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新しい力に出会った!

 リザ:プレイヤーLv.30

 リザードジュラン:ジョブLv.15


 シルル:プレイヤーLv.14

 スライム:ジョブLv.25


 ルグリ:プレイヤーLv.51

 リンドドレイク:ジョブLv.30


 みんなの現レベルはこんなものだった。

 けれどこれが弱いってことではないみたい。

 例えばシルルなんてプレイヤーレベルが14だけれど、スライムというジョブそのもののステータスと1レベルアップに獲得できるポイントが多いから僕なんかよりも全然強い。

 僕はRPGばっかりやってレベルに気を取られがちだけれど、レベルが全てじゃないんだね。

 大切な数字はステータス。


 ちなみに、スライムがそんなに優遇されているのはスライムたちの生活環境にあるみたいだ。

 好戦的じゃないし、戦闘スタイルもMPを吸うだけだからモンスターだった時にレベルが上がりにくいんだって。

 モンスターたちのプレイヤーレベルはそれぞれのモンスターの人生に左右されるいわゆる()()()で、ジョブレベルはモンスターランクで確定するみたい。


「ご主人! リザのレベル高いでしょ! リザードジュランの中では高いほうなんだよ!」

「へぇ……」

「いっぱい食べて、いっぱい育ったんだから! 今となっては、赤ちゃんもつくれるように――」


 あ、そういうのいいから。

 僕はリザとえっちなことがしたいんじゃなくて、普通にゲームがしたいので。

 ごめんなさい。


 さっきふとリザのステータスで目に入っちゃったんだけど、状態異常に【発情】って書いてあったなぁ……。

 そのまんますぎない?


 いや、今はどうでもいいか……。

 それよりポイント振りに集中しなきゃ。


 大切なのはステータスもだけど、やっぱりスキルが重要だよね。

 僕はスキルでみんなと仲良くなったんだし、うまく戦略を立てれば格上の相手にも勝てるかもしれない。


 それぞれのモンスターのジョブはそれぞれのモンスター名そのもので、スキルもモンスターの種類で違った。

 しかもそのモンスターごとの個体差で最初から解放されているスキルもある。

 僕の使えるモンスターたちが個体差として解放済みのスキルは――。


 リザが『俊敏』『自切(じせつ)』の二つを最初から持っていて、どちらもアクティブスキル。

 シルルは『ぷにぷにボディ』『オーバーヒールX』というパッシブスキル。『MPドレイン』のアクティブスキルを持っていた。

 ルグリは『不死の鱗』『地底の王』がパッシブで、『咆哮』がアクティブ。


 なんだか効果がわかりそうなものと予想もできないものがあるけれど、説明読まなきゃなぁ……。

 そういえば、スキルの他に魔法としてリザは炎を吐けるっぽい。ルグリは吐けないのかな……?


「あのさ、ルグリって吐けないの?」

「吐く……? そ、そういうのが好きなのか……? ううむ、主の頼みなら仕方あるまい……」


 ルグリはおもむろに自分の口に手を突っ込んだ。


「んぐっ……! あ、案外、吐けぬものだな……。オェ……」

「違うって! 炎! 炎吐いて!」

「ほ、炎なんて吐けぬわ! 妾は飛竜でなく地竜だからな」

「えぇ……。そうなんだ……」


 なんだか残念。

 僕の憧れていたのってドラゴンはドラゴンでも飛竜だったかも。

 ルグリ、吐き気のせいで涙まで浮かべちゃって、申し訳ないお願いしちゃったなぁ……。


「気を取り直して……。よし、強そうなスキルを適当に解放しちゃおうっと……」

「ご主人様、わたくし『粘化』がほしいです!」

「あ、じゃあご主人! リザは『跳躍』がいいな!」

「妾は『インスティンクト』を……」


 なんか注文が飛んできちゃった。

 3つとも解放できるくらいポイントがあるし、使ってあげようかな。

 あ、そういえば……。モンスター名がジョブになるってことはさ、ルグリで奥義を解禁したら実質ドラゴンの奥義ってことになるよね。

 めちゃくちゃ強そうじゃない!? うわ、解放したいなぁ。


『咆哮』と『インスティンクト』が同じ系統だったし、ちょうどいいかも。

 ――と思ったら、この系統5つスキルがあるんだ。

 あと3つ解放しないといけないなんて大変だなぁ……。

 しかも『インスティンクト』が思ったよりコスパ悪かったし……。

 まぁ、それほど強いんだろうけどさ。


「ご主人! あと『狂走』がほしいかな」

「え、キョウソウ? 競争?」

「そこの下のやつ。ご主人、どうせ奥義が見たいって思ってるんでしょ?」


 図星ー!

 どうやら『俊敏』『跳躍』『狂走』が同じ系統みたいで、しかもこの3つだけ。

 確実に奥義が見れる。


「うーん……。でも、ドラゴンの奥義のために残しておきたい――」

「えぇーっ、ずるい! リザが最初の人じゃん! 飽きたらすぐにポイなの!? 違うでしょ!?」

「主に口ごたえをするでない。今のリザードジュランに必要なのは忠誠心そのものであるな、ふふふ……」

「うぅ……。自分にポイントが使われそうだからっていい気になっちゃってぇ……!」


 次第にリザがイライラとし始めた。

 しかし、そのイライラは状態異常のせいでかなり違った方向にねじ曲げられてしまう。

 イライラ。ムカムカ。ムラムラ――。


「このワガママ人妻メスガキめ! 平静ぶってても本当はもっと産みたくてたまらないんでしょ! リザがその欲望、受け止めてあげるよ!」

「ひ、人妻メスガキだと!? ガキなんかではない! 妾は立派な大人で――」

「じゃあ合法なんだね! この合法むっつりドスケベ人妻ロリ!」


 ついにリザはロリへ手を出した。

 犯罪者の道にゴールイン。

 服の中からぺたぺたな胸を(まさぐ)っているご様子だ


「ほら、産んだのならミルクくらい出しなさいよ!」

「ふあぁぁぁっ! 出したいなら、吸えぇ……。んっ……。先っぽばっかり、いじるな、あぁんっ!」

「ご主人様……。あの高貴なリンドドレイク様がこんなにも乱れるなんてはじめて見ました! これはそそりますね!」

「何言ってるのさ! やめて、変なことばっかりしないで!」


 もうリザのこと解雇しちゃおうかな。

 この変態トカゲ、そろそろ発情に脳をやられて快楽しか求めないお猿さんになっちゃいそう。


「あぁっ……! あるじぃ、だめぇっ、見ないでぇ……!」

「ダメだよご主人。よーく見ててね、ドレイクのとっても恥ずかしいトコロ」


 そう言ってリザは()に手をかけた。

 そして服の中で何が起こっているのか見えるよう、ゆっくりと衣服をずらしていって――。


「18禁、ダメー!」


 僕の18禁ビンタ!

 もちっ――。

 効果は今ひとつのようだ……。


 僕の物理攻撃力、なさすぎ!

 けれどもちもちなビンタで自分の気持ちは伝えられたかな。

 えっちなのはダメだよ。


「もしかしてご主人、嫉妬してる?」

「なわけあるかー! いやんっ! つつかないでっ、あん!」

「ふふん。ご主人、薄着な初期装備だから先端が立っちゃったら服のシワで丸見えだよ? 恥ずかしい思いしたくなかったら我慢してね」

「リザがやめればいいだけじゃん! あんっ!」


 自分のものとは思えない声。


 まずい、このままだと誰も助けてくれな――。

 いや、ジェールさん? なんでちらちら見てるだけなんですか?

 助けてくださいよ。


「ジェ、ジェールしゃん!」

「は、はい! どうしたのハルカ! も、もしかして私としたいとか――」

「たしゅけて……あぁ! ふぁぁあっ! それぇ、それダメぇええ!」


 絶叫。

 だって、叫ばないとおかしくなりそうなんだもん。

 強くつねられちゃって、うん……。

 もうこれ以上は言及しません。恥ずかしいので。


 とにかく、その絶叫で正気に戻ったジェールはすぐにハルカを助けた。

 自分はもうちょっと続きが見たかったなんて口が裂けても言えないが。


「はふ……。遅いですよぅ……」

「ごめんごめん。かわいかったから――じゃなくて! ちょっと考えごとしてたわ!」

「うん? まぁなんでもいいですけど……」


 ジェールさん、何か隠してるよね。

 もしかして僕のことが好きだったり?

 なんちゃって。


「はぁ……。もうハルカの全部がかわいすぎてつらいわ……。飼いてぇ、リアルで飼いてぇ……。仕事疲れの特効薬として私専用のペットにしてぇ……」


 実はもうめちゃくちゃ好きだった。

 しかしその声は誰にも届かず。

 ジェールがそれほど小さくぶつぶつと唱えていたのだ。


「――てぇ、私はなに考えてんだ! 犯罪者になっちゃうから! ダメ! お触りはダメ!」

「ひゃっ! びっくりした……。ジェールさん、いきなり叫ばないでくださいよ」

「ご、ごめん……。なんでもないからね、忘れてね」


 そろそろ初心者へのレクチャーも自重しないとおかしくなりそうだと、ハルカが思った時――。


「奇襲! 奇襲だー!」


 プレイヤーなのかNPCなのか、誰かがそんなことを叫んだ。

 ハルカとモンスターたち以外の全員があわただしく動いているように見える。


「奇襲イベントか……。やっべー、準備忘れてた。今回はランク外かなぁ……」

「ジェールさん、奇襲って……?」

「あぁ、PvPだよ。サキュバスの手下になった男と戦うの。男性アバターを選んだ人たちね」

「こ、これからですか!?」

「そう。これは強制じゃないから不参加もありかな。特にPvPは初心者狩りがいるし、VRだと普通のゲームよりも殺された時とか煽られた時に精神的なダメージがあるしね……」


 殺された時……。

 これ、痛みってどう感じるんだろう……。

 不本意ながらもキモチイイは普通に感じちゃったけど。


 痛いのいやだなぁ……。

 棄権しようかなぁ。


「これ、メリットはあるんですか?」

「いい質問だね。敵を倒したりして稼いだスコアだけ運営さんから報酬がもらえるよ。なかなか豪華だから、私は毎回やってるかな」

「そうなんですか! ジェールさんが味方にいるなら、やってみようかな……」

「ぐはっ! なにその破壊力たっぷりなセリフ……。ダメだぁ、この子のこと本気で食べたくなってきたぁ……」


 気色悪い笑みが止まらないジェールだが、やはりその本心はハルカにバレていない。

 そんな鈍感な部分も好き。無防備って感じがする。たまらん。


「……で、でもハルカ。私、多分ずっと一緒にはいられないと思うから。それでも大丈夫?」

「あ、そうなんですか……。けどせっかくのゲームなんですし参加しますよ!」


 どうせ僕が前に出て戦うわけじゃないし。

 それにゲームの中とはいえ、きっとそんな残酷に殺されたりなんてしないよ。

 いざとなれば逃げて隠れて、なんなら他の上級者にくっついちゃえばいいんだよ。うん。


 ハルカはゲーマーとしての勘を信じて突き進むことにした。

 ゲームは楽しまないと損だもんね。

 お読みいただきありがとうございます!


 結局ゲームに熱中しすぎてスキルの説明とか見忘れちゃうタイプのハルカ(颯斗)ちゃん。

 そんなのでPvPなんて大丈夫……?

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