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シスコンvs完璧公爵様

「やあ、リヴァイ。君がお茶会に、来てくれているなんて、嬉しいよ。」


ご令嬢達の輪を潜り抜け、来客への挨拶に廻っていた公爵が、人嫌いで有名なリヴァイがいる事に、驚きながら、話しかけてきた。


クラウス様は、私とリヴァイ兄様がくっつく様に、隣り合い座っている、向かい側に腰をおろした。


私は、相変わらず、糖分摂取に夢中で、お菓子を必死に食べ続けていた。

そして、不覚にも、クラウス様に気付いていなかった。


リヴァイ兄様は、クラウス様を一瞥すると、


「どうも。」


と、貴族にあるまじき、礼を失した挨拶を…、たぶん挨拶?をしたのだった。


クラウス様は、リヴァイ兄様のそんな態度には、慣れているのか、特に気にした様子も見せず、


「例の研究は進んでいるかな?」


と、訊ねた。


すると、リヴァイ兄様にとって、一体何が琴線に触れてしまったのか、突然激昂し、


「研究⁈研究って何?オレ、研究なんてクソみたな事してませんよ。

オレがやっているのは、は・つ・め・い。わかる?

オレは、“青いお方”みたいな、まるで魔法使いか未来からきたのかって思うくらい、斬新なものを発明できる発明家になりたい訳。間違えないでくれる?」


突然、饒舌に、そして、訳のわからない話を、始めたリヴァイ兄様に対して、いつもの変人っぷりが始まったとばかりに、クラウス様は、全く動じる事なく、


「そっか。よくわからないけど、ごめん。

まあ、とにかく、研…発明が完成して、実験する事になったら、声かけてくれるかな?広い場所がないと困ると思うし。」


「ハァ?関係ないっしょ。俺の発明は、全部アズに捧げるものだから。何で、いちいち報告しなくちゃいけない訳?」


「いや、君の研…発明には、国家予算を、いくら使ってもらっても構わない。国家事業として扱いたいって、ランドルフ侯爵には、話しているんだけど。

君には話してないのかな…。まあ、後で聞いてみればいいか。

ところで、アズ…様?って誰?恋人?」


「えー、まあ、恋人。……………みたいな、妹。」


「えっ⁈妹?もしかして…お隣の?」


クラウス公爵は、リヴァイの隣りで黙々と、何かに取り憑かれたかの様に、俯きお菓子を食べている、幼女のつむじを見ていると、


「あんま、見ないでもらって、いいスか?減るんで。」


と、アズのほっぺを、プニプニつつき、ニヤニヤしながら、リヴァイが言った。


すると突然、リヴァイの真後ろから、地を這う様な低い声で、

「リ〜ヴァ〜イ〜‼︎」 と、言う声が聞こえた。


ものすごい形相の母様が、


「ハワード公爵様、リヴァイがひどい言葉使いをしまして!申し訳ありません!リヴァイは最近、城下町の裏まった所に、発明の材料を、買いに行くようになってから、こんな言葉使いになってしまって…。」


「ハァ?別にいいだろ。これが、オレにあってるんだから。」


リヴァイは、悪びれる様子も見せず、答えた。


「いや、別に気にしてませんよ。昔からそんなに変わらないし…。」


クラウス様の一言がダメ押しとなり、母様は、クラウス様に何度も謝りながら、リヴァイ兄様を少し離れた所に、連れて行き、説教を始めた。


さすがの私も、母様の剣幕に顔を上げ、やり取りを、青くなりながら見ていると、


「あ…やっと顔見れた。かわいいなぁ。そりゃ、リヴァイも夢中になる訳だ。」


私の向かえの席から声がして、そちらを見た。



((なんじゃ、コリャー))


と、レディらしからぬ声を、あげそうになるくらい、キラキラした王子様が、ニコニコと、アズを見ていた。


((惚れた…))




「初めまして、君、リヴァイの妹さん?」


コクッ。


「僕は、クラウス。一応、ここの公爵なんだよ。」


コクッ。


「あー…。お菓子おいしい?」


コクッ。


「夢中で食べてたよね。」


(見られてたーーーーー。)

何で?いつから、ここに座っていたの?


「だから、ほっぺがプクプクしてるのかな?触ってもいい?」


コクッ。


「やわらかー。ホワッホワッ。キスしたくなっちゃうな。」


(えっ⁈キス…)

ボワッと、一気に顔が紅くなる。


「ごめんごめん、冗談だ…ョ」


「い、い、いいで、すよ。キス…。」


「えっ!」


「わた、私とキス…し、たいんですよね?」


「いや、ごめん。冗…。」


「”結婚!“してください…。父がキス…は、“結婚!”相手とするもんだ。と言っていたので、“結婚!“してくれるならいい…ですよ。」


”結婚“だけは、異様にハッキリ言い、他は、ボソボソと小声で話している。


「はぁ…いや、結婚…こんな年上嫌でしょ?キスは諦めるよ。」


アズは、ブンブンと首を横に振り、


「け…“結婚!”してください…。」


ほっぺどころか、額から耳、そして首まで、これ以上ないくらい、真っ赤になりながら、くり返した。


「すごい、首まで赤くなってる。かわいいなー。リヴァイが本気で羨ましくなってきたぞ。

じゃあ、婚約しようか。大人になっても、好きでいてくれたら、結婚でいい?」


コクッ。


「じゃあ、誓いのキスだね。」


クラウス様は、初め、プニプニとほっぺをつついて、感触を確認した後、優しくキスをした。


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