プロローグX、転生するし、とりま異世界なう
マリちゃんと異世界の神との会話です。
おーい
ねえー!キサラギさーん!?
………ヤバくね?
ここで迷子とか冗談キツいっしょ!!
相変わらず何も見えない聞こえない感じない
焦りは感じてるけど。
身体があったら、意味もなく同じところを行ったり来たりしている
そんな想像を膨らませている。
彼氏からのLINEを待ちながら、部屋の中で右往左往して、クローゼットを開けたり閉めたりして、座ってればいいのになぜ動き回るのか。
ああ、初々しいですね、わたしって。
違う
そんな呑気な状況じゃないよ!
ここどこなの!地球?
『いやーお待たせしてごめんねー!こっちもごたついちゃってさー』
音は聞こえない
耳ないし
でもわかる。そこに誰かが居るということが。
『もしもーし?大丈夫?』
あの、キサラギさんは?
さっき知り合ったばかりだが、今のわたしにはキサラギさんが唯一の拠り所。
『んー?キサラギさん?誰それ。オレはテンドウさんから引き継いだんだけども』
誰だろう、わたしキサラギさんしかこのヘンテコ世界に知り合い居ない。
『まーまー落ち着こ。ね?こっちに来たばっかりで不安なのも伝わってるから、大丈夫大丈夫』
( ̄ー ̄ )
なんだこの人…ノリ軽いな
『マリちゃんだっけ?ノリは軽い方がこの先楽しくイケルよぉ!』
しまった、ここではわたしの気持ちがダダ漏れなんだった。
『オレはこの宇宙で外交やってる、ルゲッラカってもんなんだけど、一応神なんで、そこんとこヨロシクねー!』
え?なんて?ルゲガーラ?
『ルゲッラカだよーマリちゃーん』
(¬_¬)うわ、完全にパリピじゃん
『パリピってなに?そっちの言葉っつーか文化っつーの?なーんも知らねーんだ、ごめんネ』
ん?
てことはわたし、もう異世界転生しちゃったの!?
『んー、正確に言うと転生はまだしてないねー。でもちゃーんと無事こっちの宇宙に来られたよ!オメデトウ!』
(( °ω° ))
来ちゃったんだ…ついに!
急にドキドキしてきた。一人で旅行すら行ったことなかったのに…
海外旅行ってこんな気分なのかな。
いや、宇宙旅行?
いやいや、宇宙の先、異世界来ちゃったよ!人類初がわたし?
『いやいやマリちゃん、大切なこと忘れてなーい?』
あぁ、わたしは18番目ですね…
『まあでもー?自分の意思で異なる宇宙に来たんだから、マリちゃんが第一号でイイんじゃナ〜イ?』
___(´ー`)
『露骨に引かないでよー、ノリ悪いよー』
前世ではノリは良い方だったんだけどねぇ…
『まあいいや、事情はあっちの外交さんから聞いてるし、オレとしてもマリちゃんの気持ちにフィーリングしちゃったから、全面サポートしてくよ!』
本当にこの人神様なの…?
『んまあ人じゃないけど神様には違いないから、気にしない気にしない』
(´ー`)
『ほいじゃあそろそろ本題に入ろっかねー。まず、マリちゃんの転生についてだけど───』
来た!実はかなり気にしてた部分!
なにかヤバい能力もらえるんかな!?
『まあまあ、まずは転生について説明させて。知らないっしょ?転生のノウハウ』
ええまあ、学校じゃ教えてくれないんで…
『偉いねーちゃんと学校行ってるなんて、あんなダリィところ疲れるだけっしょ』
まあ友達いるし…
勉強できないし、授業もまともに聞いてないけどね。あ。しまった。
『わかるわかる!やっぱ友情と愛情、これがなきゃ青春は語れないでしょー』
よかったー、この人話聞かない系だー。
『あごめんごめん、で。マリちゃんは正確には元オオクボマリちゃんな訳で、その肉体は死んじゃったってことで、合ってる?』
………はい。
『まあどっちみち、肉体を引っ張って来られないから、マリちゃんの魂の受け入れ先となる新たな肉体が必要なんだよ』
たしかに。魂のまま行動する訳にもいかない。
『でね、これからこちらの宇宙での器となる生命を探さないといけない訳なんだけどさ、実は誕生したばかりの生命には魂が宿っていないって知ってた?』
そうなの?
『人間の赤ちゃんは生まれた時は個性なんてなくて、みんな等しく機械的な行動を繰り返すものだよ』
う、難しい…
『全員が全員同じタイミングで魂が宿る訳ではないんだけど、大体1歳になる頃にはもう魂が宿っているね』
ふーん、神秘的な話だ。
『ここから本題なんだけど、これからまだ魂が宿っていない生命にマリちゃんの魂を宿す訳だ』
『しかしだね、原則として前世の記憶は消失するんだよね』
えええええ!
それは困るよ!
『マリちゃんはさ、前世の記憶を持った人って言うの見たことない?』
ある!身近にはいないけど、テレビでやってた!
でもアレ、なんか胡散臭かったんだよね…
『本当かどうかは本人にしかわからないし、本人の勘違いで前世の記憶だって思い込んでいる場合ももちろんある』
『でも、神様のオレからの意見だけど、前世の記憶を来世に持ち越すことはあり得るね』
そうなんだ!
『じゃあここで質問、マリちゃんの誕生日は?』
8月1日
『今、ここにはマリちゃんの魂しかない、肉体がないんだから脳だってない』
『でもマリちゃんは自分がオオクボマリだったことや誕生日だって覚えている』
確かにそうだ!
『ヒトの記憶は脳が司る。これは事実だよ。しかし脳がしていることは、記憶をするということ。厳密に言えば記憶を引き出すこともしているんだけど…』
『要するに記憶の保管場所は脳ではなく、魂なんだよね』
知らなかった。でもわたしがオオクボマリだって言える証拠だ。
『知らないのは当たり前っしょ(笑)』
一個気になったんだけど、前世の記憶がある人とない人の違いってなに?
『それは担当のミス』
ええええええええ!Σ(゜д゜lll)
『ミスって言っても仕方ない場合もあるんだよねー、前世の記憶の削除って、下手したらその魂の否定、というか改竄につながる場合あるからさ〜』
神様も完璧じゃないんだ。なんかより親近感湧くよ。
『そそ、神なんてそんなもんよ。だからあんまり距離感じないでよー』
うん、その話し方の時点で遠い存在ではないと感じたよ。距離は置きたいタイプだけど。
『ひどいなー、ああゴメンゴメン。で、マリちゃんの転生においては記憶の削除は行わないから安心していいよ!ちゃんと許可も下りてる』
この神マジ神だわ。
『少し話が脱線したけど、マリちゃんの転生先となる生命についてなんだけど、マリちゃんの目的は元いた宇宙の魂を連れ戻すことだったよね』
うんうん!
『実は先に転生した魂たちの現在の在処はわからないんだけど、転生した時点での場所は把握してる。だからその地域にマリちゃんも転生させる予定なんだけど、何か質問ある?』
いっぱいある!
一個ずつ聞くね。
17の魂たちは同じ地域に転生したの?
『そうだね、違う国に転生してしまった魂もあるけど、バラバラに散ってもいないし、地球の裏側まで離れてもいないよ』
よかった…
わたしの
わたしの家族はどこ?みんな近くにいるの?
『ごめん、実はどの魂がマリちゃんのお母さんでとかはわからないんだ。あくまで把握できているのは異世界から来た魂だってことまで』
そ、そうなんだ。
『でもテンドウさんから前世の名前や性別、亡くなった時の年齢などの情報は貰ってる。もし前世の記憶がなくなっていたとしても、この情報で前世の記憶を取り戻す可能性はあるよ!』
おおおお!心強い!
そのデータちょうだい!
『あげたいけど紙もペンも今ないでしょ。転生後にちゃんと渡すから安心して』
『ああ、そうそう。本来、神が生者に干渉するのはダメなんだけど、マリちゃんにだけは色々サポートするから、任せておいて!』
この人、チャラくて頼りないと思ったけど、実はしっかりしてるんだ。
ありがとう神様。
『いやー照れるなあ』
筒抜けだった!ハズ〜!
次の質問!
ま、魔法について、知りたいんだけど…!!
『そうだね、この世界にはマリちゃんの居た宇宙とは違い、魔法と呼ばれるチカラが存在する。んだけども!それは転生してから色々教えるよ、実際見たほうが早いし、ここでは魔法使えないからさ!』
OK
じゃあ最後の質問。
わたしはどんな家族のもとに生まれるの?
なぜマリちゃんが異世界転生することになったかは、いずれ。