シャイアン…
夜、カトリーナと同じベットに入っておしゃべりをした。
「アズは、好きな人はいないの?」
「えっ、いないかな…。」
なんとなく、クラウス様の名前は言えなかった。
6歳の頃の約束で婚約してるなんて、信じてもらえそうにないから…。
最近は、私とクラウス様が、釣り合ってない事は、十分過ぎるほど自覚している。
むしろ、無理矢理脅す様に婚約した6歳の私を呪いたい…。
クラウス様は、理事長室に遊びに行っていいと言ってくれたけど、学園でクラウス様に会いたいような、会うのが恥ずかしい様な複雑な心境…。
無理矢理キスと結婚を迫るなんて!
子供のくせに‼︎
なんて恐れ多い事をしていたんだ!!!
でも、やっぱり好きだし、憧れる気持ちをやめられそうにない…。
それに、父様の言っていた魔法の力も信じたい…。ホント気持ちが揺れすぎて困る…。
だから、好きな人にクラウス様のお名前を出して、カトリーナにクラウス様と結婚なんて絶対無理。と、全否定されたら立ち直れそうにないから、申し訳ないけど秘密にすることにした。
「フーン、そっかー。ところでウィルの事はどう思う?」
「えー⁉︎ウィル…はないかな。むしろ、ちょっと、っていうか、とても怖い。」
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アズは、後ろの席のウィルが大の苦手だった。
いつも何かしらのイジワルをしてくるからだ。
この前も、アズが椅子に座っている時に、椅子のギリギリまでウィルの机を近づけてきて、アズが出れないようにしてきたり、「どうせ残すんだろ。」って言って、ランチの最後に取っておいたデザートを勝手に食べられたり、園庭で見つけた虫を無理矢理見せてきたり、毎日何かしらイジワルされている。
しかも毎日毎日、帰りは強い力で手首を掴まれ、グイグイ引っ張られながら、ランドルフ家の馬車が停まっている所へ、無理矢理連れて行かれる。
「お前、小っちゃいし弱っちくて危ないから、俺が送ってやるよ。」って恩着せがましく言われながら…。
アズは密かにウィルを、シャイアンと呼んでいた。シャイアンは、王国の子供達に大人気の絵本に出てくる、体の大きないじめっ子だ。
リヴァイ兄様がクラウス様のお茶会で言っていた“青いお方”とは、シャイアンにいつもいじめられる、いじめられっ子を色々な発明で助けてくれる、全身空色の服を着た奇しい男の人の事だ。
リヴァイ兄様はこの絵本の大ファンで、数十巻続くシリーズは我が家に全て揃っている。
「俺、強いしカッコいいからモテモテだけど、アズレインは、まぁ…か…わいいし、それより弱っちいから、結婚して守ってやってもいいぞ。」
毎日毎日ウィルは飽きもせず、アズに公開プロポーズしてくる。
「だ…大丈夫…です。」
「ハァ?聞こえないな。」
そして、毎日毎日お断りしているけど、聞き入れてくれない…。
ウィルの大きな体と口を見てると、いつか食べられるんじゃないかって、とっても怖いのにカトリーナは、いつもニヤニヤこちらを見て、助けようとしてくれない。
久しぶりに、始めから読み直しましたが、何て読みにくい文章なんだ…と、反省しかりです。
少しずつ手直し出来ればいいな。と思っています。
そんな中、暖かい目で見てくださり、ブックマーク、文章・ストーリー評価 本当にありがとうございます。