111
収穫物の作業をしていると言う人々の事も気になったが、そろそろ馬車に戻らないと御者達がお腹を空かせているだろう。
お金を払おうとしたがお爺さんに固辞されてしまったので、フェリシテ達は深々と頭を下げて礼を言い、作ってもらった料理を抱えてお爺さんの家を後にした。
「取り敢えず明日の昼には、宿屋のあるそこそこ大きい町に着く様で一安心ですね。明日は食料を買い込まないと」
エリオットが真剣な顔でぶつぶつ呟く。
お爺さんは、今晩泊まっていくように誘ってくれたが、さすがに6人で押しかけるのはご迷惑だろうと遠慮させてもらった。
争いが続いていたゲインズ領の住人は気の荒い人間が多いのではないかと言う懸念はすっかり吹っ飛び、牛や羊がのどかに草を食み、親切な住民のいる領地だとイメージが一新する。
その日はお爺さんに貰った料理を有難くいただきながら徹夜で馬車を走らせ、一行は翌日の朝に、無事隣町の宿屋に辿り着いた。
*
「これは何という野菜ですか?」
「これはメロンだよ。こっちはザクロ、これはポポーだ」
一晩中働いた御者達を宿で休ませ、馬車内でうたた寝できたフェリシテとエリオット、ロビンの3人は眠い目をこすりながら市場へやって来た。
とにかく食料を確保しておかないと、と使命感を燃やしつつ屋台を覗く。
場所は違えど市場の様子はどこもそう変わらないと思っていたが、ラザフォードやノアゼット領では見た事の無い野菜や果物がちらほら見受けられ、思わずフェリシテとエリオットは若い男性の店員に食い気味に質問を浴びせていた。
「メロン⁈メロンとは南方の国から輸入するものではありませんか?」
王宮の夜会でカットされたメロンを見た事があったエリオットが「高級品ではないか⁈」と戦慄すると、店員はもったいぶった様子で重々しく頷いた。
「そうなんだよ、領主様が珍しい野菜や果物のマニアでな。外国から取り寄せた植物を次々品種改良してゲインズ領でも育てられるよう研究して下さったんだ」
それは凄い。
さすがシンクレア博士のご友人である。領民にマニアと言い切られているのも凄い。
フェリシテは領主のエルデン様にどんどん興味が湧いてくるのを感じた。
シンクレア博士ほどの方は稀だろうが、同じくらいマッドサイエンティストな匂いがする。
「何とこのメロン、余りの旨さにゲインズ領で大人気!だもんでちょっとばかし高級品だぜ。何と、一玉300ディールだ……‼」
ドヤ顔の店員が威勢よく言い放ち、勢いに釣られたフェリシテとエリオットは思わず、おお!と驚きの声を上げた。
「それは凄い――…………えっ、300ディール???」
「さんびゃ…………さんびゃくっ⁈」
300ディールと言えば、ラザフォード領ではニンジン5本、キャベツ2玉と同じ額である。
食糧が輸入品頼みのラザフォードでは野菜価格が高めなのだが、高級食材のメロンがキャベツ2玉と同じ金額とは庶民でも手が出せるお手頃価格過ぎやしないだろうか?
ハッとしてよく見ると、ビーツが一個30ディール、ニンジン6本やジャガイモひと山が150ディールと値段がついていて愕然とする。
「ちょ、何です、この価格は……⁈」
雷に打たれた様なショックを受け、よろめくエリオットの背中をロビンが慌てて支えた。
「いやー、今は収穫期だからちょっと安くて、お買い得だよ!」
ニカッ、と漢らしい笑みを浮かべた店員に、エリオットが「ちょっとですって……⁉」と立ち直って上体を起こし、目の色を変える。
「失礼、こちらの屋台買い占めても宜しいで――ふぐっ」
我を忘れて格安野菜を買い占めようとしたエリオットの口を塞ぎ、フェリシテは「すみません。えーと、取り敢えずメロンとザクロ、ポポーと言う果物を3個ずつ下さい」と何食わぬ顔で注文したのだった。
*ご覧いただき有難うございます。
度々申し訳ありません、こちら後ほど加筆させて頂きます<(_ _)>汗
>申し訳ありません。26日の投稿ですが、都合により後日投稿させていただきます。
年末の繁忙期で作者が力尽きました(ノД`)・゜・。
そんな作者のBGMは いれいすIf 様の社畜アイドル と一旦ステイTONIGHT社畜替歌
でございます。作者に共感した読者様にオススメ致します!
>1月2日に少々加筆いたしました……!




