表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/16

友達1人できるかな?

今日は、いよいよ私が、メイスウェル学園へ入学する日がやって来た。


入学式の日が近づくに連れて、どんな授業や生活が待っているのかワクワクしたり、そうかと思えば、友達ができるか不安になったりしていたため、側から見ると、急にニヤニヤしたり、ため息ををついたり、だいぶ情緒不安定だったと思う…。


私の落ち着かない様子を見ていた侍女のミアが、ハワード公爵家のお茶会の様に、興奮のあまり眠れずフラフラにならない様にと、昨日は一晩一緒にいて見守ってくれたのだった。

おかげでグッスリよく眠れて、今日はシャキッと快調だ。

代わりにミアは何度か起きては、私の様子を見てくれていたみたいだから、少し疲れた顔をしてる。私が学園に行ってる間に、お昼寝をして休んでもらおう。


ーーーーーーーーーーー



メイスウェル学園は、8歳から15歳までの、貴族のご子息とご令嬢が通う学園だ。


余程の理由がない限り、貴族のご子息とご令嬢は、この学園で、リッシュベルト王国の歴史や地理、計算、読み書き、科学や外国語などの勉強の基礎や、貴族としてのマナー、社交、領地経営の仕方を学ぶ。

また、ご子息には体術や剣術、ご令嬢には家庭内での作法や刺繍など、貴族であるために必要な知識を、低学年より段階を追って学んでいく事になる。


そして卒業後、騎士を目指す人は騎士学校へ、専門的な学問を続ける人は、高等学校へ進学したり、研究室で研究をしたりする。


ただ、ほとんどのご令息は親の仕事を引き継ぎ、領地経営や武官・文官の仕事をする事になる。

そして、ご令嬢は婚約者が既に決まっている人以外は、大抵16歳になったら社交会デビューを早々に行って、行き遅れるになる前に結婚しようと、毎日の様に茶会や夜会などの催しに参加する事になる。





今日は、初めに講堂に集まって入学式が行われる。全学年の生徒と、一年生の保護者が出席して行われる講堂は、全員が参加しても、まだ余りあるほど広々している。


メイスウェル学園に通うのは、貴族のご子息やご令嬢なのだから、そこで行われる行事は、準社交会と言って良い。ここでの人脈は大人になってからも、確実に影響するため皆、人脈作りに必至になる。


だから学園の行事とはいえ、普段は、外国の来賓の方達や卒業生が招かれることも多く、講堂は非常に大きい造りになっている。

二階席もあり、今日の様な式典の時は保護者席として使われるが、パーティーなどでは警備の護衛が、上から目を光らせる場所になる。


入学式の席順は1年生が1番前に座り、その後ろに2、3…学年と、低い学年順に座っていく。

更に、各学年の席順も、身分の高い順から席順が決まっていく。

私の学年には、王族や公爵家のご子息やご令嬢はいなかったため、侯爵家令嬢である私は、前の方に座っていた。


8学年の所には双子の姉様達がいるし、保護者席には父様や母様の他に、リヴァイ兄様も来てくれているはずだから、振り向いて探したいけど、不作法だし我慢した。


前列に座っているせいで、同級生にどんな子がいるのか観察も出来ないし、後ろの方の席ではコソコソ、クスクス楽しそうに小声で話している声が聞こえてくる。


(あ〜、羨ましい…。お願い、私も入れて。)


私も、勇気を出して隣のご令息やご令嬢に話しかけてみようかな…。


なんて、チラッと、隣に座っているご令嬢の方を見てみた。

名札にマリーニ侯爵家のヴァネッサ様と書いてある。

縦巻きロールの髪型がピシッと決まっていて、なんだかちょっと話しかけづらいけど、勇気を出そうかな…、どうしようかな…。

と迷っていたら、突然、ヴァネッサ様が私の方をむいて、ニッコリ微笑み、大きな声で、

「身分の低い方たちは、これから入学式だと言うのに、ペチャクチャおしゃべりなんかして。本当に不作法で嫌になりますわね。」と、後ろの人たちに聞こえる様に、私に話しかけてきた。


(えっ⁈うそ。なんでそんな事言ったの?そんな事、全然思ってないんですけど‼︎)


そんな大きな声で、私に話しかける様に注意したら、私も同じ様に迷惑していると、思われてしまうじゃないか〜。私を巻き込まないで〜。


私はむしろ、コソコソおしゃべりをできる様な、友達が欲しいのに!


もう、無理。絶対、後ろを見れない…。


ヴァネッサ様とお友達になる事は諦めて、もう一方の隣りに座っているご令息の方を見ると、こちらもニコッと笑いかけてきた。


(ゔ、いやな予感…)


名札を見ると、コールソン侯爵家のダリル様と言うらしい。

顔は少しつり目がちだけど、お上品な顔立ちをしていて、いかにも上流階級のお坊っちゃま。と言う雰囲気のご令息だ。


顎をツンっと上げて、キザな話し方で、

「君、ランドルフ侯爵家のご令嬢だよね。正直、僕達の学年、侯爵家以上の身分の者が少なくて困るよね。

これじゃあ、身分にふさわしい婚約者を見つけるのも大変だ。

まあ、君は結構可愛いし、婚約者候補として考えといてあげるからね。」と、サラッと髪をかき上げ、流し目で言われ目眩がした。


何これ…。8歳で、この選民意識と、プライドの高さ。


つ、疲れた…帰りたい。


けど、入学式は、今から始まる。


(助けて〜、リヴァイ兄様。入学式よ。早く始まれ〜。そして、早く終わって〜。もう、無理。今日は、マカロン10個、絶対やけ食いしてやる。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ