表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
常念穂高は松本城を爆破する  作者: 楠本恵士
やっぱり、松本城を爆破するパート2
20/20

第二十話・梓、おまえには松本市出身のプロレスラーになってもらう

 常念 穂高が、教室で安曇野 梓に真顔で言った。

「安全第一、台本重視、入場無料、雨天検討」

「なんだそれ?」


「知らないのか……長野県の覆面県議会議員が代表を務める『お笑い社会人プロレスごっこ〝信州プロレス〟』のモットーだ……アップル! アップル!」


 梓は南信の親戚が送ってきた、座光寺饅頭(まんじゅう)を一個、穂高に渡して聞き返す。

「だから、知らないって……今度はどんな、無茶(ムチャ)振りを持ってきた」


「よくぞ、聞いてくれた……梓、おまえプロレスラーになれ」

「はぁぁぁ?」

 あまりにも突拍子な、穂高の言葉に梓の目は点目になる。


 穂高はいつものように、勝手に話しを進める。

「信州プロレスには、いろいろなレスラーが所属しているが……松本的な強いイメージのレスラーがオレが知る限りは、あまり見当たらない…──松本出身のレスラーは数名所属しているが……だから、梓を松本イメージのレスラーに仕立てあげようと」


 穂高の言葉を、全面否定する安曇野 梓。

「いや、いや、いや……オレ、プロレスできないし」

「大丈夫だ……安全第一、台本重視だから」

「穂高、おまえプロレス、ナメているだろう! オレを殺す気か!」


 穂高と梓が、そんな話しをしていると。平出 巴が、勝手に穂高と梓の教室に入ってきた。

「なに話しているの?」

 穂高が梓を松本をイメージした、プロレスラーに仕立て上がると

伝えると、巴は手を叩いて笑った。

「あはははっ、それ最高! リングデビューしたら応援するか、頑張って」

 梓が手を横に振って否定する。


「勝手に人の人生を決めるな……オレはやらないよ」

「なんで、面白いのに」

「面白くてもなんでも、やらない」


 腕組みをして考えていた穂高が、いつ描いたのかプロレスラーのラフ画を梓に見せる。

「だいたいの、コンセプトはこんな感じで……松本城をモチーフにした、覆面レスラー『松本・ジョー』で……松本城を被って登場」

 レスラーパンツ姿のイラストを見て、梓はプルプルと震える。


「こんな恥ずかしい格好ができるか!」

「その発言は、プロレスラーに対する暴言だぞ……大丈夫だ、信号が無い横断歩道でも、この格好で手を挙げれば、長野県なら車は止まってくれる」

「どこだって、こんな格好をしているヤツが、横断歩道にいたら止まるわい!」

「必殺技は〝梓二号往復特急アタック〟が決まっている」

「やらないって、言っているだろう!」


 スマホで信州プロレスのレスラーを検索していた、巴がガッツポーズをする。

「へぇ~、東信の小布施(おぶせ)にも、キツネ祭りがあるんだ……知らなかった、あたしこの『()ジロー』って選手の推しになる……キツネの眷属の塩尻市民として親しみを感じる、お稲荷さんコンコン、コーン」

 巴は手を影絵のキツネの形にすると「コーン、コーン」と憑かれたように鳴いた。


 それを見ていた梓は、帆高に聞こえる声で。

「オレは絶対に、やらないからな」

 と、呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ