表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

色々と伸びた(スキルと特典と戦闘力と人数)

 おはよう。

 

 前回のあらすじ。

 ゾー・キャス・○ーの力の石というのは「賢者の石」だったんだよ!! なんだってー!!


 あれから、装備的な物を作ってみたものの、魔力抜き対策としては微妙過ぎる事が判明。

 迷宮マスターのルーンの仕様的に、石の作成上限の魔力保持量が70チョイという事は変えられず、前回遭遇時の魔力規模から考えて、リンデルロットの魔力容量の100前後でも、数十秒というレベルで削りきられるのが見えてるだけに、なかなか辛いものがある。

 複数装備は可能のようで、ネックレスと指輪くらいで200キープ程度はできるが、戦闘するにはかなりしんどい。

 まあ、どうしても戦闘しなけりゃならん理由はないので、いざという時の逃走時間確保と考えれば、悪い成果ではないか。


 それから数日、流石に迷宮の完全閉鎖には、色々と問題が吹き出し、地下二階層までは暫定で開放されることになった。

 まあ、二階層だけでも、それなりに経験値は稼げるし、何も稼げないよりはマシなので、良いニュースではある。

 という事で、二階層まで降りて、あまりの人の多さに絶望……うわぁ。

 流石に生活掛かってる人が殺到するのは判るが、これはない。

 食材なんて何処にもなかった。

 迷宮が食物連鎖的な生態系をしてるのかどうかしらないが、これは別の意味で迷宮が滅ぶんじゃないだろうか?

 まあ、降りてきたんだし、ついでということで、地下三階層への階段を覗きに行く……ふむ。

 なんか、一応は兵士が監視してるんだな。

 と思ったら、早々に袖の下を渡して、階段を通過する連中が居ました。

 流石は生活掛かってるだけ有るな、後は貴族のグルメ魂あたりの後押しもあるかもしれんが、中々に手段を選んでられない一般多数って奴が一番侮れねぇ。


「いんぃいえぅ(インビジブル)」


 階段前を姿を消して通り抜けた。

 さて、サクサク行こうか。


 地下三階で動きまわってる、雄型の戦闘人形を狩りまくる。

 まあ、実験用の材料確保だもんで、あんまり金儲けにはならんが。

 で、数日迷宮が封印されてたせいか、魔力切れで止まってる奴も居て、楽に確保できる。

 ごく偶に、女性型の人形も居てビクッとなるが、魔力抜いて確保。

 つか、この数日ペースで動かなくなる筈の人形が、常に一定数徘徊してるっていうのは、どれだけのグルメ貴族が出入りしつつ、人形を置き捨ててるんだろうか、ちょっと怖くなった。


 さて、人形をキープしつつ、地下四階へ。

 特に何もなく、肉の類を牛と猪からゲット。

 足が遅くなって、身動き厳しくなるほど、荷物が一杯になったんで、迷宮を出る事にした。

 途中で他の探索者連中と出会ったが、基本的に無言で通り過ぎるのが礼儀っぽい感じで、多くて一言二言の情報交換だけ。

 その中の情報では、地下四階迄で、例の人形と出会った連中は居ないらしい。

 それと、こないだの連中は、帰って来ていないそうだ。




 地上で食材を買取して貰う際、何気にチラッと様子を伺われたが、何も言われなかった所を見ると、グルメ貴族の圧力かなんかがプレッシャーになってんのかね?

 違法でも必要悪とでも思われてるのかもしれない。

 というか、買取額が何時もの二倍近いので、色々とグルメにもストレス溜まってるんだろうな。


 多少身軽になって家に戻ると、今回ゲットしてきた人形を転がす。

 雄型の最下級フレームがコア付き完品五体、バラバラのフレーム材が二体分くらい、屑コア若干分、侍女型の最下級フレームがコア付き完品二体、フレーム破損でコア有りが一体。

 むう、部屋が流石に狭い……そして、マネキンじみた人型やら、目の死んでるメイドさんが床に放置とか犯罪臭がハンパない。

 とりあえず、バラバラのフレーム材を「賢者の石(笑」を使ってランク上げ。

 石は、暇潰しに作ってたのが、数十個から有るので、後は魔力の回復する度に合成しまくる。

 成功率が何に関連してるのか、傾向を取って見てみると、スキルレベルと元の素材ランクとの差で基本的難易度が決まって、込めてある魔力量が多いとプラス修正っぽいな。

 大体、スキルレベル内だと90%くらいで、レベルを超えると、いきなり20%くらいまで落ちる。

 あと、最下級フレームに70前後の魔力篭ってるやつ合成すると、たまに二段階上がったりするので、クリティカルだか、大成功判定もあるのかもしれない。

 なので、常に多めに突っ込んでいく。

 最初は三段階目までしか上げられなかったが、過剰盛りしていくと四段階目に突破した。

 これはリズリットさんのフレームレベルなので、結構なもんである。

 性能的には、リンデルロットに積んでるフレームとほぼ同等スペックで、重量は大分軽い。

 そんな感じで作業して、バラのフレーム材がなくなると、屑コアをアップグレード。

 なんとかスキルレベルが上ったので、再びフレーム材にチャレンジ。

 数に物を言わせての、五段階目へのアップグレードが可能になったので、再び全部をランク上げ。

 高難易度を無理くり成功をさせると、経験値的にはかなり入るのか、スキルがまた上がった。

 五段階目になると、耐久やら剛性やらが、更に一段伸びる。

 ここまで来ると完全に戦闘用で、エリザベスさんの詰んでいるフレームと同じレベルである。

 ただ重量が多少かさんでくるのと、それに合わせたコア出力での秘匿性が落ちる為、斥候タイプのリンデルロットさんは、態と使用していないっぽい。

 さて、更にレベル上げは続く。

 完品の雄型戦闘人形を三段階まで上げ、コアも上げて仕上げる……これは売り飛ばす用かな。

 そんで、メイドさんだが……合計三体か、修理にかかるのはともかく、この家だと置いておくにも狭い。

 かといって、売り飛ばすのも心情的になぁ。

 この家、地下室でもあればなぁ。

 といった途端に、レインさん達を喚んだ、例の「グルグル模様が怪しく光る」召喚岩が、床を軋ませて沈んだ。

 そして、床に穴を開けて消えた。


「うぉおい」


 リズリットさんが床穴を覗きこむと、階段が在って地下に続いていた。

 マジで地下室かよ……と思ったら、なんか隠し礼拝堂っぽいというか、カタコンベというか、一種迷宮じみた雰囲気が醸し出されている。

 どうも、何か隠していたものの上に、現在の家を建てていたようだ。

 リズリットさんが中を一通り探索すると、横幅八メートルx高さ二.五メートルx奥行き十五メートルの広さで、上の家とは階段一本で繋がっている様子。

 パーティー全員、一応武器持って、俺はリンデルロットに抱いて貰って、埃っぽい中を降りていく。

 ……なんか嫌な気配が。

 途端にポタリと何かが俺の頬を濡らす、そしてチリリと刺激。

 手で拭うと、布の焦げる匂いと、ズルリと何かが滑るような手応え。

 ん!? かなり遅れて、灼けるような痛み。

 じっと手を見る。

 ただれた手の甲の皮膚と、何処からか着いてきた剥がれた皮膚。

 うわぁ、考えたくねぇ。

 何やら思い付いてしまう前に回復呪文を「きゃあああ」という悲鳴。

 それに気付いて皆が此方に注意を向ける。

 こら、リンデルロット、揺らすなー!!

 ああ、痛みに気づいちゃったよ。

 いや、回復は既に立ち上がっている、ジクジクしてるのが、一気に……回復しねー!!

 まさか毒か!? いや、この感じは、天井を見る……無機質な複眼と目が合う、黒い甲冑に身を包んで、ギチギチと顎を笑いのように開閉するそれは。

 そして、其処からタラーリと垂れてくるソレは……「あぅあーーー!!(酸だ~!!)」

 思わず抜き打ちで、メイズ・シージの自然魔法で小雷撃をZAP・ZAP・ZAP!!

 絶命し、ポロッと落ちてきた蟻を見下ろしながら、ACID状態の回復って、えーと。

 頭が回っていない所で、テンデルステンちゃんが、キュアの白い魔力の球体を飛ばしてきてくれた。

 なんとか状態異常が回復し、自分の肉がチリチリ灼ける臭いが収まった。

 そこから再度の回復掛けて、何とかかんとか……跡が残らなくて良かった。

 顔の皮がズルって削げてたんだもんよ、痛てぇよ!!

 ホッとしたら、なんか久々のシステムアナウンスが。

 

――中立の地下エリアを制圧・占拠。 特典が開放されました。

  作品名「迷宮キーパー」のコマンドとパラメーターが開放されました。


――蟻型の生物より、酸属性の遠距離攻撃ダメージ、及び「酸だ~!!」の音声。 特典が開放されました。

  作品名「地球防衛隊」のアーマー取得による、外部HP取得能力が開放されました。


 えー……あ、魔物の召喚が増えてたり、迷宮俯瞰能力が……。

 あと、何でもいいから防具を取得して消費すると、外付けのHPが3ポイント増えるらしい。

 いきなり二つ開放はいいんだけど、相変わらず条件が難易度高すぎる!!


 まあいい「いんぅおぅあん(インプ召喚)」

 影の中から、這い出してくる黒い矮小な影。

 なんか、ツルハシ背負ってるんだけど、どう見ても可愛くない。

 卑屈そうな目で見上げてきて「いじめる?」みたいな雰囲気を発しているが、思わず謎の手でビシビシっとはたいてしまいそうになる。

 そんな俺の視線にビビったのか、インプが地下室の壁に向かってカリコリと作業を始めた。

 そして適当だった壁や天井が、迷宮のような石壁に変わっていく。

 迷宮キーパーのインプは、制圧したエリアの整地や強化をしてくれるのだ。

 穴掘りもできるが、それすると厄介事が増えそうなので、今回は地下室を整えるだけにしておく。


 整えられた地下室に、寝台買ってきて並べりゃいいか……敷物で雑魚寝状態だと、犯罪臭が秘密の怪しい謎宗教儀式にクラスチェンジしちゃうからな。


 早速道具屋で照明だの何だの、家具屋で寝台だのを買ってきて、地下室に並べて十人程度が寝るだけのスペースと、作業スペース兼物置に。

 これで死体置場じゃなくて野戦病院程度には改善できたか。

 動かない人形とか、どう見ても死体だからなぁ。


 で、侍女人形だが、確保したのが地下三階なだけあって、それ程に格の高いもんじゃなかった。

 まあ、戦闘用がワラワラ湧いてるとこも怖いんだが。

 無事な二体は、普通の侍女のスキルがプリセットされてるのが一体、もう一体が珍しい事に、某王家の人が連れてたのと同じく、乳母役のスキルプリセットが一体。

 とはいえ、護衛戦闘とかがオマケで付いてるのは、王家の人形だけみたいで、あくまでも子守と教育係っぽい感じだ。

 侍女さんの方は、茶髪のショートボブな可愛い系。

 乳母さんのほうは、メガネ掛けた黒髪をアップにした地味目の才女風。

 ただ、スタイルは地味なんてもんじゃなかったが……。


 で、もう一体のダメージ有りの方だが、こっちもなんかチョット感じが違う。

 メイド服というよりは、夜のお店の制服っぽいロングドレス装備で、泣き黒子が無駄に色っぽい感じ。

 コアの性格やスキル設定で、枕事とか持ってるのはあれか?

 メイドさんじゃなくて、妾さん的な感じなんでしょうか……色々作る側も趣味があるんだねえ。

 本当にこの世界、女性型人形の人権というか色々と酷いなぁ……値段的にも、使い捨て上等な使い方にも。

 正味の女性的にはその辺どうなんだろうか?

 もしかして、あの公女殿下ばりに押し並べて完璧超人ばっかりで、女尊男卑が行くとこまで行き着いて、男連中が夢を追いかけて人形作ったとかか?

 いや、考え過ぎか。

 貧乏してるところじゃ、全然そんな事は関係無かったしな。

 単純に、そういう方面の技術が超進化しちゃって、普及しちゃってるだけだろう。


 とりあえず、バラフレームの五段階の材料で二体組み上げて、屑コアで増強用サブコアも作って、リズリットさんとリンデルロットをバージョン上げ。

 魔力静粛性だの魔術的秘匿性だのが、色々と駄目に成ってるらしいが、戦闘力はかなり上がってるリズリットさん。

 スタイル的戦闘力も何故か、激増しているのはなんでだ?

 リンデルロットも何気に破壊力が上がってる感じだし。


 とにかく浮いた、三段階目のと四段階目のフレームを五段まで上げる。

 それを拾った侍女さんと乳母さんにフレーム増強。

 コア出力は足らんはずなので、コアも増強。

 

 やはり、何故か容姿が変わる……カワイイ系のティーンズだった筈の侍女さんが、隣の綺麗なお姉さん風にクラスチェンジ、乳母さんの才女風お姉さんが、なんとなく女教師風才女に変わった……個性というか、基本は変わってないんだけど、なんとなく年齢は上がる傾向にあるようだ。

 なんだろう? これってなんとなく好みに影響されるのかねぇ。


 そして、また余った最初期フレームを五段まで上げ、お妾さん? を換装。

 此処で、スキルレベルが上ったので、残りの一体を余った石をガッツリ投入してレベル上げる。

 流石に、石の魔力保持量の限界あたりから、補正も効きにくくなってきたらしく、ギリギリで何とか一体分を六段階目に出来た。

 これを、エリザベスさんに換装、そしてコア増設。

 そこで余った、疲労してる部分のあるエリザベスさんが使っていたフレームと、お妾さんの一部足らずの最下級フレームを合わせ、五段階の完品を一体作って、予備で保存しておく事にした。


 さて、契約契約。

 魔力を注入し、契約を結ぶ。

 最初に侍女さんで、名前はセシル。


「捨てないで、捨てないで、置いていかないで、なんでもします……」


 起こした瞬間から、トラウマ全開で死んだ目をしてブツブツ呟くのが、かなり怖かった。


 ついで乳母さんで、名前がエマ。

 此方も起こした瞬間。


「あ、坊や何処? 坊や……私の大切な……」


 って、視線を泳がせる感じで、何かを探している様子のループが怖い。


 最後に妾さんだが、此方は最後に戦闘で放り込まれて、否応なく捨てられたのを自覚しているらしく。


「ここは!? そう、私は拾われたのね。 物好きが居るものね……好きにするといいわ」


 なんか、凄いダウナーだったが、正気は正気だったようだ。

 名前はアリアンロッド。


 正直、手を掛けてなかったら、スルーしたいレベルの病んでる方達だったが、可哀想っちゃ可哀想なので、名前を呼びつつ、契約をしてやる時に「いい子にしてれば捨てたりしない」「僕はここにいるよ」的な意思を伝えてやると、落ち着いてくれたようだった。

 アリアンロッドは、用事があるなら言ってと、素っ気なかったが契約には同意してくれた。


 なんとなく、色々と不安になる感じのメンバー増強だった。


 6537/9680

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ