表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/48

第八劇『次の街、チェリータウン』

ミトス「じゃあダルトンさん、僕達もう行くね。」


ダルトン「本当にありがとうの。」


ミトス「ううん。ペキもメルも元気でね。」


ペキ「はい、本当にありがとうございました!」


メル「猫さんもありがとね。」


ナリィ「猫じゃないんだけどな…はは。」


ダルトン「是非また来て頂きたい。歓迎致すぞ。」


ライファ「そん時ゃ、また酒頼むぜ。」


ファム「ミトスが来るなら、アタシも来るわ!」


ミトス「それじゃ、またね!」


ペキ「本当に…本当にありがとうございましたぁ!」


ナリィ「元気でねぇ!」


メル「猫さんもね〜!」


人々「ありがとう!気を付けてなぁ〜!」


ミトス「さあ、行こう!『ソーラレイ遺跡』を目指して!」



(村から出る)



ファム「ねえねえミトス!」


ミトス「何?」


ファム「『ソーラレイ遺跡』まで、どうやって行くつもりなの?」


ミトス「そうだね……『ソーラレイ遺跡』があるのは、『イエロー大陸』にある『ハッサク風穴』の奥らしいから、このまま西に真っ直ぐ進めばいいんだよ。」


ファム「……ちょっと待ってね…。ん〜と………まだまだ全然遠いじゃない!」


ミトス「そうだね。」


ファム「そうだねって…。」


ライファ「オレ達がいるのは『レッド大陸』の『スワン山』だろ。真っ直ぐ行くとなると…ここから一番近い街が『チェリータウン』で……おいおい、確かに先は長ぇな。」


ファム「ね〜ミトス、ミトスってば『ソーラレイ遺跡』目指してどれくらいなの?」


ミトス「まだ目指し始めたばかりだよ。『ソリュート』が教えてくれなかった?」


ファム「お師匠様は、ミトスが目指してるのは『ソーラレイ遺跡』だって教えてくれただけなのよ。」


ミトス「そっか…。宴の時にも言ったと思うけど、僕とナリィは、各大陸の主要遺跡を調べてるんだ。といっても、まだ調べ始めたばかりだけどね。」


ファム「ふ〜ん。」


ナリィ「そして、色々調べてる内に、『ソーラレイ遺跡』には『青白く光る鉱物』があるらしいんだよね。」


ファム「もしかしてそれが?」


ミトス「…確証は無いけどね。」


ライファ「手掛かりはそれだけか?」


ミトス「まあね。」


ライファ「……まあ、行くしかねえってわけか。」


ファム「もし違ってたら?」


ミトス「また探すよ。」


ファム「ミトス…。」


ライファ「…ま、お前らしいわな。」


ファム「まあ、そんな一途なところもたまらなく好きなんだけどね!」


ミトス「ありがとうファム、ライファ。」


ナリィ「んじゃ、さっさと『イエロー大陸』に行くよ!」


ミトス「うん!先ずは『チェリータウン』だね!」



(『スワン山』を出る)



ミトス「ここを真っ直ぐ行けば『チェリータウン』だね。」


ナリィ「…今回はいないみたいだね。」


ミトス「そうだね。」


ファム「いないって誰が?」


ライファ「女だったりしてな?」


ファム「なっ!そそそそそんなわけないわよっ!ねえっ!ミトス!違うわよね?」


ミトス「……どうだろうね?」


ファム「そ、そんなっ!」


ライファ「くくく、ミトスも隅に置けねえなぁ。」


ファム「うう……ミトスゥ…。」


ナリィ「ぷっ、あはははは!」


ファム「…え?」


ナリィ「ミトス、そんないいもんじゃないだろ?あはは!」


ファム「…どういうこと?ミトス?」


ミトス「ごめんごめん。実はね、熱烈なファンに追われてるんだよね。」


ファム「ファ、ファン!じゃやっぱりぃ…。」


ナリィ「あはは!違う違う。ファンには違わないけど、ファンはファンでも、好意を持つファンじゃなくて、戦意を持つファンなんだよね。」


ファム「戦意って?」



(『砂十字』のことを説明)



ライファ「またウゼェ奴らに好かれたもんだな?」


ファム「ちょっと待って…『砂十字』って言えば、確かボスが…。」


ミトス「知ってるの?」


ファム「んとね、ミトスを探してる途中に、人を襲ってる連中がいたのよ。」


ライファ「そして、ファムが馬鹿力でそいつらを瞬殺し…!」


ファム「おらっ!」


ライファ「ぐっ…。」


ナリィ「瞬殺だ…。」


ミトス「そのボスがどうかしたの?」


ナリィ「確かアクスって言ったよなぁ。」


ファム「やっつけた奴がね、言ってたのよ。『俺達には、ボスが…鈴の男がついてる』って。どういう意味か分かる?」


ナリィ「『鈴の男』?」


ミトス「……。」


ファム「ミトス?」


ミトス「……。」


ファム「ミトスってば!」


ミトス「え?あ、何?」


ファム「どうしたの?考え込んで…。」


ミトス「……ねえファム、本当にその人達は『砂十字』だったの?」


ファム「え?」


ライファ「それは間違いねえと思うぜ。」


ナリィ「あ、無事だった。」


ライファ「ふ、慣れてるからな。」


ミトス「ライファ…。」


ライファ「ん?ああ、そいつら自身がそう言ってたし、襲われてた奴にも聞いたしな。」


ファム「そうそう、きっと『砂十字』のボスは『鈴』をつけてる奴なんじゃないの?そのアクスだっけ?」


ナリィ「え…でも…ミトス。」


ミトス「…うん。」


ライファ「どうしたってんだ?」


ミトス「僕達が知ってる『砂十字』のボスは、『鈴』なんかつけてなかったんだよ。」


ファム「じゃあウソなんじゃないの?そのアクスってのは『鈴の男』の部下で、ただボスの名を借りてただけなんじゃないの?」


ミトス「……そうは思えないけど…。」


ナリィ「オイラも…。」


ライファ「……ま、考えていてもしょうがねえ。次に会った時にでも聞けばいいだろ?」


ミトス「そう…だね。」


ファム「ああ、見えてきたわよ!」


ナリィ「『チェリータウン』だ!」



(『チェリータウン』に到着)



ファム「わぁ〜変わった街だわ〜!」


ライファ「家が全部『チェリー』の形してやがる。」


ナリィ「だから『チェリータウン』ってんだね!」


ミトス「でも、あまり人を見かけないね。」


ファム「まだ昼過ぎなのにね。家の中にはいるみたいだけど…。」


ミトス「こんなにいい天気なのにね。」


ナリィ「なんか空気もピリピリしてるよね。」


ミトス「…。」


ライファ「…ミトス、ここでは何か用でもあるのか?」


ミトス「特には無いよ。でも、このまま行くと、途中で日も暮れちゃうし、今日はここで休むかな。先ずは宿探しだね。」


ナリィ「それはいいんだけどさ……金あんのミトス?」


ミトス「あ…。」


ライファ「おいおい…それでどうやって宿に泊まる気だ?」


ミトス「ライファ、お金持ってないかな?」


ライファ「悪ぃがオレは金なんか持たない主義だからな。」


ナリィ「どんな主義だよ。」


ミトス「う〜ん、じゃあ仕方無いけど、このまま進んで日が沈んだら野宿かなぁ。」


ファム「ノンノンノン、大丈〜夫!」


ミトス「え?ファム?」


ファム「アタシはライファと違って計画性のある女なの!」


ナリィ「それじゃ…!」


ファム「むふ〜お金なら、アタシが持ってるわ!」


ミトスとナリィ「やったぁっ!」


ライファ「…。」


ミトス「さすがファムだよ!」


ファム「そうなのよ〜、いつ結婚してもいいように、いいお嫁さんになれるように、計画性はアタシの魅力なの!いつ結婚してもいいように…ねえミトス。」


ミトス「へ、はは…ともかく助かったよファム。」


ファム「むふ〜お金は大事に……あれ?おかしいな…確かここに…。」


ミトス「ん?どうしたのファム?」


ファム「な…無い…。」


ミトス「えっ!」


ファム「どうしてよっ!確かここに入れてたはずなのに!」


ミトス「本当にこの袋に入れてたの?」


ファム「間違い無いわ!まだ一万セルは残ってたはずなのに〜〜〜〜っ!」


ナリィ「…ん?何飲んでんのさライファ?」


ライファ「ぷはぁ、んん?これか?酒だよ酒。スッゲエ高級らしいぜ!」


ナリィ「そんなもん持ってたっけ?」


ライファ「買ったんだよ。『つばめ村』でよ。」


ナリィ「買ったって…お金は持たない主義じゃなかったっけ?」


ライファ「ああ、んなもんファムの金を借りたに決まってんだろ?」


ナリィ「……うわ!」


ライファ「この酒はな、一万セルもすんだけどよ、ギリギリ足りて良かったぜ!あはは!」


ファム「お〜ま〜え〜か〜!」


ライファ「ん?何だ?宿決まったか?」


ファム「決まるかぁーーーーっ!」


ライファ「うわぁぁぁーーーー……。」


ナリィ「…これは仕方ないよね。」


ミトス「ライファらしいって言ったら、ライファらしいけどね。」


ファム「アタシの計画を舐めとんのかっ!」


ライファ「た…助け…。」


ファム「死んで詫びろ…。」


ライファ「いやぁぁぁーーーっ!」


ナリィ「自業自得だよね…完全に。」


ミトス「やっぱり野宿するしかないみたいだね。」


ファム「お前のせいだ!このこのこのこのぉ!」


ライファ「ああーーーーっ!」


?「ん?何だお前ら?」


ミトス「え?」


?「こんなトコで何を騒いでんだ?」


ミトス「え…と……お金がね…。」


?「何だ?文無しか?」


ミトス「はは…そうなんだ。」


?「……来いよ。」


ミトス「え?」


?「汚い寝床でもいいんなら来いよ。」


ミトス「いいの?」


?「泊まるトコが無いんだろ?」


ミトス「そうだけど…。」


?「来るのか来ないのかハッキリしろよ!こっちも暇じゃないんだから!」


ミトス「ああ、ありがとう、お世話になるよ。」


?「んじゃついてこいよ。」


ミトス「うん、行くよ三人とも!」


ナリィ「ほら二人とも、行くよ!」


ファム「待って待って、ミトス〜!」


ナリィ「大丈夫…?」


ライファ「か…紙一重…でな…。」



(少年について行く)



?「ここさ。ただいま。」


ライファ「一応宿なんだな。良かったなぁ、宿に泊まれてよ!」


ファム「…。」


ライファ「わ、悪かったって…。」


?「お兄ちゃん?」


?「ただいま。」


?「…この人達は誰?」


?「客だよ。文無しのな。」


ナリィ「文無し文無し煩いなぁ。」


?「…。」


ナリィ「な、何?」


?「猫ちゃんが喋った?」


ナリィ「もういいよ…そのネタ。」


ミトス「ところで本当に良かったのかな?」


?「気にすんな。困ってる奴がいたら損得抜きで動け。それが親父の言いつけなんだよ。」


ミトス「ありがとう。」


?「その代わり、飯を作るのは手伝ってもらうからな。」


ミトス「もちろんだよ!じゃあ僕達のことを教えておくね。僕はミトス。」


ファム「アタシはファムよ。」


ナリィ「オイラはナリィ。そんで、顔がボコボコなのは、ライファってんだ。」


ライファ「よ…よろしくな。」


?「変わった猫がいるんだなぁ。まあいいや、おれは『リュト』、こっちは妹の『リリ』だ。」


リリ「猫ちゃん、一緒に遊ぼ!」


ナリィ「はぁ…もう猫でいい…ことはないけど…まあいいや…。」


リリ「リリのお部屋行こ!」


リュト「あまり暴れたりすんなよ!」


リリ「はぁ〜い!」


ミトス「……そう言えば、さっき言ってた親父さんは?」


リュト「……いないよ。」


ファム「まさか…。」


ライファ「死んだのか?」


リュト「違う!」


ライファ「ん?」


リュト「殺されたんだ……『アイツ』に…。」


ライファ「『アイツ』?」



(外が騒がしくなってきた)



ライファ「何だ?」


ファム「悲鳴も聞こえるわよ?」


リュト「来たんだよ。」


ミトス「…誰が?」


リュト「……『剛腕のデッカス』さ。」


ミトス「何者なの?」


リュト「知らないのか?怪物さ、親父を殺した。」


ライファ「!」


ファム「…お父さんを殺されたの?」


リュト「…ああ、馬鹿な親父だよ。敵うわけないのに向かって行って殺されたよ。」


ライファ「……仇を討ちてえとは思わねえのか?」


ファム「ちょっとライファ!」


リュト「おれは親父みたいな馬鹿じゃないからな、負ける戦いなんてしないんだよ。」


ライファ「人としては賢いな。…だが男としては死んでんなお前。」



次回に続く





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://www.webstation.jp/syousetu/rank.cgi?mode=r_link&id=3394 http://netnovelranking.client.jp/?168
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ