表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/48

第四十五劇『もう一つの世界』

ゼツ「…らな?」


ライファ「そうだ、オレとミトスは『ラナ』から来たんだ。」


ヒュード「…マジ?」


ナリィ「オイラもだよ。」


ヒュード「…マジ?」


ナリィ「マジ!」


サウザー「『ラナ』?もしかして、かつてこの星の真上にあったといわれる蒼い星のことですか?」


ライファ「ああそうだ。」


ラスカ「馬鹿な…。」


ゼツ「そ、その通りだ!何を馬鹿なことをほざいているっ!」


シュア「まあ待てゼツ、彼らの話を聞こう。ライファといったな、お主達、本当にあの『ラナ』から来たというのか?」


ライファ「だからそうだって何度も言ってんだろ。」


シュア「しかし、今では失われた星からどのようにして来たのだ?」


ゼツ「不可能だ!無い星から来れるわけなかろうがっ!」


ライファ「ま、普通はそう思うよな。今は見えねえんだからよ。」


ゼツ「当たり前だ!だから……ん?」


サウザー「見えない?」


シュア「どういうことなのだ?」


ライファ「言葉通りだよ。この星から『ラナ』は見えねえんだよ。」


シュア「?」


ライファ「だけどな、見えねえだけで、ちゃあんと存在してんだよ、オレ達の星はな。」


ゼツ「だ、だがその話が本当なら何故見えない!かつては眩い程に蒼い光を放つ星だったと聞くぞ!」


ライファ「ま、そこんとこはある奴のせいなんだよ。」


ゼツ「ある奴だと?」


サウザー「…ヘルユノス…ですね。」


皆「!」


ゼツ「ならヘルユノスも!」


ライファ「ああ、オレ達と同じ『ラナ』の住人で、ミトスと同じ……『不死者・ヴァンパイア』だ。」


皆「!」


ゼツ「『ヴァンパイア』!このガキがっ!馬鹿なっ!」


ヒュード「…マジ?」


ナリィ「マジ!」


ラスカ「『ヴァンパイア』というのは空想上の生物だったのではないのか…。」


ライファ「ま、そう思いたいのも分かるけどな。だが事実だ。オレにも少しだが『ヴァンパイア』の血は流れている。」


シュア「私も『メビウス監獄』で聞いたが、未だに信じられぬ…だが…。」


ゼツ「く…し…信じられんな!とてもじゃないが、何の根拠も無いっ!」


シュア「いやゼツ、実は何の根拠も無いわけではないのだ。」


ゼツ「?」


シュア「少なくとも私は、そのミトスが『不死』に近い存在であることは納得出来る。」


ゼツ「な、何故?」


シャイディア「俺達は見たからさ、お前の言う根拠をな。まあ、『ラナ』から来たってのは驚いたけどな。あ、そうか、昨日ライファから聞いた話、どおりで誰も知らねえはずだな。そうか…『ラナ』で起きた事件だったのか…。」


ゼツ「さっきから一体何を!」


ライファ「まあ慌てんなって、今見せてやるよ。……これ何だ?」


ゼツ「ん?何だそれは?」


サウザー「それは…『ヒアモネ』!」


ゼツ「何だ?」


サウザー「『毒草』…ですよ。」


ゼツ「毒草だと?何故そんなものを…。」


ライファ「見せてやるよ。ミトスが『ヴァンパイア』、そしてオレも『ヴァンパイア』の血を引いてるってことをな。」


ガレス「一体何を…。」


ヒュード「ふふ〜ん。」


ゼツ「何故今そんなものを…しかもそいつで証明するだと……ま、まさかっ!」


ライファ「へへ、こうすんだっ!」


皆「!」


ゼツ「た、食べただとっ!」


サウザー「危険ですっ!『ヒアモネ』は毒性レベル6の毒草ですっ!そんなものを食べたらっ!」


ガレス「おいっ!」


ラスカ「馬鹿なっ!」


フォテ「ひぃっ!ラ、ライファさんっ!なななな何てことをっ!」


ライファ「…うっ!」


フォテ「ライファさんっ!」


サウザー「いけないっ!」


ラスカ「き、救護班を早くっ!」


ライファ「なあんちゃってなっ!」


ラスカ「え?」


ゼツ「…は?」


サウザー「ま、まさか…!」


ガレス「な、何ともないのかの?」


シャイディア「やっぱ『ヴァンパイア』ってすげえな。」


ゼツ「な…に…。」


シュア「『メビウス監獄』での、ミトスがした行動と同じだな。全く…驚いたな。」


ライファ「へへ。」


ラスカ「ぶ、無事なのか…?」


ライファ「教えてやるよ。『ヴァンパイア』に毒は効かねえ。だから体内に入ると、どんな猛毒も全て、無害なタンパク質に変化すんだよ。後は…これだ!」


ゼツ「なっ!」


ライファ「この程度の切り傷なら、数秒で……治る。」


ゼツ「…。」


シュア「ミトスが自分にナイフを突き刺した時と同じだな。」


ライファ「いや、あんな行為はオレには出来ねえよ。アレは純粋な『ヴァンパイア』のミトスだから出来たんだ。『ヴァンパイア』の血が薄いオレがあんなマネしたら入院もんだぜ。」


ゼツ「き…貴様…!」


ライファ「驚いたか?これが『ヴァンパイア』だ。そして、その『ヴァンパイア』は、『ラナ』にしかいない。」


サウザー「では、あなた達の他にも『ヴァンパイア』が?」


ライファ「ああいるぜ。ま、ほとんどはオレみたいに『ヴァンパイア』の血は薄いけどな。純粋な『ヴァンパイア』は四人だけだ。」


ゼツ「…。」


ライファ「おい黒いの、『ヴァンパイア』の血が薄いオレでもこんな『特殊な力』がある。…もう分かってんだろ?純粋な『ヴァンパイア』のミトスはオレよりもスゲエよ。それこそ…何十倍もな。」


ゼツ「このガキが…!」


シュア「もうよいだろゼツ、彼等の力量は超絶だ。特にミトスには、何か深いものを感じる。」


シャイディア「王だからなミトスは!」


シュア「王?」


ミトス「…話したんだねライファ。」


ライファ「ダメだったか?」


ミトス「ううん!」


シャイディア「信じろっ!ミトス達は我々の仲間だっ!そこに偽りは無いっ!」


ゼツ「陛下…。」


シャイディア「『ラナ』がある、『ラナ』から来た、ミトス達がそう言うならそうなんだ。」


ミトス「シャイ!」


シャイディア「しか〜し!」


ミトス「?」


シャイディア「ホントにそんなとこがあるなら、いつか連れてけよ俺も!」


ガレス「な…何を!」


シャイディア「どうなんだミトス?」


ミトス「もちろんだよ!」


フォテ「『ラナ』…『ラナ』か……よぉし。」


ナリィ「ん?どったのフォテ?」


フォテ「え?いや、何でもないですよアハハ!」


ナリィ「?」


ゼツ「し、しかし本当に大丈夫なんだろうな、『食尽鬼』は!」


ミトス「うん、ヘルユノスが抑える。」


ゼツ「……分かった。だったらもう何も言うことは無い。」


サウザー「あらら、随分おとなしいですねぇ。」


ゼツ「黙れ、斬るぞ。」


シュア「よし、それでは会議を進めよう。今まで話した現状で何か意見はあるか?」


サウザー「とりあえずは、ヘルユノスが『五光石』を集めているというのが最大の情報ですね。」


シュア「そうだな…。」


ミトス「そこで一つ提案なんだ。」


シュア「何だ?」


ミトス「僕がここに来たもう一つの理由、ある人物を探してほしいんだ。この国の情報網で。」


シュア「ある人物?誰だ?」


ミトス「『ジック』っていう人物だよ。」


ゼツ「何者だ?」


ミトス「表の情報から裏の情報まで、全てを掴める能力の持ち主…『情報屋ジック』を探してほしいんだ。」


ゼツ「『情報屋』だと?『ジック』なんて聞いたことが無いぞ。」


ミトス「…じゃあ『カヌラ』は?」


ゼツ「『カヌラ』?ああ、『海賊カヌラ』のことか?」


ミトス「そいつが『ジック』だよ。」


ゼツ「!」


ミトス「他にも『商人ラザス』、『薬師テンカイ』、『探検家ジュデナ』、どれも『ジック』だよ。」


シャイディア「どいつも聞いたことある名前だよな。」


ガレス「確かに有名ですな。」


ゼツ「し、しかし、一体そいつは!」


ミトス「僕は一回だけ会ったことがあるんだ…『ラナ』で。」


皆「!」


ゼツ「ではまさかっ!」


ミトス「うん、『ジック』は僕達と同じ『ラナ』の住人だよ。『ヴァンパイア』じゃないけどね。」


ゼツ「そ、そいつは何故こちらに来て、そんな何人もの人物として生きてるんだ?」


ミトス「会えば分かるよ。だから探してほしいんだ。『ジック』なら、ヘルユノスの居場所をつきとめてくれると思うんだ。」


シュア「よ、よし!早速情報を集めよう!」


サウザー「確かに、今はそれが最善かもしれませんね。」


ラスカ「そうだね。」


シャイディア「だけど待てよ、同じ人物なら顔とか同じだろ?何で誰も同一人物だって気付かないんだ?」


ミトス「それも会えば分かるよ。」


シャイディア「へぇ、楽しみじゃねえか。」


ミトス「だけど、この広い世界の中で『ジック』を見つけられるのかな?」


ライファ「とりあえず『ジック』が今どんな人物になってるかだよな。皆が知ってる奴だといいんだけどよ、知らない奴になってんなら、いくらなんでも厳しいんじゃねえか?」


ミトス「うん、多分相当時間がかかると思う。だから時間を無駄には出来無いよ。」


ライファ「どうすんだ?」


ミトス「一旦『ラナ』に戻る。」


ライファ「な、何でだ?」


ミトス「もしかしたら『ラナ』にも何か情報が入ってるかもしれないし。」


ライファ「そうだな、ジジイも何か掴んでるかもしれねえし、戻るか!」


ミトス「うん!じゃあシュアに言ってくるね!」


フォテ「待って下さいっ!」


ミトス「え?」


ライファ「何だ?」


フォテ「ぼ、僕も連れて行って下さいっ!」


ミトス「フォテ…。」


フォテ「お願いします!行きたいんですっ!いや、行かなくちゃならないんですっ!」


ライファ「何言ってんだお前…行かなくちゃならない?どういうことだよ?」


フォテ「そ…それは…。」


ミトス「…。」


ライファ「どうした?」


フォテ「ぼ…僕は…!」


ミトス「いいよ!」


フォテ「え?」


ライファ「ミトス!」


ミトス「連れて行ってあげるよ。」


フォテ「ほ、本当ですかっ!」


ミトス「だって、フォテは僕達の友達でしょ?」


フォテ「ミトスさん…。」


ミトス「それじゃ、シュアに言ってくるね!」


フォテ「はいっ!」



(物陰からある人物が見てる)



?「しめたしめた!」



(再びミトス)



ミトス「言ってきたよ!なるべく早く戻るってことで許可がおりたよ!」


ライファ「ま、そんなに早く『ジック』が見つかるとは思えねえけどな。」


ミトス「まあね。それじゃとにかく外に出よう!」



(部屋から出ようとした瞬間、ミトスの顔に何かが飛び付く)



ミトス「うわぁっ!」


ライファ「ミトス!」


ミトス「な、何?」


?「キュイキュイ!」


ナリィ「何これ?」


ヒュード「ああ、これはルーナ姫のペットだよ。」


ナリィ「ああ、確か名前が『ラピ』…っていたのかよっ!」


ヒュード「いやぁ、ヒマでさぁ。」


ナリィ「いやいやヒマって…みんな情報集めに必死なんじゃ…。」


ヒュード「いやぁ、めんどくさいじゃない!ふふ〜ん!」


ナリィ「な…何でクビとかになんないんだろ?」


ラピ「キュイ?」


ミトス「へぇ、『ゴールドマウス』だね。」


ルーナ「あっ!」


ミトス「ルーナ。」


ルーナ「す、すみません!こら離れなさいラピ!ミトス様に何てことを!」


ミトス「あ、いいよいいよ。」


ラピ「キュイキュイ♪」


ミトス「あは、可愛いね。」


ルーナ「本当に申し訳ありませんでした。…あの、どこか行かれるのですか?」


ミトス「うん、もう一つの世界にね!」



次回に続く


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://www.webstation.jp/syousetu/rank.cgi?mode=r_link&id=3394 http://netnovelranking.client.jp/?168
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ