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怪物

 泣き顔の仮面をつけた男がデザのほうに忍びよる。

トールズ「くっくっく」

カルナ「デザ、そいつから離れて!!」

男「なんであんなにあわてるんだとおもう、デザ」

デザ「!?」

カルナ「デザ君、これを!!」

 小刀がデザの方にころがってくる。

カルナ「それにその仮面のやつはっ……!!」

 その瞬間、突風が二人の間にふいて、カルナの前に魔女グルトが立ちはだかる。

グルト「お前の相手は私だよー!」

カルナ「チッ!!」


 デザをみてニヤリと笑う泣き顔の面。トールズは小刀をひろうために腰をおろした。

「こいよ、俺はトールズだ、デザ、WIWで姿も声も変えられたが、まぎれもないトールズだ、今や魔女の力をかりて、誰よりも強くなった、あのいじめられっ子、なんていったかな、そう、デニーだっけ、あいつも“やっちまった”よ」

 泣き顔の面が得意げに両手を広げて、トールズを煽る。その瞬間、デザは暗い眼をして、ぽつりとつぶやいた。

「同じだ……」

「は?」

 泣き顔の面が、あっけにとられたように、トールズのほうをみつめて訪ねた。

「お前は“同じ”かつてお前をいじめようとした人間やお前のおやじと、いじめをする卑怯ものと“同じ”あのうらやましかったトールズじゃない」

「……それで」

 仮面の男が何かをいいかけたので、デザは腰をあげ、彼を注視した。

「それで何だっていうんだ、お前は何かしてくれたのかよ、誰かがいじめられているとき、誰かがひどい目にあったとき、お前はその場から逃げた、なぜだ?お前は言い訳をして逃げてきた、お前は気を使っていたんだ、友情が崩れないように、そのためなら、誰かを苦しめても構わないとそう思っていたんだ」

「だからって、弱いものいじめまで許容してねえ」

さらにまくしたてるように、親指を胸につきたてて、泣き顔の仮面はデザを挑発する。

「なら俺を殴れよ、殴れるのか?喧嘩だってしたこともない、恋愛の話も、世間の話も、宗教の話だって、互いに気を使いすぎて、だからお前は俺をとめられなかった、お前が俺に気を使った分だけ、俺は調子にのったんだ、お前は俺を殴れるのか?殴れない、お前は俺に嫌われたくないからだ」

 その時、廃墟の傍に設置されていたバンが開き、トールズとエージェントグインがでてきて、こちらにはしってきた。

デザ「トールズ!!?じゃあこいつは誰だ?」

仮面「チッ」

デザ「それにあんたは……カルナから話をきいたことがあ……」

 走りくるグインが自分のすぐ前に来た次の瞬間、ふいにデザは腹部に衝撃を感じ、次に左頬に衝撃を感じとって地面につっぷした。続けざまに上から怒鳴るような声がした。

グイン「なぜ魔女グルト様にさからう!!デザ・ロア!!」

デザ「!?」

 グインはデザの頭に靴をのせて、謝罪を要求する。

グイン「今ならまだ間に合う、偉大な力をもつ魔女には、弱い魔女は付き従うべきだ、魔女たちは古来からそうやって生きてきた、それがもっともつよい“つながり”なのだから」

デザ「……何が……トールズ、助け……あがっ!!!」

 グインは顔を踏む力をつよめた。

グイン「トールズ」

トールズ「ああ、その通りだ、今からお前には死んでもらう、それが嫌ならを俺を殺せ」

デザ「!?」

 デザはようやく足をどけられ、立ち上がることを許された。小刀を手に取り前を見ると、トールズも片手にナイフのようなものをもっていた。

デザ「お前、マジなのか、いくらなんでもこれは……チキンレースってレベルじゃ……」

グイン「お前らは決闘しろ、俺はその仲裁をしてやる、どちらか負けた方が、あのもっともつよい“泣き顔の面”の生贄になる、それでいいだろう?“泣き顔の面”、お前の魔力もこれで増えるWIW魔女のウエポンとしてな」

泣き顔の面は、腕をくんで、不服そうに

 「フン」

 とだけ答えた。

 トールズがこちらに近づいてくる、そこでデザはトールズが、時折腕を奇妙に交差している事にきづく。

 (あの構え、どこかで見覚えが……)

 だがそんなことを考えるまえに、トールズは思い切り切りかかってきて、刃物同士の切りつけあいになった。切っ先がすれ違い、ときに相手の腕をきりつける。デザは利き手ではない左手で小刀をにぎり、苦戦していた。

 《ガキン!!ガチン!!》

 切っ先が打ち合う音。だがある時、デザはその光景をむなしくおもい、小刀の峰でおもいきりトールズの肘をうった。

 「うっ!!」

 「やめだ」

 「は??」

 トールズがあっけにとられる。デザはトールズに語った。

 「俺は小さいころからいろんな武術をならってきた、でも、お前は何もならってない」

 「お前、なめてんのか」

 「なめてるさ、今は、戦うときじゃない、本来は“大切な何かを守るとき”にしか武術は使ってはいけないんだ」

 「お前はいつもそうやって俺をばかにして!!!お前は俺にとってその程度の人間だったんだな、望み通り殺してやるよ!!」

 そうやってトールズが顔をあげ、デザの喉元にナイフを伸ばした瞬間だった。

 《ドゴッ》

 トールズの左頬に衝撃がはしった。トールズはその勢いで回転しながら、地面につきとばされた。

 (こいつ、バカか!!?骨折した右手で……)

 まさか、右腕を使うとは微塵もおもっておらず一切警戒していなかったトールズはデザの狂気をみながら、地面に突っ伏したのだった。だが当のデザは吹き飛ばした高揚感のあとに、デザは先ほどのあのかまえ、両手をクロスして組むあの動作の意味、サインの意味を思い出していた。それに小刀は明らかに自分の喉元をさせる位置にあった、油断されたのだ。デザは初めてトールズから“譲歩された”感覚を感じた。


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