表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブオタクの異世界戦記Re  作者: 五三竜
107/196

第106話 流れた月日

「今回呼んだのは他でもない、古代武器アーティファクトが発見されたからだ。しかも、そのアーティファクトはかなり強い。神々に取られる訳には行かないものなんだ」


 サタンは深刻な顔をしてそう伝える。すると、ペテルギアは少し軽そうにサタンに聞いた。


「それってどんな能力なんスか?」


「能力は『再生』だ。たとえどんな傷を負っても必ず再生する。それがそのアーティファクトの能力だ」


「再生って、神々にそれ必要なくないッスが?あいつら自分で再生出来るッスよね?」


「いや、そういう訳にはいかないんだ」


「何でですか?」


 サタンの言葉に無為は聞く。すると、横から真耶が言った。


「神々に再生の能力は無い。奴らは再生をしているのではなく、ただ回復魔法で回復しているだけ。恐らくアテナも生きているだろうが、その理由はアテナは魂をあの肉体に定着させているからだ。だから、体が死のうとも魂は死なない。そして、回復すれば傷は治る。そういうことだ」


「そうなのね」


 無為は真耶の言葉を聞いて納得する。そして、サタンは皆が理解したことを確認して話を続けた。


「じゃあ、これを誰かに取りに行ってもらいたいんだが……行きたいやつはいるか?」


「場所はどこなのだ?吾輩らは場所が分からねば行けない可能性もある」


「場所は……死霊の街……ゴーストの街だ」


 サタンは少し気まづそうに言った。その刹那、その場の全員の雰囲気が変わる。さっきまでは興味津々に聞いていたのだが、皆行きたくないという雰囲気を醸し出し始めた。


「……皆どうした?」


 真耶は思わずそう聞く。すると、その場の全員は目を逸らしてしまった。そして、ルリータが言う。


「い、いえ……なんでもないですよ……」


「そうか?てか、なんで目をそらす?」


「……」


「おい、なんか喋れよ」


 真耶はそう言う。しかし、誰も答えない。サタンも少し嫌そうな顔をする。どうやら誰も行きたがらないらしい。


「この街に何がある?」


「そうか、真耶は知らないよな。この街にいる奴らは変なやつらが多くてな。みんな嫌なんだよ」


「何だそれ?そんなので幹部を名乗れるのか?」


「いや、あのね、幹部って言っても嫌いなものだってあるのよ。で、特にみんな嫌いなのが死霊の街なわけ」


「へぇ〜、じゃあ俺が行くよ。それで解決だろ?」


「いや、真耶に行ってもらうことは初めから決まっている。それの同行者を誰にするかを決めるのだ」


「わっちは嫌だ!何があってもついて行かん!!!」


「妾も嫌よ」


「俺も嫌っスね」


「吾輩も嫌だな」


 皆そんなふうに嫌がって言ってくる。サンドドラゴンなど、嫌とは言わない人も中にはいたが、ほとんど嫌そうな顔をしていた。


 そんな時、ムラマサがサタンの顔を見て何かを伝える。


「……」


「ん?ムラマサ?言ってくれるのか?」


 その問いかけにムラマサは頷く。どうやらムラマサは行く気だったらしい。みんなはそれを聞いて顔を明るくする。


「よし、じゃあもう1人決めるぞ」


 そして、サタンのその一言で俯いた。どうやら全員安心したのに、まだ決めると言われて嫌な気分になったらしい。


 そして、そのせいかその場の全員が話さなくなった。皆無言で前を向いている。本当に全員行きたくないらしい。とにかく行かなくて済むようにしている。


「……誰も行きたくないか……仕方ない。ここは真耶に選んでもらおう」


「「「っ!?」」」


「や、やだよ!それだったらくじがいいわ!」


「指名制なんて、嫌よ!」


 無為とフィトリアが必死に否定してくる。しかし、サタンは決定を翻す気は無いらしい。真耶が決めてくれることを待っている。そして、真耶はそれを知ってか少し悩んでしまった。


 真耶は少しだけ悩むと無為のフィトリアの方を向いた。すると、2人は急いで目をそらす。


「まぁ、行ったことない場所だし、あまり増えすぎても守れるか分からないからな」


「ちょっと!別に私達守ってもらう必要なんてないのよ!」


「あなたと同じで私達も訓練してたの!だから、そんなに弱くないのよ!」


「いつまでも弱いもの扱いしないでよ!」


「私達だって強くなったのよ!」


 2人は躍起になって真耶にそう言う。真耶はそんな二人を見てニヤリと笑った。そして、楽しそうに言う。


「じゃあお前ら2人できまりだな」


 その言葉を聞いた瞬間2人は言葉を失った。そして、固まって静かに涙を流した。


「よし、じゃあこれで決まりだな。早速4人には行ってもらおうか」


「「「うぅぅ……行きたくないよぉ……」」」


 2人はそんなことを言って落ち込む。


「じゃあ、解散だな」


「待て。その前に1つ聞きたい」


 サタンが解散させようとした時、真耶はそれを止めて言った。


「なぁ、フェアリルはどうした?」


 真耶のその言葉はその場を凍りつかせた。

読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ