↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
常念穂高は松本城を爆破する  作者: 楠本恵士
常念穂高は松本市を通年仮装祭り都市に変える
PR
11/20

第十一話・常念穂高は松本城を爆破する

「梓、次に松本市長に送る要望をいろいろと考えてみたんだが……どれがいいと思う? 金銭的な部分は無視して」


 そう言って、梓の家にやって来た穂高は、テーブルの上に自筆のカードを並べた。

 部屋のテーブルの上にタロットカードのように並べられた、要望カードに梓の頬は引き攣る。

「さあ、選べ」


 並べられたカードに書かれていたのは、梓から見て、どーでもいい妄想要望ばかりだった。

 交通インフラ関連の要望だと。

 『松本駅にリニア・モーターを開通させる』

『ついでに、路面電車復活!』

 『美ヶ原に下から、繋がるロープウェイを作る』

 『松本空港を発着する旅客機に、アルピコグループのラッピング機を作る』

 と、言う荒唐無稽に近いモノだった。

 穂高が一枚のカードを指差して言った。

「この『美ヶ原に下から繋がるロープウェイを作る』というのはオレは面白そうなので、賛成だが景観の方面からは反対の意見も出そうだな……次にこの」


 穂高は『松本駅にリニア・モーターを開通させる』と書かれたカードを指差す。

「ぶっちゃけ、長野市に対する競争心だ……長野市は、市内に地下鉄造ったり……新幹線が駅に発着するからな……それなら、松本はリニアー・モーターで勝負だ!」


 松本市と長野市──どことなく、両市は競うあって発展してきた感がある。


「最後の『松本空港を発着する旅客機に、アルピコグループのラッピング機を作る』ってのは、個人的な願望だ……想像しただけでワクワクしないか、あのアルピコのラッピング旅客機が空を飛ぶんだぞ!」


 アルピコというのは、長野県を中心に活躍するバスやタクシーや鉄道の交通系企業で、ある地域密着型スーパーの店舗経営も手がけて地域を支えている。

 信州人にとっては、アルピコは無くてはならない神のような存在だった。


「アルピコさまには、昔からお世話になっているからな……どこかで恩返しをしたいとオレは日頃から考えている、松本駅の広場にアノ変な像をとっぱらかって、アルピコの社長や会長像を建てたいくらいだ」


 ここで、穂高が地域あるあるを、梓にぶつける。

「言っておくが……松本市に本社がある『デリシア』は、他県では知名度が薄いからな……信州二大巨頭のスーパーマーケットでデリシアと並ぶ、小諸市に本社がある『ツルヤ』は他県にも店舗を広げているかは知らん……検索して調べろ」

 デリシアが全国区展開していないと聞かされて、ショックを受ける梓。


「そんな……ずっとデリシアは、全国チェーンだと思っていたのに……デリシアで買い物をしてきた、オレの半生はなんだったんだ」

「まぁ、そんなにしょげるな……コレでも食べて元気だせ」

 そう言って穂高は、諏訪郡原村に本社がある、タコ焼き屋から買ってきたタイ焼きを梓に差し出して。

 梓は半分放心状態で、頭から竹輪(ちくわ)が大砲のように突き出した、タイ焼きを食べた。


 梓がタイ焼きを食べている間に、次のカードを出した。

「これは、施設や建造物の要望カードだ」


 『松本が援助してアニメ制作会社を設立させる』

 『松本に巨大アミューズメント遊園地を招致する』

 『長野県に海から水路を引いて、長野の海と海水浴場をリアルに作る』


 完全に目が横線になる梓。

 「はぁ?」

 穂高が説明する。

「山岳県にも、娯楽を増やそうと思ってな……巨大アミューズメント遊園地を招致するなら、松本近辺にいざとなったら山を切り崩して土地を作ればいい、山が無くならない程度に」

 穂高が松本にアニメ会社設立のカードと、海水浴のカードを指し示す。

「『松本アニメ』なんて名称のアニメ会社があってもいいんじゃないか……長野の海は県民総意の願いだ、諏訪湖で海産物が獲れて、サーフィンをする日焼けした信州ボーイが誕生するぞ」


 穂高が。

「どの要望を松本市長に送ったらいい?」

 の、質問に半ば諦め気味の梓は……もう、勝手にやってくれ、とカードを放り投げた。


 梓の態度に少し、ヤケになった穂高がまた脈絡がないコトを口走る。

「今度、金曜日の夕方四時に、松本駅近くのFM長野の放送局に二人で見学に行くぞ! 道側のガラス張りに、顔を近づければ放送しているところを覗ける……金曜日がダメなら平日の朝でもいいぞ、伊織さんに会える」

 梓が冷めた目で言った。

「勝手に一人で行って、ガラスに変顔を密着させてくれ……オレは恥を晒すのはイヤだ」

「寅年生まれの県民のマドンナ……伊織さんのどこが恥だ! 失礼なコトを言うな!」

「恥は、そこじゃない」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。