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 その後、小麦の話を早々にまとめた二人は、即行で帳簿と各種の書類確認に取り掛かった。

 全部を疑ってかかり、購入履歴にあるものが実物としてちゃんと存在しているのかチェックした所、実物が無い物が次々見つかった。

 

 使用人達への衣服やタオル、シーツなど、個人の部屋へ入らなければならないので確認していなかったのだが、それらの支給品がこの三年ほど支給されていないのに、経費としてあげられ、数百万ディールが横領されていた事が発覚した。

 さらに、フェリシテの指摘で食材費も削られていた事が分かった。

 本来、朝晩パンが買えるほどの食費を、パンの代わりにイモやソバにして浮かし、食事量も減らして、毎月費用を少しずつちょろまかしていたらしい。それも料理人と執事の共謀で。


 徹底的に調べるためにウォルターに協力してもらい、使用人に与えられた私室に入らせてもらったのだが、狭い部屋に置かれたベッドのシーツや毛布はくたびれて擦り切れ、まくらはぺちゃんこ、下着や服は継ぎをあてて穴を繕っているという具合だった。

 服は、何とか見れる様に身繕いていたから、気付かれなかったらしい。

 よくこれで冬を乗り切っていたなと使用人達に同情するほど酷い有様だった。


 他にも屋敷の修繕や維持費も虚偽申告が見つかり、毎年行われる査察の穴をついた犯行が次々明るみに出た。

 執事と共謀した料理人らを締め上げたが、お金はすでに使い込んで手元に無いと言う。

 執事の部屋は査察で確認されていたのだが、改めて部屋をひっくり返して捜したところ、やはり隠している金品などは無く、だが、私用の手紙から、とある高級娼館の女性に貢いでいた事が分かった。

 料理人のほうはカード博打にハマっており、そちらで大金をスッていて、借金の穴埋めにしていたそうで、どちらも返金が困難だという事も判明した。


 被害額は分かっただけで400万ディールにのぼり、執事と料理人らはヒューイットが呼んだ警ら隊に身柄を拘束されたのだったーー


 *


 「つ、疲れた……」


 怒涛の一日が終わり、疲労困憊でベッドに倒れ込んだフェリシテはふかふかの枕に顔をうずめた。

 大量の領収書の確認と帳簿と購入品の在庫合わせでクタクタである。

 しかも、料理人ふたりがどちらも警ら隊に捕まったため、誰が料理を作るかで使用人たちが厨房でもめたりと混乱して大変だった。

 減給された使用人の中には辞めると荷造りを始めた者もおり、明日はがらりと人が減るだろうと予測していた。


 ーーヒューイットは眠れただろうか?


 領地の問題で忙しい中、バラを丸ハゲにされたと報告を受けて馬を飛ばしてフェリシテを怒りに来たら、それが嘘で、使用人達が仕事をサボっていて、ついでに横領が発覚したために帳簿と在庫を確認する棚卸しを行う事になってーーなどと、ハードモード過ぎやしないだろうか?


 使用人達への聞き取りなどを終えたのが、深夜零時近く。

 フェリシテの隣の空き部屋へふらふらと入っていったが、明日はとんぼ返りで本邸へ戻らなければならないらしい。


 真面目なひとなんだよなあ……とフェリシテは思った。

 結婚当日の事を謝ってくれたが、フェリシテはヒューイットを恨んではいない。

 外見は華やかそうだが、実直で、努力している人で、人の話を良く聞き、領民に慕われている。

 なのに、エルヴィラに裏切られ、自分なんかを嫁にとらされるとは不憫なことこの上ない。


 ーー次は、良いお嫁さんが来ると良いねーーーー


 ウトウトしながら、フェリシテはヒューイットに似合う美人なお嫁さんが来てくれることを祈りながら眠りについた。




 

 

誤字があり、訂正しました。ご報告ありがとうございます!感謝*

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