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モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
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第108話 死なぬカラダ

「……なぁ、フェアリル。いつからだ?勘違いしたのは」


 その刹那、真耶の姿が消える。そして、いつの間にかフェアリルの背後に立っていた。


「その勘違いが死を招く」


 そして、フェアリルの四肢は切り裂かれ首は切り落とされた。フェアリルは体をばらばらに切断されてその場にぼたぼたと音を立て落ちた。


「「「っ!?」」」


「な、何をしてるの!?」


「こ、殺すなんて……!」


「ほんとそうだよ。殺すなんて酷すぎるわ」


「「「っ!?」」」


 その時、突如フェアリルがしゃべり出した。確実に殺したはずのフェアリルがしゃべり出したことでその場の全員が硬直する。真耶は慌ててその場から離れる。


 すると、フェアリルの体がガタガタと震え出した。そして、動き出して体の四肢を繋げていく。真耶はその異様な姿を見ながら片腕でプラネットエトワールを握りしめ構える。


「うふふ、そんなに警戒しなくていいのよ」


 フェアリルはそう言って魔法陣を作り出しそこから剣を取り出した。それは、妖精剣のはずなのだが、どこか普通とは違う気がする。


「神の力か……」


「あら?直ぐに気がつくのね。じゃあ死ぬしかないわ」


 フェアリルがそう言った時、真耶とムラマサが動いた。2人はそれぞれ向かい合った方向から剣で切りかかる。その、2方向からの攻撃を見たフェアリルは片方は剣で、もう片方は小さな魔法陣を作り出して防いだ。


「っ!?」


「……!?」


「あら?踏み込みが甘いわ。躊躇しちゃったかしら?」


 フェアリルはそう言って回転する。すると、風が発生して2人は弾き飛ばされた。真耶は体勢を整えながら着地し、その勢いを殺すため剣を地面に突き刺し止まった。


 ムラマサは何回転もしながら地面に上手く着地する。


「あら?着地がお上手ね」


「そこそこにな。お前よりは上手いと思うよ」


「あら?言うわね。じゃあ、どれだけ着地がお上手か見せて欲しいわ」


 フェアリルがそう言った瞬間、突如真耶達の足元が無くなった。そして、真っ暗な空間に連れていかれる。


 そのせいで真耶達は何が起こっているのか分からなかった。しかし、直ぐに辺りが明るくなり、何が起こっているのかわかってくる。


 そして、あたりの景色が見えた。その瞬間その場の全員が言葉を失う。なんと、真耶達は全く、これっぽっちも知らない世界の上空に転移させられていたのだ。


 さらに、真耶達はその上空からすごい勢いで落ちていっている。その意味不明な状況に頭が混乱する。


「っ!?」


(ここはどこだ?見たことがない……異世界か?それとも時空間か?……いや、考えたところで分かるはずもない。今はそれより、この状況をなんとかしなければならない)


 真耶は頭の中で色々考える。今真耶がいる場所が雲の上で、落ちる速さから考えると多少の猶予はある。だとしたら、その間にどうにかして落下ダメージを0にしなければならない。


「あ、あれ?ま、魔法が……!どうしよう!」


「わ、妾も使えないのじゃ!どうするのじゃ!?」


 その時無為とフィトリアがそう言った。その話からすると、どうやら魔法が使えないらしい。そうなってくると、浮遊魔法で逃げるのは不可能そうだ。さらに、落ちる瞬間に魔法で衝撃を減らすのも無理だ。


「……さて、どうするべきか……」


 真耶はそう言って自分の持っているものを確認する。すると、今持ってるものはほとんどがアーティファクトだった。


「……」


 真耶は少し考えると自分の右腕を噛み、傷をつける。すると、噛んだ部分から血が流れ出した。


「……」


 しかし、その傷は少しだけ時間が経つと再生する。血はすぐに止まり、傷は無くなる。真耶はそれを見て笑うと、右腕を大きく振りながらシューターから悲しみの糸を放った。するとそれは、ムラマサ達を巻き付け近寄らせる。


「ちょっ、な、何するの!?」


「も、もう落ちるじゃろ!」


 2人はそう言って叫ぶ。しかし、ムラマサは冷静に見るだけだった。真耶は暴れる2人を何とか落ち着かせ下を見る。地面はすぐそこだった。流石の真耶でもこの高さから落ちれば怪我どころでは済まない。ほかの3人は確実に死ぬだろう。


「上手く着地しなきゃだよな……」


 真耶はそう言ってため息をひとつ着いて精霊の羅針盤(ピクシーズコンパス)を取りだした。


「……何する気?」


「まぁ見てろって」


 真耶はそう言って地面を見つめる。もう少しでぶつかるだろう。そうなれば全員死ぬ。それがわかっているから無為とフィトリアは真耶に縋り付く。


「……頼むぞ。”ベクトル変化チェンジ・上”」


 真耶達が地面に激突しそうになった刹那、突如体が浮く。地面からあと数十センチというところで何故か上に引っ張られたような力を感じる。


「”ベクトル変化チェンジ・下”」


 そして、真耶がそう唱えると今度はいつも通り下に重力がかかるようになった。


「……」


 真耶は静かにその場に着地する。そして、少しもダメージを負うことなく着地をした。


 カサカサと草をふむ音がする。そして、周りには見たこともない景色が拡がっていた。ペンドラゴンにある草原に似ているが、少し違う気がする。遠くには少し発展した街がある。しかし、それも見た事がない。


「ここはどこなの?」


「分からん。異世界かもしれんし、時空間の可能性もある。だが、時空間にしては安定しすぎているし、異世界だとこの4人をなんのモーションもなく召喚させたことになる」


「現実離れしすぎじゃな。神の力がなければ出来ぬ芸当じゃ」


「それに、再生の力もおかしい。完全に殺したはずなのに、生き返って再生した。もしかするとこのアーティファクトを取らなかったのは、この能力が必要なかったからかもしれない」


「必要ないって……再生できるなんてチート過ぎよ」


 無為は溜息をつきながらそう言う。その時、突如無為は口にボールを咥えさせられた。


「むぐっ!?」


「「「っ!?」」」


 そして、真耶の背後にフェアリルが現れる。真耶は咄嗟に振り返り剣を奮った。しかし、フェアリルにその斬撃は当たらない。


 さらに、その時突然空間が変わった。瞬きする間もなく変わったため、何が何だか分からない。しかも、変わった場所は先程まで真耶達がいた場所だ。


「戻ってきた!?」


「あらあら、戸惑って動かなくなっちゃったかしら?それとも、そういうプレイがお好み?」


 フィトリアの背後からフェアリルの声がする。真耶はフィトリアの方向をむくと、そこには縛られボールを咥えさせられたフィトリアがいた。


「”闇討ち”」


 その時、ムラマサが切りかかる。どうやら気配を消して隠れていたようで、闇の中から突如現れるその刃にフェアリルは反応しきれない。しかし、それでも急所は外した。


「”|むむむむむむ《光魔法・月明かりの導き》”」


「”むむむむむむむむ(闇魔法・影追い)”」


「”ベクトル変化チェンジ・前”」


 ムラマサの攻撃を見た2人は真耶に向けて魔法を放つ。真耶はその魔法を全てプラネットエトワールで絡め取り強化させる。


「死ねよ。”月光げっこう三日月みかづきまい”」


 その時、真耶の剣が三日月のように煌めく。そして、フェアリルの両腕を切り裂いた。

読んで頂きありがとうございます。

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