第二十五劇『謎の吟遊詩人登場!それぞれの思惑』
ライファ「誰だよお前!変な歌を歌いやがって!」
?「寝小便……成程…ナ〜イスな表現ですねぇ♪ん〜寝小〜便〜♪」
皆「…。」
ライファ「誰なんだよお前…。」
?「私ですか〜♪」
ライファ「お前しかいないだろっ!ウゼェな!」
?「ノホ〜ホホ!それもそうですね!すみませんでした!ノホ〜ホホ!」
ライファ「…んで、お前は?」
?「私はトーテ……ノホ〜ホホ!……『テムカ』です。」
ライファ「ちょっと待てっ!最初のトーテって何だよ!」
テムカ「いやぁ〜なぁ〜んのことですかぁ〜♪私はテムカ〜♪ただのテム〜カ〜♪」
ライファ「な…何なんだコイツ…。」
ミトス「見たところ旅人みたいだけど、その楽器は何?」
テムカ「これですか〜?これは『ビートマ』です〜♪」
ミトス「『ビートマ』?フォテ知ってる?」
フォテ「『ビートマ』というのは、16本の弦があり、それを弾くことで音を奏でます。」
テムカ「そのと〜りでぇ〜す♪」
フォテ「ですが、扱いがとても難しく、扱える者もあまりいないと聞きます。」
ナリィ「じゃあ、結構凄腕なんだ。」
ミトス「もしかしてテムカは音楽家か何か?」
テムカ「ノホ〜ホホ!私は美し〜き〜吟遊〜詩人でぇ〜す♪ポロロ〜ン♪」
ライファ「ポロロって口で言ってるだけじゃねえか。ホントに凄腕なのか?」
皆「…。」
ミトス「……ぎ、『吟遊詩人』だったんだね。」
テムカ「ん〜よろしければ〜あなた方のことを〜教えてもら〜って構いませんかぁ〜?」
ミトス「あ、僕ミトス!」
ナリィ「オイラはナリィってんだ。」
ライファ「ライファだ。」
ファム「アタシはファムよ。」
フォテ「ぼ、僕はフォテです。よろしくお願いします。」
ゲキ「ゲキ。」
テムカ「ほう。ミトス坊にナリィ坊、ファム嬢にフォテ殿にゲキ殿、そして…。」
ライファ「…。」
テムカ「…。」
ライファ「…。」
テムカ「……ステテコ…。ノホ〜ホホ!…ライファ殿ですね♪」
ライファ「おいちょっと待てっ!何か言わなかったか!最初何か聞き捨てならねえこと聞いたぞ!」
テムカ「ところであなた方は何をなさってるのですか?」
ライファ「全開で無視かよ…。」
ミトス「僕達も旅してるんだ。これから『スレイアーツ』に行くとこなんだ。」
テムカ「ん〜なるほど〜ノホ〜ホホ♪」
ミトス「テムカはこんなところで何をしてるの?」
テムカ「詩を〜作ってるのですよ〜♪」
ライファ「さっきみたいな変なヤツか?」
テムカ「……えろざえもん…。ノホ〜ホホ!……詩は素晴らしいですよ♪」
ライファ「だから何でオレん時だけ、最初に何か言うんだよっ!」
テムカ「そうそう、『スレイアーツ』と言えば、今大変なことになってますねぇ。」
ライファ「ぐ…コイツは…。」
ファム「大変なこと?」
テムカ「イエ〜ス♪ノホ〜ホホ♪」
ゲキ「どう大変なんだろね?」
フォテ「確かカミュさんもそれらしいことを言ってましたね。」
テムカ「私も〜詳しい〜ことは〜分かりません〜ノホ〜ホホ♪」
ライファ「何だ知らねえのかよ。」
テムカ「……たわし…。ノホ〜ホホ!…役に立てずすみません。」
ライファ「…。」
ナリィ「ライファ…嫌われたのかな?」
ファム「デリカシー無いからね、ライファは。」
ミトス「テムカはこれからどうするの?」
テムカ「ん〜私は〜吟遊〜詩人〜♪風の〜吹くまま〜気の向くまま〜〜はぁ〜〜トゥモロ〜〜♪」
ミトス「そう、それじゃ、また何処かで会えるかもね。」
テムカ「ノホ〜ホホ♪それも〜また運命〜〜はぁ〜〜フュ〜チャ〜〜♪」
ミトス「それじゃ、皆行こっか!」
ファム「はぁ〜い!」
テムカ「もう〜行かれるの〜ですかぁ〜♪」
ミトス「うん。テムカも元気でね。」
テムカ「はぁ〜い〜皆さんも〜お元気で〜〜はぁ〜〜グッバ〜イ〜〜♪」
ライファ「んで、お前のホントの名前は何だ?」
テムカ「……うざ…。ノホ〜ホホ!…私はテムカでぇ〜す♪」
ライファ「い、今ウザって言わなかったか!言ったよな?ウザって言ったよなっ!」
ナリィ「まあまあまあまあ!落ち着きなってライファ!」
ライファ「コイツだきゃ、何かオレに恨みでもあんのかよっ!」
ナリィ「まあまあ!」
ファム「早く来なさいよ〜!何してるのよ〜!」
ナリィ「ほら行くよライファ!」
ライファ「く、くそぉ〜〜次会ったら覚えとけよぉ〜!」
テムカ「ノホ〜ホホ♪ご機嫌よう〜〜はぁ〜〜ハピネ〜ス〜〜♪………様々な宿命に捧げよう…。ノホ〜ホホ♪」
(その頃、『ドン』と『スノア』は)
ドン「ヌハハハハ!まいったまいった!ヌハハハハ!」
スノア「何がまいっただよっ!もう絶対先越されてるじゃんかっ!」
ドン「こうなったら笑うしかないな!ヌハハハハ!」
スノア「ドンがコッチのが近道だからとか言ったからだよっ!全然目的地に着かないじゃんかっ!」
ドン「ヌハハハハ!ドンだけに、自分の意見にドンと構え過ぎたな!ヌハハハハ!」
スノア「しょうもないっつうのっ!」
ドン「ヌハハハハ!」
スノア「笑うなっ!」
ドン「そんなに怒ってばかりだと、可愛い顔が台無しだぞ?ヌハハハハ!」
スノア「な、何言ってんだよっ!」
ドン「ヌハハハハ!」
スノア「ああもうっ!『ソーラレイ遺跡』はどこだぁっ!」
?「それなら、ここから西に真っ直ぐだよ。」
スノア「あ、そうなの?サンキュ…って誰だ!」
?「まぁだ、こんなとこにいたんだ。俺達より先に出たくせに、案外ノロマなんだな。」
スノア「お、お前っ!」
?「よぅ。」
スノア「『カミュ』!」
ドン「…。」
カミュ「言っておくけどな、今更『ソーラレイ遺跡』に行っても、何も無いぜ。」
スノア「何だと!まさかっ!」
カミュ「勝負は俺の勝ちだな。」
スノア「それは『覇王石』!」
ドン「ヌハハハハ!こりゃまいった!先越された!ヌハハハハ!」
カミュ「相変わらずよく笑うオッサンだね。」
スノア「…ま…まだ負けじゃない…。」
カミュ「ん?」
スノア「確かにお前が先に取った。だけど……それを奪えばいいだけのことだ!」
カミュ「…止めなよ。」
スノア「勝負はどっちが先に石を『ヘルユノス』に渡すかだ!だったらここでお前を倒して奪えば!勝負はまだついてないっ!」
カミュ「…本気か?」
スノア「行く…っ!ドン、どけよっ!何で邪魔をっ!」
ドン「カミュ、バジリスクはどうした?」
カミュ「……いないよ。」
ドン「誰かにやられたのか?」
カミュ「まあね。」
スノア「あのオッサンが!だ、誰にっ!」
カミュ「『ヴァンパイア』に…だよ。」
スノア「!」
ドン「…お前は戦ったのか?」
カミュ「悪いけど、俺は負ける戦いはしないんだよ。」
ドン「…それほどか?」
カミュ「アンタも見れば分かるさ。次元が違う。アレは俺達とは全く別の生物だよ。」
スノア「…。」
ドン「…お前は『ヘルユノス』の行動に疑問は持たないのか?」
カミュ「……さあね。俺はただ、借りを返してるだけだ。ヤツの目的なんかに興味は無い。」
ドン「相手は『ヴァンパイア』だぞ?」
カミュ「関係無いね。俺は自由に生きるだけだ。俺の意思でね。」
ドン「…お前らしいな。」
カミュ「んでお前は、スノアの為にわざと、そうしているんだろ?」
スノア「え?」
ドン「…。」
カミュ「さっきも言ったけど、俺は負ける戦いはしない。ドン、アンタが本気になる前に退散させてもらうよ。」
スノア「ち、ちょっと待てよ!さっきのどういう意味だよっ!」
カミュ「スノア、お前と戦うと、厄介なことになるんでね。」
スノア「え?厄介?」
カミュ「お前はともかく、そっちのオッサンは怖いからな。」
ドン「よく言う…『白い牙』のカミュのくせにな…。」
カミュ「その言葉、そっくり返すよ『衝撃王』…。」
スノア「『衝撃王』!……ドンが…?」
カミュ「じゃあな、またいつか会うかもな!」
スノア「あ、待てよっ!カミュッ!……行っちゃった…。くそっ!ドン、一体どういうことだよっ!」
ドン「…。」
スノア「ドンッ!」
ドン「…ああっ!」
スノア「な、何だよ!」
ドン「スノア!」
スノア「な…何…。」
ドン「…ハラ減ったな。」
スノア「は?」
ドン「さて、メシの調達に行くか!」
スノア「おいっ!話そらしてないか?」
ドン「そういう時は笑うんだ!ヌハハハハ!」
スノア「そういう時ってどういう時だよっ!」
ドン「ヌハハハハ!」
スノア「…本当にコイツがあの『衝撃王』か…。」
ドン「…スノア。」
スノア「な、何?」
ドン「腰つった。」
スノア「ドアホッ!」
(ミトス達は)
ミトス「そういや『スレイアーツ』に行くのは初めてだなぁ。」
フォテ「あ、実は僕もなんです。」
ミトス「そうなの?じゃあ皆初めてだね。」
ゲキ「…あ。」
ライファ「ん?どうしたゲキ?」
ゲキ「俺もう行くね。」
皆「?」
ライファ「行くって何処にだ?急に何言ってんだよ。」
ゲキ「……何か言ったっけ?」
ライファ「あのなぁ…。」
ミトス「一体どういうことなのゲキ?」
ゲキ「『ラナ』に戻るんだ。」
ミトス「『ラナ』に!何でなの?」
ゲキ「一応お師さんには、『ソーラレイ遺跡』の状況を掴んだら帰って来いって言われてたから。」
ミトス「そっか、もともとゲキは情報収集に来たんだもんね。」
ライファ「んじゃ帰んのか?」
ファム「寂しくなるわね。」
ゲキ「あ、そういや、ファムも帰って来いって。」
ファム「えぇーーーーーっ!な、何でよぉっ!」
ゲキ「知らない。」
ファム「知らないって…。」
ライファ「まあ、オレはジジイに頼まれてきたが、お前は勝手についてきただけだからな。ジジイのヤツ、怒ってんじゃねえか?」
ファム「え…。」
ミトス「ファム、『ソリュート』に黙って来たの?」
ファム「う…そ…そうだけど…。」
ゲキ「じゃ行くよファム。」
ファム「嫌ぁ〜〜〜っ!ミトス〜〜〜っ!」
フォテ「ファムさん…子供みたいですね。」
ファム「だってだってぇ、ミトスと離れたくないんだも〜〜〜ん!ミトス〜〜〜っ!うえ〜〜〜ん!」
ミトス「…ファム。戻るんだよ。」
ファム「そ、そんなっ!ミ…ミトス……アタシのこと…嫌いになったの?」
ミトス「はは、そんなことあるわけないでしょ。」
ファム「でもでもぉ!」
ミトス「戻って、きちんと『ソリュート』に話してきてごらんよ。『ソリュート』ならきっと分かってくれるから。許可を取って、用事が済んだら、またすぐに来ればいいよ。ね?」
ファム「…うぅ…。」
ミトス「僕達の行き先なら、行く先々の宿の主人に伝えておくからさ。」
ファム「……分かった。」
ミトス「ファムが来てくれるのを楽しみに待ってるからね。」
ファム「うん!用事済ませて、師匠に許可もらったら、すぐに駆け付けるからねっ!」
ミトス「うん。ゲキも、良かったら一緒に来てね。」
ゲキ「もちろん。会いに来るよミトス。」
ファム「じゃあとっとと行くわよゲキ!待っててねぇ!ミトス〜〜〜っ!」
ライファ「ふぅ、台風が去った感じだな。」
ナリィ「そんなこと行ってると、また飛ばされるよ?」
ミトス「あはは!それじゃ、目指すは『中央国・スレイアーツ』!何が起こってるのか、確かめに行くよ!」
次回に続く