第二十八劇『闘技場コロッセオ!ライファの挑戦』
ライファ「面白ぇ。」
ナリィ「え?」
ライファ「なあヒュード、受付はどこにあんだ?」
ヒュード「…。」
ナリィ「ち、ちょっとライファ!」
ヒュード「…出るんかい?」
ライファ「ま、少し腕試しに…な。」
ヒュード「ふふ〜ん…こっちだよ。」
ナリィ「ほ、本気なのかよライファ!」
ライファ「チャンピオンだぜ?男なら憧れんだろ?」
ナリィ「何だよそれ…。」
ライファ「ファムがいたら間違いなく止められてたけどな。」
ナリィ「はぁ…。」
ライファ「男なら上を目指さなきゃな!はは!」
ナリィ「知らないよもう。」
(受付する)
ヒュード「んじゃオレっちらは、見てるからね。頑張ってねぇ!」
ライファ「おう、任せとけ!」
(試合が始まる)
ライファ「さてと。」
司会者「さあ皆さん!新たなるチャレンジャーの登場です!その名もライファ=サスラギ!それでは闘って頂きましょう!先ずは一回戦です!」
ライファ「ん?一回戦?」
ナリィ「あれ?チャンピオンは?」
ヒュード「いきなりは無理だって。チャレンジャーがチャンピオンと闘うには、三回闘って勝たなきゃいけないんだよね。」
ナリィ「…誰と闘うの?」
ヒュード「ふふ〜ん……犯罪者と…だよ。」
ナリィ「えっ!」
ライファ「…一回戦ねぇ。面倒くせえが、仕方ねえか。」
司会者「一回戦はコイツだぁっ!『バルトロ』〜〜〜ッ!」
バルトロ「久しぶりのバトルかぁ〜!へへへ。」
ライファ「ふぅん…。」
司会者「両者いいですね?では……ファイトッ!」
バルトロ「はっは!おれの動きについてこれるかな?」
ライファ「お〜お〜速ぇ速ぇ。凄〜い凄い。」
バルトロ「ち、余裕かましやがって!首もらったぁっ!」
ライファ「…。」
バルトロ「は、はずれた!くっ、今度は!」
ライファ「…。」
バルトロ「ま、またぁっ!」
ヒュード「やっぱな。」
ナリィ「え?」
ヒュード「レベルが違うねぇ。」
ナリィ「まあ、ああ見えても『勁使い』だしね。まあ、常人相手に『勁』を使いやしないけどね。」
ヒュード「へぇ。」
ナリィ「ところでさ、何で犯罪者が相手なの?」
ヒュード「まあ、犯罪者にも遊戯を与えるためにって意味もあるんだなこれが。」
ナリィ「でも何で?悪い奴らにそんなもんを与えるなんて。」
ヒュード「それだけじゃねえぜ。一人勝つごとに一年刑期が減らせることが出来んだよなぁ。」
ナリィ「ますます変じゃない?」
ヒュード「…命懸けの闘いが見たいから…らしいねぇ。」
ナリィ「命懸けの闘い?」
ヒュード「だってそうだろ?一人勝つごとに監獄から出られる日が近くなってくんだぜ?そりゃ死にもの狂いさ。」
ナリィ「…。」
ヒュード「そんかわり、もちろんリスクもあるぜ?」
ナリィ「リスク?」
ヒュード「確かに勝つと刑期が一年減る。だけど負けると、逆に一年刑期が延びるんだよね。」
ナリィ「…じ、じゃあまさに死にもの狂いだね…。」
ヒュード「そのとおり。」
バルトロ「くらえやぁっ!」
ライファ「はぁ…もう飽きたな。」
バルトロ「へ?」
ライファ「おらぁっ!」
バルトロ「ぐぼわぁっ!」
ライファ「まだまだ…だな。」
司会者「…い…一撃ですっ!何とチャレンジャーライファ、懲役22年のバルトロをたった一撃で倒してしまいましたっ!何という剛腕でしょうっ!」
ライファ「次は楽しませてくれよ?」
ヒュード「ふふ〜ん…こりゃ二回戦三回戦も一瞬だな。……ちっとジュース買って来るわ。何か飲むかい?」
ナリィ「出来れば熱〜いお茶がいいな!」
ヒュード「この熱いのにかい?」
ナリィ「おう!」
ヒュード「…あいよ。」
司会者「それでは二回戦を始めたいと思います!次は…刑期30年の…。」
ナリィ「ふぅ〜ん……ま、ライファなら問題無いか。」
(チャンピオン・グレイトは)
グレイト「次勝ちゃ、70勝かぁ。ま、楽勝だな…へ。」
?「そいつはどうかなぁ?」
グレイト「ん?…テメエは…。」
?「次のチャレンジャーは、アンタでも勝てないかもよ?」
グレイト「…何しに来やがった……『青銃』!」
ヒュード「ふふ〜ん…いやいや、油断してほしくなかったからねぇ。」
グレイト「はは、オレが油断?するわけねえだろが!」
ヒュード「それなら良かった良かった。アンタが油断して、闘いが一瞬で終わっちゃあつまらないからねぇ。」
グレイト「何だ…次のチャレンジャーはテメエの差し金か?」
ヒュード「そういうわけじゃないけどね。ただ、本気のアンタを凌駕する男かもしれないからねぇ。」
グレイト「テメエ、オレの強さを知らんわけじゃねえだろが!」
ヒュード「その息その息。これで少しは楽しめるかな?んじゃねぇ。」
グレイト「待て。」
ヒュード「ん?」
グレイト「ホントに強ぇんだな?」
ヒュード「…ふふ〜ん。」
グレイト「……面白ぇじゃねえか…。」
(ナリィは)
ナリィ「あ、終わった。やっぱ二回戦も楽勝だったなぁ。ふぅ、それにしてもヒュードの奴、おっそいなぁ…。どこまでジュースを買いに行ってんだろ?」
司会者「驚きです…全く驚きですっ!二回戦までも一撃っ!まさに一撃のライファ!三回戦も一撃でクリアしてしまうのでしょうか!それでは始めましょう!三回戦の相手は!」
ナリィ「ん?へぇ、結構ゴツイ奴…。」
ヒュード「ありゃ『キャツマラ』だな。」
ナリィ「ヒュード!」
ヒュード「ほいよ、熱い茶。」
ナリィ「ありがと。遅かったんだね。」
ヒュード「なかなか熱い茶が見つからなくてね。少し時間食った。」
ナリィ「はは、それは悪かったね。それより『キャツマラ』って?」
ヒュード「刑期70年の囚人だよ。」
ナリィ「それはかなりの犯罪者だね。」
ヒュード「自称『怪力王』。」
ナリィ「自称なの?」
ヒュード「でもまあ、確かにもの凄い怪力の持ち主だよ。殺した奴らは全員、骨という骨は全部粉砕してたらしいからねぇ。」
ナリィ「へぇ。」
ヒュード「…驚かないんだな?」
ナリィ「ん?いや…まあ、ライファなら大丈夫かなってさ。」
ヒュード「ふふ〜ん。」
キャツマラ「おいキサマ、先ずは何処の骨を砕いてもらいたい?」
ライファ「は?ああ、別にテメエの好きなとこを砕けばいいんじゃねえか?テメエの貧弱な『力』で…砕ければな。」
キャツマラ「む…必ず砕いてやらぁっ!」
司会者「それでは始めましょうっ!三回戦ですっ!ファイトッ!」
キャツマラ「一撃で勝ってきたみたいだな?ならオレも一撃で粉砕してやるぜ!はあぁぁぁーーーーーっ!」
ライファ「お、なかなかの気合いだな。」
ナリィ「右腕に全身の『力』を込めてるね。」
ヒュード「さあて、今攻撃すりゃいいのに、何を考えてんだかね?」
ナリィ「まあ、ライファは馬鹿だからね、相手に全力を出させなきゃ気が済まないんだよ。」
ヒュード「だけどさ、アレをまともに喰らえば、ちっとヤバイんじゃないかい?」
ナリィ「ま、ライファなら大丈夫だよ。見てれば分かるよ。」
キャツマラ「はあぁ……行くぜ?」
ライファ「待ちくたびれたぜ。さっさと来な。」
キャツマラ「いちいち勘に障る野郎だっ!砕け散れやぁっ!『マッスルブレイク』ッッッ!」
ライファ「!」
司会者「うぉーっと!チャレンジャーに直撃ですっ!まともに喰らってしまいましたっ!これではチャレンジャーの生死も危ぶまれますっ!」
キャツマラ「口程にもねえな!弱ぇ弱ぇ!」
ヒュード「あ〜らら、大丈夫かな?」
ナリィ「…ちょっと意外だったみたいだね。」
ヒュード「え?意外って?」
ナリィ「素のままじゃ、ダメージが大きかったのかな?」
ライファ「…。」
司会者「一撃のライファが一撃でやられてしま…い……まし…。」
キャツマラ「ん?さっさとオレの勝利宣言をしねえかっ!」
司会者「え…いえ…でもアレ…。」
キャツマラ「ああ?」
ナリィ「ライファの奴…。」
キャツマラ「な、何だと…。」
ナリィ「『勁』を使わされたみたいだね。」
ヒュード「…。」
キャツマラ「馬鹿な!…間違いなくオレの拳は当たったはずだ!な、何故……しかも……む…無傷だとっ!」
ライファの心「まさか『勁』を使わされるとはな。さすがに『勁』無しじゃアレは…。」
司会者「す、すんばらしいっ!チャレンジャーライファッ!全くの無傷!全くの無傷ですっ!驚きを隠せませんが、今一番驚いているのはこの人でしょうっ!」
キャツマラ「あ…。」
司会者「無理もありません!今の一撃は間違いなく、キャツマラの全力だったはずですっ!それをチャレンジャーは全くの無傷で生還したのですっ!」
キャツマラ「テメエ…一体何者だ…?」
ライファ「まあまあだったぜ、テメエは。」
キャツマラ「う…。」
ライファ「『剛拳』ッ!」
キャツマラ「ぐはぁっ!が…ぐ…バ…ケ…モノ…。」
ナリィ「ね?大丈夫だっただろ?」
ヒュードの心「まさかここまでとは……これは面白いな。」
ナリィ「ヒュード?」
ヒュード「え?ああ、あの兄さん、やるねぇ。」
ナリィ「だろ?」
ヒュード「次はいよいよチャンピオンと決闘だねぇ。」
司会者「やって参りました!先程挑戦した『鉄男タダムス』さえも一撃で沈めたチャンピオン!しかし!今度のチャレンジャーは一味も二味も違うっ!さあ、伝説を越えた闘いが始まるかもしれません!では参りましょうっ!先ずはチャレンジャーライファーーーーッ!」
ライファ「チャンピオンか…。」
司会者「そして、この闘いに勝てば、70勝を手にすることが出来ますっ!さあ出てこいっ!チャンピオン!グレイト=トゥ=カッターーーーーッ!」
グレイト「うおぉーーーーっ!」
司会者「では世紀の一戦、始めたいと思いますっ!ラストバトルッ!ファイトーーーッ!」
ライファ「…強ぇな、お前。」
グレイト「…ほぅ、ヤツの言ったとおり、ただ者じゃねえな。」
ライファ「…コイツまさか…試してみるか。はあぁ…。」
グレイト「ん!良いねぇ……はあぁ…。」
ライファ「!」
ナリィ「アイツ!『勁使い』っ!」
ヒュード「ふふ〜ん…。」
ライファ「やっぱな。さすがチャンピオンを名乗ってるだけあるな。しかも…オレと同じタイプだとはな。」
グレイト「男はこのタイプだろ?」
ライファ「へへ、『勁』には三つのタイプがある。その中でもやっぱ男ならこのタイプ。」
グレイト「そう…『鍛勁』だ。」
ナリィ「へぇ、ライファと同じタイプなんだねアイツ。」
ヒュード「『勁』を体中に巡らせ、自らの体や、武器を強化するのが『鍛勁』。」
ナリィ「うん。他に、『勁』を様々なモノに変化させるのが『化勁』。そして、体から『勁』を放出するのが『発勁』。」
ヒュード「さあて、同じタイプ同士の闘い。どっちが勝つかな?」
ナリィ「ライファが負けるとは思えないけど、まさかチャンピオンも『勁使い』だったなんてね。」
ヒュード「ま、楽しませてもらおうじゃん!二人の闘いをさ。」
ライファ「じゃ、闘ろうぜ。」
グレイト「うっしゃあっ!」
ライファ「『剛拳』っ!」
グレイト「うおぉぉぉっ!」
ライファ「くっ……止めやがった!」
グレイト「次はオレの番だぁっ!『グレイトナックル』ッ!」
ライファ「うらぁぁぁっ!」
グレイト「と、止めやがった!」
ライファ「『剛拳』っ!」
グレイト「『グレイトナックル』ッ!」
次回に続く