表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

父様とパジャマパーティー

いよいよ、決行は今夜だ。今日は夜に備えて、少しお昼寝をしておかないと…。




深夜、屋敷中が寝静まった頃、馬車が玄関に着いた音が聞こえる。


執事がそっと玄関を開け、父様が、やや足元をフラつかせながら屋敷へ入る。一言二言会話を交わし、父様は家族の居室がある二階へ階段を登ってきた。


父様はお酒を飲んだ日は、母様と一緒の寝室へは行かず、書斎に置かれた簡易ベットで休む事は確認済みだ。


今夜も父様が、書斎に入ったのを見計らって、ノックをした。


「アズです。眠れないので、一緒に寝てもいいですか?」


少し間が空いた後、ドアが開かれ赤い顔をした父様が、驚きながらも優しい顔で迎えてくれた。


「驚いたな。こんな時間まで起きているなんて。怖い夢でも見たのかな?

父様は、少しお酒を呑んできたから、もう眠いんだよ。

アズが嫌じゃなければベットは狭いけど、ここで一緒に寝る?


まあ、なんだ…。こんな所、リヴァイに見られたら、大変な事になるな。」


ゴモゴモ言いながらも、ニヤニヤ嬉しそうに、部屋の中に私を入れてくれた。



2人でベットに入ると父様は、直ぐに寝息を立て始めた。


「ねえ、父様?」


「んん〜…」


「あのね、同衾ってどういう意味?」


「え…どう…」


「ど・う・き・ん」


「あー、う…ん、今の私達…みたいな事か…な。一緒にベッ…トに入る事。仲良しの証拠だ…な。ふふっ、アズは…いつ…までも、父様の事を、好き…でいてくれる…よね…」


「もちろんです。ふんふん、なるほど、どうきんは、一緒に寝ることね。」


「そう、私達…みたい…な、好き…同士が…ね。」


「じゃあ、どうきんした後に、“交わる”をしたってあるけど、父様やってみて。」


「あー、まじわ…交わ…交わる。え…交わる⁉︎って、えっとあの…言っ…いやまさか。」


半分寝ていた父様がすっかり目を覚まし、驚いた顔でこちらを見て顔を赤くし、震え出すほど動揺している様子に、さすがに私も、とても不味いことを聞いた事だけは分かり、


「ふぁ。なんだか、眠たいです…父様、おやすみなさい。」

と、ごまかした…。


「あー、気のせいだったか、酔っ払いすぎたかな…おやすみ、アズ。」




「………………って、眠れないでしょ!なんか、すごい事聞かれた様な気がするけど、どう言う事かな?」


父様の困惑した顔を見て、猛烈に恥ずかしくなりながらも、私は渋々事情を話した。


「早く大人になりたくて、姉様の恋愛小説を、な、内緒でお借りしたのですけど、意味のわからないところが多くて…。」


父様に姉様の恋愛小説を、こっそり読んでいる事がバレてしまった恥ずかしさで、アズは顔を赤くして涙ぐんでいた。


「早く、大人にならなくてはいけない、理由があるのかな?」


アズは2年も前になってしまった、ハワード公爵家のお茶会でのクラウス様との出来事を話し、その後、手紙やプレゼントのやり取りはあるものの、2年前のあの日以来、全く会えていない事を話し、自分が大人なら、いろんな場所でお会いできるのに…だから、早く大人になりたい。と正直に話した。


「なるほどね。しかし、相手が、ハワード公爵とは…。大変な相手が初恋だ。

ところで、アズは、父様と母様が、どうして結婚したか、知ってる?」


唐突に父様から思いもかけない事を聞かれて、アズはキョトンとしながらも、


「ランドルフ家のお仕事を、母様のご実家であるローハン伯爵家が、代々お手伝いしていた事で、家同士で自然に話がまとまった。と、母様から聞きました。」


父は、フッフッ。と、微笑んで、


「実は、ちょっと違うんだ。父様と母様は、確かに互いの家の仕事の関係で、ちょくちょく会う機会はあったんだけど、私達は8歳年の差があるだろう?


母様が今のアズくらいの時は、自分は社交会デビューもすんだ成人だった訳だから、私も周囲も母様の事は可愛い妹くらいにしか思っていなくて、正直結婚相手としては全く見ていなかったんだ。


だけど母様は、会うたびに大人っぽい口調で、キビキビと、私の寝癖を指摘したり、タイの曲がりを直してくれたり、一生懸命私の世話を焼いてくれようとするんだ。


ある日、私に、見合いの話が来てね。同じ侯爵家のご令嬢で、身分も釣り合いが取れてるし、見た目も悪くない。結婚してもいいか…なんて、適当に思っていたら、母様が泣きながら、私のだらしない所の世話をできるのは、自分しかいないから、大人になるまで待っていて欲しい。って言うんだよ。


(あーこの子は、私のために、一生懸命背伸びして頑張ってくれていたんだな。そんなに、好きでいてくれていたんだな。)


って思ったその一瞬で、妹と思っていた子が、特別な子に見えたんだ。

何となくじゃなくて、こんなに自分を好きになってくれる子と結婚したいな。ってね。



だからアズの話を聞いて、ハワード公爵も、もしかしたら私と同じ魔法に、かかってしまったんじゃないかと思ってね。


もし、魔法にかかってしまったのだったら、アズが大人になるのを待ってくれるだろうし、例えそうじゃなくても、年頃になれば、素敵な王子様が、絶対アズの前に現れるから、焦らず、大人になりなさい。


だって、アズはこんなに可愛いのだから、周りがほっとくわけないよ。


それとハワード公爵には、もうすぐ逢えると思うよ。公爵もわかってて、アズに内緒にしているのだろうしね。楽しみにしているといいよ。


じゃあ、今度こそ、寝ようか。今日の話は母様には、内緒だよ。」


父様の話を聞いて勇気が湧いてきた。今は背伸びをしないで、自分にやれる事を頑張ろう。


まずは、学園に入ったら、お友達を作りたい。自分から話しかけるのが苦手だけど、勇気を出して一人でいいから、親友と呼べる子を作りたいな。




 〜それに、近々、クラウス様に会える様な予感がするし… 〜


キュンキュンする話を書いてみたい。と思っているのですが、なかなか難しいです…。


いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ