また焼かれて伸びた(戦闘力)
おはよう。
今、俺達は「トレトレボ~ノ」という街にいる。
前回のダンジョンのある街だな。
この街の領主は食狂いと呼ばれる「トレボ~ノ卿」で、迷宮の魔物の食材を欲しており、この迷宮は「狂王の試練場」と呼ばれている。
街は栄えており、人も集まっている。
それだけ迷宮からの実入りが良いという事だろう。
まさに色々な意味で美味しいという事らしいが……どう考えても狂ってるのは間違いないな。
とはいえ、わりかし治安もよく、物も集まる此処を拠点として、せめて動けるようになるまでの時間を過ごそうと思うのだ。
金については暇潰しのパズルゲーで、それなりに稼げるので、それなりレベルの宿で暮らすにも困ることはない。
だが、やっておきたい事があるのだ。
前にも言ったが、エリザベスさんの体はボドボドだ―という程でもないが、回復不能なダメージが入っている。
今は問題ないが、イザという時に無理をする場合、不覚を取るかもしれない。
となれば、パワーアップついでに、改造修復も行いたい所だが、今の所のレベルでは扱える物も限られるし、物を手に入れるにも金がチト心もとない。
であれば、安全マージンを取りつつ、迷宮に潜ってみるのも、一つの手かと考えているのだ。
幸い、その準備に掛ける程度であれば、充分な資金はある。
ボッタクリの店で、それなりの準備をした後、迷宮に挑む事にしよう。
「では参りましょう」
「私の価値を、お見せいたしますわ」
仕立て直したメイド衣装に、鎧を纏い、得物を手にした二人組が迷宮に挑む。
しかも、その片方は背中に赤子を背負ったまま。
どう考えても、止めるべきだろうに、登録だけしたらスルーとか、流石に狂ってやがるぜ。
装備としては、エリザベスさんが金属の胸当てにブーツ・ガントレット・小型のバックラー。
リズリットさんが、革鎧一式にダガーと短弓に矢筒。
俺は、短杖を抱えた状態で、おぶり紐で括られている。
暗い階段を降りる。
降りた通路は、思ったよりも広く明るく、あまり迷宮という名に相応しいとも思えなかったが、先の見えない程の長い通路は、人の手を超えた何かを感じさせるに充分だった。
「あうぃ(先へ)」
「はい、タイチ様」
とりあえず、右手に壁を見ながら進んでいくことにした。
情報を聞く限り、地下一階では隠し扉や罠を見ることはないそうだ。
暫く進むと、何やら背の低い影が幾人か、たむろっているのが見えた。
まあ、人では無さそうだし、先手を取ることにする。
行くぜ!! ソーサラーのスキルで覚えた遺失呪文!!
「うあぅい(眠れ)」
人影がバタバタと倒れ伏す。
まあ今の所、一発しか使えないんだけどな。
メイド二人が剣を手に襲いかかり、慌てて身構える眠り残った連中を尻目に、倒れた運の無いのにサヨウナラを告げていく。
近くで見るに、犬頭の連中と緑肌の子鬼の混合らしい。
六人居た内の三人が、この世とサヨナラしちゃったので、残るは三人。
お互いに身構えて仕切り直すが、どう見てもアチラの腰が引けてる。
「うぁう(ザップ)」
電光が闇を裂き、子鬼を打ちのめす。
それほど強い威力では無かったが、剣士の背後から電光が飛んでくるとは思ってなかったらしい、連中の心を折ることは出来たようで、背を向けて逃げ出す子鬼たち。
無論、背中を向けた相手に遠慮は無用で、二人のメイドはアッサリと連中を片付けた。
死体を漁ると、屑なナイフや鎧に小銭が数十枚と、切ない戦果だった。
この後も、幾つかの群れを襲っては、倒していく。
主にメイズ・シージの魔術を使っているせいで、スキルレベルが上がってマナが増えているような気がする。
この世界、魔力の回復は基本的にしっかりと休息するしか無いので、秒単位でポイント回復していく、メイズ・シージのシステムからの魔力と呪文はチートだわな。
あと、其処から流用しての修復もね。
「ふむ、あまり良い稼ぎとはいえませんね」
「様子見なら、こんなものではありませんの?」
まあ、最初はこんなもんか……って? なにやら低周波音というか、風で何かがビビっているような、上!?
見上げると、全長一メートル近いトンボが飛んでた。
クリっと首をかしげ、デカイ複眼が何処を見ているか判らない、気色の悪い表情を作り出す。
そして、いきなりの強襲で、とっさに掲げた左腕の前腕部を、ガッツリと持っていかれた。
「!!!!!?!?!??!?」
よく千切れなかったってくらいの傷だが、あの顎にやられたにしては幸運だったんだろう。
しかし、痛いってレベルじゃねえぞ。
「いやぁあ、タイチ様!?!!!!」
混乱しつつも、振り返って牽制するエリザベスさんの剣幕に、一度は離れたトンボだが、あろうことか口から火を吹きかけてきやがった。
飛び散る火の粉に、三人纏めて炙られる。
そんな中、流れ出る血に意識が落ちそうになるが、メイズ・シージの回復呪文、自然魔術のヒーリング・ハンドで自己回復させる。
皮が張り血が止まり、肉が戻りつつ有るのを確認して、トンボを睨みつけ、リーチマインドで精神力奪取。
昏倒させて撃墜したところを、激怒したエリザベスさんが、頭を踏みにじって絶命させた。
一匹だから何とかなったが、恐ろしい目にあったぜ。
HPがアホみたいに増えてなかったら、即死してたかもしれん。
――ドラゴン種に襲われ、焼かれ、傷を受けつつも反撃。
特典の開放条件が達成されました。
作品名「ドラゴンズ・ハート」のジョブ・スキル体系が解除されました。
体力・スタミナ・武器攻撃力・物理防御力・魔法攻撃力・魔法防御力の各数値が追加されました。
「竜の印を持つ者」の称号を得ました。
ナイツ召喚の権利を得ました。
召喚用ストーンオブジェクトにて、専属ナイツ一名、サポートナイツ二名が召喚可能です。
召喚用ポイントの数値が追加されました。
いや、アレもドラゴン種なのかよ?
それに、その作品に出てくるキャラみたいなレベルの体力持ってる連中、この世界に居るのか?
つか、召喚用ストーンって、あのグルグル模様の怪しい光を放つアレか?
ストーンじゃなくて岩だよな。
この世界にゃないんじゃないか?
色々と突っ込んでると、アナウンスが続いた。
――傷を付けたドラゴン種を討伐。
特典の開放条件が達成されました。
作品名「ドラゴンズ・ハート」
「竜殺し」の称号を得ました。
携帯型召喚用ストーンオブジェクトを得ました。
ポイントから、召喚ポイントへの変換スキルを得ました。
ゴトンと目の前に、もろに岩というべき物が、宙から現れて転がった。
四角い台座部分と、斜めに削られて鏡面になっている部分があり、鏡面部分には赤や青の怪しい光で模様が描かれている。
少なくとも、百キロ超えは間違いなさそうな、コイツを携帯型と言い切るアナウンスは本当に狂ってると思うが……なんとか、メイズ・シージのアイテムボックスには入るか。
とりあえず、宿に帰ってから、色々と考えるようにしよう。
寝ないとレベルアップしないシステムもある事だし。
名前:ジャン・ポール・タイチ
所持金:3432
召喚用ポイント:0(ドラゴンズ・ハート サポートナイツ召喚用)
所持ポイント:103423
総合レベル:1(ドラゴンズ・ハート)
HP :410
スタミナ :540
物理攻撃力:60
物理防御力:60
魔法攻撃力:80
魔法防御力:80
ビショップ レベル3(ソーサリー)
HP=14
属性:悪
AC=9
力(STRENGTH) :8
知恵(INTELLIGENCE) :14
信仰心(PIETY) :13
生命力(VITALITY) :13
素早さ(AGILITY) :10
運(LUCK) :9
3/0/0/0/0/0/0 0/0/0/0/0/0/0
総合レベル3(メイズ・シージ)
強靭 3+4 ライフへ x20
敏捷 3+4 ライフへ x15 マナへ x5
知力 3+18 マナへ x20
ライフ 245/245
マナ 455/455
術士レベル2(メイデン・コンセプト)
魔力:10/10
体力:20/20
疲労:55%/100%
スキル:基本
無限財布
両替
スキル:パズルゲー
脳内遊戯
ポイント変換
スキル:(ドラゴンズ・ハート)
召喚用ポイント変換
以下、ジョブレベルごとにスキル及びアビリティが開放されます。
戦士レベル:0
闘士レベル:0
斥候レベル:0
弓兵レベル:0
術士レベル:1 通常攻撃の魔力弾を放ちます。
導師レベル:0
影兵レベル:0
術騎士レベル:0
魔弓兵レベル:0
スキル:(ソーサリー)
ディスペル:(レベル依存)
鑑定 :(レベル依存)
魔術師呪文:1レベル
僧侶呪文 :0レベル
スキル:(メイズ・シージ)
近接攻撃:1(0) 強靭度へ レベルx3 敏捷度へ レベルx1
遠隔攻撃:1(0) 敏捷度へ レベルx3 強靭度へ レベルx1
戦闘魔術:3(55) 知性へ レベルx3
自然魔術:3(30) 知性へ レベルx3
スキル:(メイデン・コンセプト)
機械補修(2) 魔力2ポイント レベル分のダメージを若干回復させる。
魔力注入(2) 魔力3ポイント レベル分の魔力を注入する。
錬金技術(1) 魔力5ポイント 難易度レベルの部品の改造交換が可能。
装備:木の枝 近接攻撃力0(+60) 魔法攻撃力1(+80)(スキル消費魔力減少1)
:布の服 防御力1(+60) 魔法防御力0(+80)(AC-1)
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トンボは、ドラゴン・フライだから、竜扱いでブレス吐いても、OKなんだぜっていうネタは、最近の人は判るんだろうか?