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凄すぎるトライアングル

先日行われたお茶会は周囲の噂話の通り、クラウス様に早々に家督を譲り、悠々自適な生活を送っているクラウス様のご両親様が、クラウス様の婚約者を見つける目的で画策したものだった。


フィアナ様とクラウス様は、生まれる前から両家の間で、結婚の約束が交わされていた。


小さい頃から互いの家に、頻繁に行き来してはいたものの、一緒に遊んだりする事はほとんど無く、家庭教師からマナーや領地経営、リッシュベルト王国や近隣諸国の歴史や地理などを、共に学んでいるだけだった。


お2人は、公爵と公爵夫人になるべく共に手を取り合う、友人であり、戦友であり、すでに家族の様な存在だった。


婚約者と言っても、生まれた時からそうであったため、お2人の間に甘い雰囲気が流れる事は、こちらから見ている限りはなかった様に見受けられたが、お2人は俺から見ても、対でいる事が当たり前に思えるくらいお似合いだった。


だから、リアム王太子にフィアナ様を強引に奪われた時、クラウス様がそれを阻止するよう、いつどんな動きをしてもいいように、家臣は身構えていたのだったが、結局抗議もフィアナ様にお気持ちを尋ねることもしなかった様だった。


クラウス様からは筆頭公爵家である自分から、婚約者を奪った事によるリアム王太子に対する屈辱や怒りは感じたが、フィアナ様に固執して悲しんでいる様には、見られなかった。



ーーーーーーーーーーーー



ハワード公爵家は、王家に次ぐ地位、筆頭公爵家にある。


血脈的にも過去何度も、ハワード公爵家から王家へ嫁いだり、逆に降嫁したりを繰り返している。


クラウス様は、この国の王族によく見られる、金色の髪やエメラルド色の瞳を有している。


一方、リアム王太子は、黒髪に、黒色の瞳で、背がとても高く、騎士や傭兵の様にがっしりしている。


クラウス様も、この国の男の平均より、だいぶ背は高い方だが、リアム王太子はそれより頭一つ分は大きい。


リアム王太子の黒色の髪や瞳、がっしりとした体型は、メイジー王妃より受け継いだものだ。


メイジー王妃は、隣国ガルマン王国より輿入れされた姫君だからである。


ガルマン王国とリッシュベルト王国とは、過去、何度か大戦を繰り返してきた。


ガルマン王国は好戦的な国民性で、他国への侵略を繰り返し、国土を広大に広げてきた。


ガルマン王国は北は、極寒の山岳地帯から、西や南と縦横無尽に、砂漠地帯や熱帯地域など、様々な気候や民族、生活習慣を有する土地を支配している。


多民族国家で多言語、広大な国土という事もあり、王家の支配が辺境の地域までは行き届いておらず、リッシュベルト王国も、国境沿いでは今だ少数民族との小競り合い程度のいざこざは頻発している。


ただ、ここ百年ほどはリッシュベルト王国が、ガルマン王国との国境を閉鎖した事と、科学技術により戦争の仕方が変わってきた事で、互いを牽制し合う事となり大きな戦はおきていなかった。


そこで一層の事、停戦協定と和睦を結ぼう。という事になり、その和睦の証として、メイジー女王がルーカス現国王のもとに政略結婚にて嫁いできた。


黒色の髪と瞳、がっしりした体形、見上げるほどの長身は、ガルマン王国の人々の特徴だった。


和睦のためとはいえ、メイジー王妃やリアム王太子の外見は、好戦的なガルマン王国の国民をイメージさせるため、リッシュベルト王国の貴族や平民には、お二人がなかなか受け入れられておらず、むしろクラウス様の方が王子様のようだ。と人気である。


実際、リッシュベルト王国の政治・外交・軍の統括・教育などあらゆる分野を取り仕切っているのは、王家ではなく筆頭公爵のハワード公爵家と、その一族である。

経済も、独自で貿易ルートを拓くなどにより、ハワード公爵家は国家規模の財を一族で、保有している。


なので、ハワード公爵家の次期当主であったクラウス様より婚約者を奪う事は、たとえ王族でも許される事ではなく、クラウス様次第では、内紛に発展する可能性もあったのだ。


ただ、クラウス様がソフィア様を取り戻す事に固執せず、どちらかと言うと、その後すぐ受け継いだ、公爵の地位と仕事に邁進していたため、家臣の間でも自然と2人の事は取り立たされなくなった。


それから後クラウス様は、一切の社交の場への御招待も断り、ハワード公爵家でも何も行わない日々が続く事となった。世間からは、やはり心の傷が大きくて、社交の場へ出られないのか。など噂話が飛び交っていたようだが、まぁ、俺が見るに、クラウス様は傷心を装い、面倒臭い見合いや、様々な催しを断っていた様に思う。


今回も、ご両親様が、無理矢理開催した、お茶会じゃなければ、まだまだあの状態を、続けていただろう。



しかし、1度出たからには、今後は様々な催しに積極的に参加してもらわなくては…。なにせ、あのお茶会で出会ったのが、6歳の幼女だったんだから。

今後、クラウス様が、このアズレイン嬢との婚約をかくれ蓑に、社交の場から、また、遠ざかる事のない様、監視しなくてはならないな。


しかし、お世継ぎを望む、御両親様の思惑は、まだまだ達成されそうにないだろうな…。

せっかく再投稿なので、ちょこちょこ修正しながら、投稿させていただいてます。

少しでも、読みやすくなっているといいのですが…。

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