口の悪い貴族達…
学園の生活も半年が過ぎて、だいぶ慣れた。
1番嬉しかった事は、なんと親友ができた事だ。
友達100人なんて大それた事は考えてなかったけど、入学式の日、ちょっと友達作りに出遅れちゃう事があったものだから、もう、友達を作るのは無理なんじゃないかな…。皆んなに嫌われたんじゃないかな…。と落ち込んでいた。
だから、まさか次の日、話しかけてくれるご令嬢がいるなんて!
もう、嬉しくて飛び上がりそうだった。
親友の名前は、カトリーナ。教室で隣の席になった事がきっかけだ。
カトリーナは、入学式の次の日から、すごく積極的に話しかけてくれる。
「おはよう、アズ。あ、アズって呼んでいいよね。
昨日アズの後をつけて行ったら、あっ、付けていくって行っても、わざとじゃないよ…何となく方向が同じだけだっただけだし…。
それで、ご家族からアズって呼ばれていたのが聞こえたんだけど、私も呼んでいいよね?
それでそれで、私って、美しい人を見るのが大好きなんだけど、アズのご家族すごいね。みんな美形で。
美形といえば、理事長公爵もすごい美形だし。
あとは、8年生のカタリナ様とか、アズの後ろの席のウィルとか。
もう、ほんと、タイプの違う美形がたくさんいて、妄想膨らみまくり。
私って恋愛小説読むの大好きなんだけど、アズは読んだことある?」
「あ、少しだけ。」
「あ、そうなんだ。今度オススメ貸すね。
アズも、もう少し大人になったら、とびっきり美少女の主人公になれる。
その時は、私が小説を書いてあげるね。」
「う、うん。ありがと…。」
カトリーナとの会話は、ほとんどがこんな感じで、カトリーナが話すことに、少し返事をするぐらいがやっとだ。
話すのが苦手な私には、次から次へと話題を出してくれるカトリーナは、ありがたいし、尊敬だ。
カトリーナも、私が話し下手でも気にしないって言ってくれて、ほんと大好き。
この前、カトリーナの後ろの席のご令嬢に、
「カトリーナとお付き合いするのは、やめた方がいいんじゃ無くて?
いつも話題は恋愛小説の事ばかり。私たちの歳で、あのような大人が読む本を読むなんて良くないって、お母様が言っていたわ。
それに、入学式の日から、あの広がりまくった髪も直ってないし、不潔よ。
それに、カトリーナの母親って庶民の出なんですって。だから、あの子も言葉使いも悪いし。
私のお母様は、カトリーナとは仲良くしないように言ってたわ。アズレインも、仲良くするのはやめた方がいいわよ。」
と、言われてしまった。
(うそ、恋愛小説って、私の歳で読んじゃいけないの?私には意味が難しくて、全然読めなかったけど、カトリーナが、いろんな小説の話をしてくれるから、クラウス様につり合う大人の女性になるために、参考にしようと思ってたのに。
それに、言葉使いが悪いなんて、全然気がつかなかった…だって、リヴァイ兄様の方が、何倍も口が悪いし‼︎
それよりも、口下手でつまらない私と、いつも一緒にいてくれる優しい子…カトリーナと友達をやめるなんて無理。)
(でも、カトリーナが悪く言われるのは、嫌だな。そうだ、いつも仲良くしてくれているお礼に、毎朝学校で髪をとかしてあげよう。
カトリーナの髪って、猫っ毛でフワフワして、触ると、とっても気持ちいいんだよね。いろんな髪型ができるように、ミアに教えてもらおう。)