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「その一方で、ハワードは職場におらず、裏庭の木立の間で台所女中と……その、ちょっとここでは言えない事をしていた」


 ヒューイットがポッと赤面して、少々気まずそうに咳払いする。


 な、何やってるのよ、ハワード……‼

 というか、ダイアナが好きなんじゃなかったの⁈

 台所女中って誰なのーー⁈


 フェリシテは、純情な反応をするヒューイットを見て動揺した。

 

「あっ、そうそう、こちらが例のローズウォーターです。バラ園のダマスクローズで作らせていただきました。お礼代わりにお納めください」


 話題を変えるためにフェリシテが棚に置いていたローズウォーターの瓶を差し出すと、ヒューイットは礼を言って受け取った。


「……これを君が作ったのか……。どうやら、私の妻は知らない事だらけの様だ。ーーおととい、フェアファックスの本邸へローゼル商会が訪ねて来た。私が不在だったため、書類と手紙を置いていったんだが、書類には、今後取引したい小麦量と、需要拡大を見越した希望増産量が記入されていて、手紙には小麦取引のための謁見のお願いがあった。で?これはどういう事だ?」

「ど、どうって言いますと?」


 ローズウォーターの瓶をもて遊びながら、ヒューイットがじっとフェリシテを見つめて来る。


「手紙には、こうも書いてあった。『奥様の調査が切っ掛けで取引させていただきたく、突然申し出てしまいました』と。この、調査とは何だ?一体、何を調査していたんだ?」


 *


 ヒューイットはその日、別荘に泊まる事になった。

 新婚でお泊り……という甘い響きとは無縁の、徹夜の帳簿確認とガサ入れである。

 みっちり明日までかけてフェリシテと小麦の話をつめ、さらには帳簿に不審点があった場合、強制捜査(?)に踏み切る構えだと言うので、屋敷内は緊迫した異様な雰囲気に包まれた。


 


 

 



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