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お姉さんとゲームに出会った!

「そこのボク! お姉さんとイイことしない?」


 こんなベタな誘拐犯みたいなこと、本当に言われるんだ――。


 颯斗(はやと)は14歳の少年だが、その見た目は俗に言うショタだった。

 筋肉はおろか身長さえつかず、成長期は都市伝説なんじゃないかと思うほど。

 牛乳を飲んでも睡眠を意識しても次の年度に『+0.2cm』くらいの成長しか見せてくれない。

 小学4年、5年生からそんな調子だ。


 今日は週末。

 日光が身長を伸ばすと聞き、散歩をしようと外に出たらコレ。

 謎のお姉さんに声をかけられ、謎のお誘いをされてしまった。


「あ、あの……。僕、もう中学生なんで、あまり誘拐するメリットないですよ……?」

「別に誘拐なんてしないって。 まぁ、お姉さんのおうちに来てもらうことにはなるけど……」

「はっきり言って怪しいです。さようなら」

「ちょっと待って!」


 ぎゅっとお姉さんが僕の片腕を掴んだ。

 この人の力が強いのか、僕の力が弱いのか。

 とにかく力の強さに驚いて、足が止まってしまう。


「お姉さんの家にね、面白いゲームがあるから。ボクと楽しさを共有したいなって」

「そ、そんなこと言われても……」

「最近流行りの『アナザーワールド・オンライン』シリーズがあるの! どう? やらない?」


『アナザーワールド・オンライン』

 世界的一大企業が作り上げ、全世界の人気を集中させたゲーム。


 その人気の秘訣は操作性。

 キャラクターは脳波で動かし、ゲームの情報も微弱な電気信号で脳へ直接送られるとか。

 つまりプレイヤー本人がゲームに入り込み、五感を使ってその世界観を味わうことができるのだ。


 値段はお高めだが、ゲームの内容は本当にすごいらしい。

 現実とゲームの区別がつかないほどにリアルで、一部の有識者は中毒性やらなんやらに警鐘を鳴らしているけれど……。


 僕も怖くて手を出せないでいる。

 だって電気信号って何? 感電とかしちゃわないの?

 絶対体に良くないよ。友達はお構い無しでやってるけど。


「ねぇ、お姉さんの家で遊ぼうよ」

「ひっ……。怖い、です……」

「高身長も経験できるよ! ね? ね?」


 高身長……。

 そっか、そういう事ができるんだ。

 ちょっと興味あるかも。


「お姉さん、ゲーム会社で仕事しててね。ちょっとやって、感想言ってもらうだけでいいから!」

「えぇ……」

「お金もあげるから! アルバイトってことで!」

「お金はいらないですけど……。うーん……」


 お姉さんが必死すぎて協力してあげたくなる……。

 ちょっとくらいならいいかな……。

 どっちみち逃げられないし、高身長になってみたいし。


「ちょっとだけですからね……?」

「ありがとっ! じゃあ、お姉さんのおうちに行こっか」


 人生初のVRMMO……。

 どんな感じなんだろう。







「これが、VRMMO……!」


 お姉さんの家に来たらすぐに装置をつけさせられた。

 ちょっと怖かったけど、本当に現実と変わらないや。


「なにこれ? てぃーえすりりー?」


 ゲームのタイトルが書かれた大きい看板がある。

 アナザーワールド・オンラインシリーズは種類も多いから把握できていないけれど、てぃーえすってなんだろう。

 まぁいいや。高身長になれれば。


『TSリリー・オンラインにようこそ!』

「ひゃっ! お、お姉さん!?」

『うわ、すっごいかわいい声出た……。――じゃなくて、ナビゲーターは()()()お姉さんが担当しま〜す。よろしくね』

「な、なんか余計なこと言いましたよね」

『さてさて、キャラクリエイトの時間よ』


 露骨に無視された。

 誤魔化し方が下手な人だなぁ。


 お姉さんは現実と違う見た目をしていた。

 これが『キャラクリエイト』で作ったアバターなんだろう。

 赤髪で、なんだか妖艶。


『キャラクリエイトでは自分のなりたい容姿をとても細かく設定することができて――』

「身長を高くしてください! それさえあれば()()()()()()です!」

『ふぅん……。ま、いいか。キミがそう言うなら、こっちでいい感じのものを作っておくね』


 お姉さんの変な笑顔。

 なんだか怖いけれど、いいか。別にこのゲームを今後も続けるかわからないし。


『次はジョブ。プレイヤーの役割みたいなものね。そうだな、キミは――』

「えっと、かっこいい剣士みたいなのがいいです!」

『あはは、男の子だね。けれどゴメン、あんまりオススメはできないかな』


 お姉さんが言うには、ステータスとは別に剣の扱いは本人の動き次第らしい。

 だから、例えば僕のキャラクターのレベルがすごく高くても、僕自身がちゃらんぽらんに剣を振り回すだけじゃ攻撃は当たってくれないみたいだ。

 ボタンで操作するゲームとは全然違って、運動神経がバツグンじゃないと難しいんだね。

 運動は苦手だしなぁ……。


「じゃあ、魔法使いとか!」

『魔法使いはゲーム的にオススメできないかな……。たしかに強いんだけれど、魔法使いはMP(魔法ポイント)ってものがないと何もできなくなっちゃうの。MP管理が難しいから、上級者向けのジョブなのよね』

「うぅ……。もうお姉さんのオススメでいいですっ!」

『あらそう。じゃあテイマーがいいわよ』


 ていまぁ?

 聞いたことない言葉だ。


『テイマーっていうのは調教師のことよ。モンスターを飼って、自分が指示を送って戦うの』

「かっこいいかはともかく、面白そうではあるかも……」

『でしょでしょ? 身体的にも楽ができるし、いいと思うわ』


 モンスターを飼うって、ドラゴンとかだよね。

 ドラゴンに乗ってみたりしたいなぁ……。


『初期ステータスはどうしようかしら?』

「初期ステータスって……?」

『最初からプレイヤー全員が同じステータスじゃなくてね、自分で好きなステータスにポイントを割り振ることができるの』

「じゃあ、差が出るのは装備とかだけじゃないんですね」


 颯斗はレベルアップで自動的にステータスの上がるRPGしかやったことがなかった。

 ポイント制でかつ手動でステータスを上げるなんて知らないシステムだ。


「これもよくわからないので……。おまかせでいいですか?」

『じゃあお姉さんのオススメね。ここをこうして……』

「あの……。強くしてくださいね?」


 なんだか嫌な予感。

 変なことされてないよね?


『じゃーん! これでどう?』

「うわ、こんなに細かいんだ……。MPとか0ですけど、大丈夫なんですか?」

『もちろん。基本的にテイマー自身は戦わないからね。多くはテイマースキルに割り振っておいたから、詳しくはゲームを進めつつ見てちょうだい』

「どうも……」


 お姉さんが一仕事終えたように息を吐いた。

 そろそろゲームが始まるらしい。


『最後の質問。お名前は?』

「えっと……。カタカナで『ハヤト』で!」

『それって本名……?』

「まずいですか?」


 そっか。これ、オンラインゲームだったんだ。

 どうしよう。こういう時にかっこいい偽名でもあればいいのにな。

 えーっと……。なかなか思いつかない。


「ごめんなさい……。これもお姉さん任せでいいですか?」

『ふふふ……。むしろ大歓迎。じゃ、楽しんできてね〜』

「へ? ちょっと、名前はどういうのに設定したのか――」


 颯斗が訴える前に、視界が光に包まれていった。

 お姉さんの姿も見えなくなり、自分の体さえ見えなくなっていく。


 そうして眩しさに思わず目を閉じたら――。

 次に開く時は知らない場所に立っていた。

 女の子の姿で。

 お読みいただきありがとうございます!


 本作はモンスターっ娘との濃厚接触描写があります。

 苦手な方はご注意ください!

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