われ背中には巨大な羽が生えており、頭の上に天使の輪が浮かんでいた。
「ひ、ヒィ!怖いよぉ!」
「な、何なんだよぉ……!ま、負けないぞ!」
男の子はそう言って謎の生物に向かっていこうとする。その時だった。どこからともなく声が聞こえる。
「そのタガーを右斜め前に全力で投げろ」
男の子はその言葉に驚き何も考えられなくなった。しかし、すぐに理解して慌てて投げる。すると、そのタガーはくるくると回転しながら宙を舞う。
そして、そのタガーは誰もいないところに落ちていく。
「そ、そんな……!」
男の子は絶望した。声に従ったせいで殺されてしまうから。そう思って涙を流す。そして、女の子に抱きついた。
「”真紅・円惨華”」
その時、突如頭の上に紅い光が点る。男の子は恐る恐る顔を上げた。すると、空にはイルミネーションのような綺麗な光が点っていた。
そして、その光に包まれるように、知らない男の人がタガーを持って立っていた。そのタガーには血が着いている。そして、その血と一緒に灼熱の炎が点っていた。
「あ、あなたは……!?」
「良くやったな坊主。良くここまで追い込まれても戦う意思を見せた。お前は絶対に強くなれるよ。このタガーもありがとな」
男はそう言ってタガーの血を拭き取ると、男の子にタガーを返す。そして、振り返って次の場所に行こうとしたその時だった。
「にゃにしてるにゃーーー!この、ロリコン真耶!」
そう言って猫耳の少女が真耶と呼ばれた男の頭にドロップキックをした。当然男は離れた場所に飛んでいく。そして、華麗な着地を見せた猫耳少女は男の子に言った。
「ふぅ、危なかったにゃんね。真耶はロリコンだからすぐに襲ってしまうにゃん。にゃあがいなければ危なかったにゃん。君達は大丈夫にゃんか?」
「え?あ、はい。大丈夫です……。それより、あの男の人は……?」
「ん?あいつのことにゃ?あいつの事はほっといていいにゃ。小さな子を襲うロリコン変態男はああにゃるのが理にゃ」
「そ、そうなんですね……」
男の子はそう言って苦笑いをする。猫耳少女はその苦笑いを見て少しだけ疑問に思う。そして、聞いた。
「どうしてそんな顔するにゃ?」
「いや、その……言っていいのか分かんないんですけど……後ろに……」
「にゃ?後ろにゃ?」
猫耳少女は何か分かってなさそうに後ろを振り返る。すると、そこに真耶がいることに気がついた。猫耳少女は真耶の姿を見た瞬間、顔を青ざめさせ何も見なかったことにした。しかし、真耶はそんなことを許す男では無い。当然猫耳少女を捕まえる。
「おいアイティール。お前は一体何を勘違いしている?俺が好きなのは小さな男の子じゃなくて、小さな女の子だ。だが、俺は泣いている子は襲ったりしないんだよ。敵じゃなかったらな」
「ご、ごめんにゃ!許してにゃあ!」
アイティールと呼ばれた猫耳少女は、真耶に押し倒され服を脱がされる。そして、膝の上にうつ伏せに乗っけられ、お尻ペンペンの姿勢にされる。
しかも、用意周到な真耶は、アイティールの足と手を縄で縛ってお尻を守らせないようにしていた。
「ごめんな坊主。こんな茶番に付き合わせて。悪い事をした人がどうなるかを教えるから目を離すなよ」
そう言ってアイティールのお尻を力強く叩く。すると、バチィィィン!という悲痛な音がなり、たった1発でアイティールのお尻に真っ赤な手の跡が出来た。そして、真耶はそれから数十発ほどお尻を叩いて、お仕置を終えた。その後のアイティールは、真っ赤なお尻を空に突き出して怒られた子供のように泣いていた。
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