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人間と魔女

 できた結界のなかでグルトはまたも斧を握った。諦めず、夫妻の傍ににじり寄る。

グルト「くそ、邪魔がはいった」

夫「おい、まてまて」

妻「お願いやめて!!」

 しかし振りかぶろうとした瞬間、背中から気配を感じ手を出らんとさげて、背後をみたのだった。

「また邪魔がはいった……」

 そこには、結界の内部にひらかれた魔法回廊が、空間を引き裂いたように開かれた後とそこからたどり着いたとおもわれる、魔法回廊鍵を握り体中傷だらけのカルナの姿があった。


 デザは、病院で朝から母親と会話をしていた。だが心ここにあらずといった感じで、どこか遠くをみているような目をしていた。母親はそれにきづいてか気づかずか、それでも話を続けるのだった。母が自分を元気づけていること、それが偽りであっても元気な姿を見るのはデザもうれしかったが、それよりも心残りのようなものがデザにはあった。それはトールズとのことだった。


 かつてトールズは、小学生のころ、自分の内部にあるストレスや父からの暴力や抑圧にたえきれず、学校でも素行がわるく、嫌われてはいないが、暴力的だった。自分が嫌いで嫌いで仕方がなかったのだ。

 そのときある占い師の予言をもらった。

(お前はある日、転校生を助けることになる、そいつと関わると幸運が訪れるだろう、しかし同時にその子はお前に二度災厄をもたらす、それはお前が助けるときと、二度目はお前がもう少し成長した時だ、その時お前は選択を迫られる、二度目の時、お前同様に成長したそいつは何物でもないものになろうとしている、それは現実逃避だ、お前より強くなろうとするが、お前は真の強さを示さなければいけなくなる)

 その予言は一度目、事実としてあらわれた。彼がトールズを助けようと冗談をいったり悪さをしたとき、その後野犬におわれてトールズをかばい大けがをおったのだった。だが、トールズを助けようとしたとき、彼の中にふっと沸いた考えがあるのを今でも覚えている。


「彼をこの町の悪意から守るか、勇気をもつか、隠れてすごすか」


 そしてその予言を残した占い師とは、デザがこの世でもっとも信頼し、最も愛する占い師、彼の祖母グレイシアであった。


 カルナとグルトは取っ組み合いをしていた。グルトが風をまきおこしたり、斧をふるったりするが、カルナはフッと軽く息を吐くだけで、軽々とそれをよけグルトの懐に入り込む。


「今ならまだ罪は軽いぞ!!グルト!!」

「うるさい!!何様だ!!魔女カルナ!!私たちの能力の本性はもともと“呪いと恨み”だ!!」


 魔女グルトが一瞬できた隙をつき斧をふりかぶった。その時、反射的にそれをよけたカルナとの間ができ、魔術を唱えた。

 「マアエール!!」

 二人の間にわずかな突風を生じ、その突風に遮られた視界を使い、グルトはその影から斧を放りなげる。斧は、たしかにカルナの頭に命中したかに思えた。

「当たった!!」

 その斧は、たしかにカルナの頭に命中したかに思えたが、カルナはほんのコンマ数秒のうちにそれをよけた。事実突風が収まるとカルナはただ頭に軽く切り傷をおっただけで、深手ではなかった。グルトが見るに、先ほど斧をよけたそのとき、ただ片手を地面につけただけで、魔術も詠唱していなかった、かといってそれはただの身体能力のできる動きではないように見えた。何らかの魔術をつかったのだ。

「いま、どうやってよけた!?軌道を変えた??見間違いか、まさか魔法陣を書かずに魔法を……お前が“そんな”魔法使いであるわけがない」

 次にカルナが、斧をとりだし、魔法陣を描き魔術をとなえた。

「エンチャント!!」

 すると斧は風をまとい、カルナが振りかぶり、勢いよくなげつけると、空中で倍の速度になりグルトにおそいかかる。一度のけぞって、よけるグルトだったが、風をまとった斧はブーメランのように円を描いてグルトのもとへもどってきた。

「しまった!!」

 グルトが叫んだ、よくみるとそれは葉のない側だったが凄まじい速度でグルトの頭部に命中しようとした。当たれば意識を失うかもしれない。その瞬間だった。グルトの腹部が盛り上がり、弾きとばした。そして次の瞬間どこかから声が響く。

「マアエール!!」

 グルトでもない、カルナでもない、野太い男の声が術をとなえ、腹部から風の魔法をひきおこし、斧を一瞬で引き裂いた。

「!?」

 今度はカルナが驚く番だった。

(今のは何!?グルト以外に傍にだれかいるの!?)

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