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喪失

 朝は母親が見舞いにきたが、夕方は暇な時間があったので、デザは病室で推理小説を読んでいた。

ロズ刑事 「くれぐれも余計な事は話さないように」

女性の声 「わかってます、もう彼に迷惑はかけられませんから」

 病室の外で女性と刑事が話しているのが聞こえてその女性の声に聞き覚えがあるのをかんじた。どこかハスキーなそれでも高い声だ。

 「久しぶり、色々と今までごめんなさい、ねえ……デザ君」

 「……あなたは」

 そこに立っているのは、魔女カルナの姉弟子、リーヌだった。


 リーヌは、お見舞いの果物を色々ともってきてくれて、椅子に腰かけ、ベッドに座るデザに同じ目線の高さで話しかけてくれた。たわいのない話やら、カルナの事やらを話してくれたが、今カルナがどうしているのかを教えてはくれなかった。それらについて聞くと、押し黙ってしまうのだ。

 「ねえ、私彼女と君が必要以上に仲良くするのを何度も邪魔したわよね、でもね、悪く思わないで、それは君を守るためでもあったし、彼女が騙されることに対して耐性がないから」

 「どういう事です?」

 「彼女が裏切られた人間は、魔女と共謀していたから、味方にも裏切られたのよ、今は法に裁かれ、希星魔女院の檻の中だけど」

 「どうして僕にそんな話を?」

 「さあね、どうしてかしら……君もそこそこ優秀な生徒なんでしょう?それでかな、どうか彼女の事を少しでもわかってほしい、マスコミは色々彼女を批判するけど、今回は彼女だけの落ち度ではないの」

 デザはそのとき何もいえず、黙りこくってしまった。

 「いつもは、こんなにおしゃべりじゃないんだけどね、私たち魔女は、夢の中で魔力を蓄えるの、夢の中で魔術の成り立ちや精霊との話し方を理解する、そんな夢の中で、夢を見たのよ、あの子がまだ子供だったころ、私たちが姉妹のようになる前、初めてであったころの事をね、そう、子供といえば」

 そんな切り口でリーヌはひとつ、昔話を話てくれた。

 「彼女は6歳の頃まで、冒険家の父と人間の世界でくらしていた、“その事件”が起きるまでは、希星魔女院の施設に引き取られる前のことね、けれどある日父と一緒に遭難してしまったの、そこで父は亡くなり、彼女だけが生き延びた、その後は施設に引き取られることになった、何度もその件の調査が行われ、彼女の体から他者にかけられた魔法の痕跡がいくつかみつかり“遭難”自体が魔法災害との関連を指摘されているけれど、真相はわからない、けれど遭難した先で彼女は生き延びた、山の中で一か月も、なぜだと思う?」

 デザは質問され、彼女の特徴、人懐こさを連想し、すぐに答えを導き出した。

 「きっと彼女は人間に助けられたんでしょう」

 「ええ、そう、けれど、それは“彼女の言い分”」

 「え?どういう事です?」

 リーヌは繭をひそめて、こう続けた。

 ――確かにそのとき、古びた山小屋はみつかったけれどそこに彼女以外の痕跡は何も見つかりはしなかった、それとは別に彼女が自分の魔法の力で狩りをしたり、火を起こして料理をしたような痕跡がみつかった、たった6歳かそこらの少女がよ――

 「彼女の才能は、そこまで秀でている、それなのに今度の相手は感知できなかった、相手も並大抵の才能を持っているわけじゃない、あなたはもう、関わらないでいいわ」

 「……」

 「彼女はもう外されたの、彼女のことは忘れて日常に戻りなさい、あなたは私が守るから」

 そういって、その時はじめてリーヌは顔をあげた。彼と目が合うと、その顔は泣きはらしていることがわかった。そして杖をとりだし、何らかの呪文を唱えて、杖をふるった。

 「マソムヌムホ」

 「!!」


 しばらくして、日の暮れかかった病院の裏口で、スマホを取り出しどこかに電話をかけるリーヌ。留守番電話の機械音声がながれる。

 「カルナ、あなたの言う通り“あなたの記憶”を消したわ、次の計画はどうするの、あなた一人に勝手な事されないわよ、カルナ、カルナ!!……」

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