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きみのそばに  作者: ひろゆき
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 一  ~ 空 ~

 飛んでいく。

    遠くへ飛んでいく……。

        一


      ~ 糸 ~


 紙飛行機が飛んでいく。

 風に乗っていく。

 晴れた空に向かって。

 そのまま飛んでくれればいいのに。

 ずっと胸にすくんだ暗い棘。抜けることなんてきっとできない。

 きっとない。

 わかっていたのに、願ってしまう。

 誰かに拾ってほしい。

 誰かが拾ってくれれば、胸を痛める棘は抜けてくれるだろうか、と。

 だって……。

 いままで、空を見上げることはできなかったから。

 ずっと暗闇のトンネルを歩くことしかできない、と。

 重たい刺を背負いながら、視線を上げることが許されないんだと痛感してしまう。

 手を伸ばしても何も掴めない暗闇に、それでも手を伸ばしてしまう。

 望んでも意味がないのかもしれない。

 それでも光を望んでしまう。だから、顔を上げてしまう。

 空を見上げれば、と。



 痛いくらい晴れた空。

 羨ましかった。

 自分が立っているところはそんなに晴れているなんていないんだから。

 だから、切り裂きたかった。

 線を引くように紙飛行機が飛んでいく。

 線が伸びるほどに、黒ずんだ景色が白く染まってほしかった。

 誰かが、

  誰かは拾ってくれる……。

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