第二十六劇『スレイアーツ目前!四色獣ヒュード登場』
残念なことに、『ソーラレイ遺跡』には『蒼の秘宝』は無かった。しかし、ミトスの探し人である『ヘルユノス』の居場所が判明した。そして、ファムとゲキは『ソリュート』の呼び出しで『ラナ』に戻り、一行は『中央国・スレイアーツ』を目指す。
ナリィ「でもさぁミトス、先に『ヘルユノス』のトコに行かなくていいの?」
ミトス「ん〜そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ。」
ナリィ「何か問題があんの?」
ミトス「確かに居場所は分かったけど、そこが何処か分かる?」
ナリィ「あ…。」
フォテ「確か『ユーヴィリアの塔』…でしたよね。」
ミトス「聞いたことがないんだよねぇ。」
フォテ「僕もです。」
ナリィ「そっかぁ、フォテが知らないんだったら無理だよね…。」
ミトス「だから『スレイアーツ』にある、『王立図書館』で調べようと思ってね。」
ライファ「ま、それしか手は無えだろうな。今は情報収集が必要だしな。」
ミトス「うん。一体『ヘルユノス』はコッチで何をしてるのか、今何が起きてるのかを見極めなきゃならないからね。」
ナリィ「『スレイアーツ』に答えがあればいいんだけどなぁ。」
ライファ「…あ、街が見えてきたぜ!」
ミトス「本当だ!でも街というより村だね。」
フォテ「あそこは…『キィ村』ですね。」
ライファ「あとどれぐらいで『スレイアーツ』なんだ?」
フォテ「えっと…あそこが『キィ村』ですから……あの村の先にある『セイエン橋』を通って、すぐですね。」
ライファ「んじゃ、あんま遠くねえんだな。」
ミトス「とは言っても、もうすぐ日が暮れるしね。『キィ村』に宿があればいいんだけど。」
(『キィ村』に到着する)
ナリィ「のどかな村だなぁ。」
ライファ「こういう雰囲気も悪くねえな。」
フォテ「…あ、宿ありましたよミトスさん!」
ミトス「よし、それじゃ行こう!」
(カミュは)
カミュ「んじゃ、確かに渡したよ。」
?「ああ、ご苦労だった。」
カミュ「これで俺は、正真正銘自由ってわけだ。」
?「…そう言えばバジリスクはどうした?」
カミュ「…やられたよ。」
?「何?…誰にだ?」
カミュ「銀髪の子供に…。」
?「!」
カミュ「ま、俺はあんなオッサンがどうなろうと知ったこっちゃないけどね。」
?「…そうか。」
カミュ「ま、『ヘルユノス』に伝えてよ。アンタには一応感謝してるってね。借りた恩はしっかり返したってね。」
?「分かった。」
カミュ「じゃあ………ああっと、一つ聞いていいかな?」
?「何だ?」
カミュ「…『ヘルユノス』はコッチで何しようとしてるわけ?」
?「お前が知る必要は無い。」
カミュ「へ…想像した通りの答えありがと。」
?「せっかく自由になったのだ。あまり深く足を踏み入らないことだ。命を落としたくは無いだろう?」
カミュ「……『ヘルユノス』もアンタも、俺より格上だ。俺は負ける戦いはしないんでね。」
?「ならさっさと行くんだな。」
カミュ「そうすることにするよ……ああそうそう、一つ忠告しといてやるよ。」
?「ん?」
カミュ「ある一人の男が、アンタらに疑問を抱いてる。せいぜい気を付けるんだな、寝首をかかれるのは嫌だろ?」
?「誰だ?」
カミュ「そこまで教えてやる義理は無いね。ま、アンタならどんな野郎が来ても大丈夫なんじゃないの?な…『ドゥクト』さん?」
ドゥクト「…。」
(ミトス達は)
ミトス「今日は疲れたなぁ。」
ナリィ「色々あったからねぇ。」
ライファ「確かにな……そういやフォテ、『スレイアーツ』ってどんなとこなんだ?知ってんだろ?」
フォテ「はい。」
ライファ「教えてくれよ。」
フォテ「はい。『スレイアーツ』は、三つの大きな大陸『レッド大陸』、『イエロー大陸』、『グリーン大陸』を挟んだ国なんです。」
ライファ「ん?挟んだってどういうことだ?」
フォテ「ほら、地図を見て下さい。」
ライファ「…成程な。」
フォテ「『スレイアーツ』は、全ての大陸の上に建てられているのです。それぞれの大陸は離れているのですが、このようにこの部分だけ、この部分だけが三つの大陸が繋がっているんです。『スレイアーツ』はこの上にあるんです。」
ライファ「へぇ。」
ミトス「三つの大陸を中央で繋ぐ国、だから『中央国・スレイアーツ』って呼ばれてるんだよ。」
ライファ「成程な。」
フォテ「『スレイアーツ』は、とても大きな国で、様々な建物もあるんです。」
ライファ「たとえば?」
フォテ「『王立図書館』。」
ライファ「ミトスが行きたがってるとこだな。」
フォテ「『サンカラーズ劇場』や『展望台』、まだまだありますが、何と言っても一番はやはり、『スレイアーツ宮殿』ですね。」
ライファ「宮殿?」
フォテ「はい。『スレイアーツ国王様』がお住みになられている宮殿です。」
ミトス「もの凄く豪華な宮殿なんだよね?確か今の国王は…。」
フォテ「『シャイディア=ミラ=ホーリアス』様です。」
ミトス「国王には、一人娘がいたよね?」
フォテ「はい。『ルーナ王女』ですね。」
ライファ「美人なのか?」
フォテ「まだ14歳でしたと。」
ライファ「何だ、まだガキかよ。」
フォテ「ですが、王妃様に似ておられて、とても綺麗な方ですよ。」
ミトス「フォテは見たことあるの?」
フォテ「え?いえ、実は聞いただけなんです。」
ライファ「おいおい、じゃあ綺麗って根拠ねえじゃねえか。」
フォテ「す、すみません。」
ミトス「ま、行ってみれば分かるかもしれないね。」
ライファ「そうだな。」
ナリィ「明日はいよいよ『スレイアーツ』かぁ。」
ミトス「…。」
ナリィ「ん?どうしたのミトス?」
ミトス「…ねえフォテ、デッカスって知ってる?」
フォテ「え…デッカス?…あの『剛腕のデッカス』のことですか?」
ライファ「知ってんのか?」
フォテ「あ、はい。」
ミトス「じゃあバイパーは?」
フォテ「知ってます。二人とも犯罪者で、今は服役中だと…。」
ナリィ「服役っ!」
ライファ「こいつはどういうこった?」
ミトス「…。」
フォテ「あの…ミトスさん、どういうことですか?何故デッカスやバイパーのことを?」
ミトス「カミュとバジリスクも、本来なら服役中なんだよね?」
フォテ「は、はい…。」
ミトス「実はね、僕達はデッカスやバイパーとも戦ってるんだ。」
フォテ「そ、そうなんですか!」
ミトス「服役中のはずの犯罪者が次々と解放されてる…。」
皆「…。」
ミトス「そしてそれは『ヘルユノス』が、深く繋がってるかもしれない。」
ナリィ「カミュが言ってたもんね。」
ミトス「…とりあえず全ては『スレイアーツ』だね。」
(その頃ファム達は)
ファム「まだなのぉ〜ゲキ〜。」
ゲキ「うん、まだ。」
ファム「アンタ…一体どこに扉を開いたのよぉ?」
ゲキ「…どこだっけ?」
ファム「ちょっとそれだけは冗談にならないわよっ!」
ゲキ「んと……確か…。」
ファム「頼むわよ〜思い出してよね〜!」
ゲキ「あ、多分コッチだ。」
ファム「ホント!」
ゲキ「……あれ?」
ファム「…ちょっと…。」
ゲキ「…不思議だね。扉がどっか行っちゃった。」
ファム「どっか行っちゃったじゃないわよ!ホントにここなんでしょうねっ!」
ゲキ「間違い無い…と思う。ほら、ここに俺の好きな絵を描いたし。」
ファム「何…この絵…。」
ゲキ「ミトス。」
ファム「こんなブサイクじゃないわよっ!」
ゲキ「…そう?」
ファム「こんなの泥酔したライファの顔よりヒドイわよ!」
ゲキ「ん……ちょっとショック。」
ファム「はぁ…でもサインがあるんだからここなんだろうけど……何で扉が無いのよっ!」
ゲキ「ん……どうしよ。」
ファム「知らないわよぉっ!もうっ!ミトス〜〜〜〜!」
?「少しは懲りましたか?」
ファム「…え?」
ゲキ「あ…。」
ファム「『ネネル』ッ!」
ネネル「ふふ、お久しぶりです、隊長!」
ファム「な、何で…。」
ネネル「私達に断りもなく、勝手にいなくなったお仕置きです。反省しましたか、隊長?」
ファム「…は…はい。」
ネネル「よし!」
ゲキ「そっか…ネネルが別んとこに扉を開いたから、ここには無かったんだね。」
ネネル「ゲキ隊長には申し訳ありませんでしたが、少しファム隊長にお仕置きをと思いまして。すみませんでした。」
ゲキ「いいよ、面白かったし。」
ファム「む〜。」
ネネル「む〜じゃありません!これからキッチリ『ソリュート』様に叱って頂きますっ!」
ファム「えぇ〜〜〜っ!」
ネネル「えぇ〜じゃありません!さ、行きますよ!」
ファム「やっぱアタシ、ミトスのトコに戻るぅ〜っ!」
ネネル「ダダこねないで下さい!」
ゲキ「子供みたいだね。」
ファム「許してよぉ〜!」
ネネル「許しません!さ、急ぎますよ!『ゲートオープン』!」
ゲキ「あ、開いた。」
ネネル「では行きましょう!」
ファム「ちょっと待って!アタシまだ心の準備が…。」
ネネル「はいはい。」
ファム「ちょっと!隊長命令よっ!」
ネネル「でしたら少しは隊長っぽいことして下さい。」
ファム「む〜っ!」
ネネル「あまり手を焼かさないで下さい。」
ファム「む〜副隊長のくせに…。」
ネネル「何か言いました?」
ファム「何でも無いわよっ!」
ネネル「文句があるなら、どうぞ『ソリュート』様に仰って下さい。」
ファム「…うう、ミトス〜〜〜!」
(ミトス達、翌日)
ミトス「さてと、じゃあ出発だね!」
ライファ「よっし。」
(『セイエン橋』に到着する)
フォテ「この『セイエン橋』を越えれば、『スレイアーツ』ですよ!」
ライファ「でけえ橋だなぁ。」
ナリィ「…ん?誰かいるよ?」
フォテ「この橋は観光名所でもありますから人くらい…。」
ナリィ「で、でも何か様子が…。」
ライファ「コッチに来んぞ?」
?「ヒァッ!」
ミトス「!」
ライファ「何だテメエッ!」
?「ヒヒ…。」
フォテ「あの人は…。」
ライファ「知ってんのか?」
フォテ「…知りません。」
ライファ「思わせぶりかよっ!」
フォテ「すみません…。」
?「ヒッヒ!」
ライファ「ちぃっ!」
ナリィ「大丈夫ライファ!」
ライファ「テメエッ!一体何だよっ!」
?「教えてやろっかい?」
皆「!」
ナリィ「誰?」
?「オレっちかい?ふふ〜ん。」
ライファ「次から次へと、何なんだよ!」
ミトス「君は?」
?「オレっちは『ヒュード』、『ヒュード=ジグマール』ってんだよ。」
フォテ「ヒュード=ジグマール!」
ナリィ「フォテ?」
フォテ「…『四色獣』…。」
ヒュード「おお!オレっちってば有名かい?」
ライファ「コイツが!」
ヒュード「ふふ〜ん。」
?「ヒァッ!」
ヒュード「ホラホラ、来たぜ?うわ、敵意満々!」
ライファ「テメエ強ぇんだろ!だったらテメエがやれや!」
ヒュード「えっ!仕方ないなぁ…来いっ!」
?「ヒガァ!」
ヒュード「ぶへっ!」
皆「…え?」
ヒュード「…い…医者呼んで…。」
ライファ「帰れよテメエッ!」
ヒュード「オレっちを他の三人と同じに扱うなっての…自慢じゃないが…弱いぜっ!」
皆「…。」
次回に続く